再生可能エネルギーのエキサイティングなニュース

Photo By Digital Vision
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正しい政策を取り入れれば、2020年までに世界は化石燃料から再生可能エネルギーへ移行することができる
Lester R. Brown

化石燃料から再生可能エネルギーへの大規模な移行が進んでいる。化石燃料の価格上昇に伴い、石油の供給量は不安定さを増し、公害や気候変動への不安が、化石燃料の未来に暗い影を落としている。一方で、風力、太陽光、地熱エネルギーの勢いにより、世界の新しいエネルギー経済が生まれている。地球の再生可能エネルギー資源は膨大であり、明確なヴィジョンを伴った率先力があれば、開発は可能だ。我々の文明は、未だかつてないスケールとスピードでクリーンエネルギーを受け入れなければならない。

化石燃料
我々は、現在の化石燃料をベースにしたエネルギー経済を他の時代から引き継いだ。19世紀は石炭の時代であったが、20世紀の間に石油が先頭に立った。現在、世界のCO2(気候変動の主な原因となる温室効果ガス)排出量の多くは、石炭、石油、天然ガスの燃焼により発生している。主に発電に使われる石炭は、世界の化石燃料によるCO2排出量の44%を占める。交通・輸送手段における利用を主とする石油は、36%を占める。発電や発熱に使う天然ガスは20%を占める。21世紀こそ、再生可能エネルギーをベースに炭素や公害の出ないエネルギー経済を設計する時代なのである。
アメリカの石炭工場は姿を消しつつある。多くの国において、石炭の燃焼量が減ってきている。中国に次ぐ世界2位の石炭消費国であるアメリカでは、多くの石炭工場が閉鎖されると同時に、2007年から2011年の間に石炭使用量が13%減少した。この傾向は続いていくだろう。
石油は過去の遺産になりつつある。石油は、世界の発電量の5%にしか使用されず、費用も高くなってきている。石油は主に交通・輸送手段に使われているので、交通・輸送システムを電気化することで石油を撤廃することができる。プラグインハイブリッドと電気自動車は、クリーン電力を大幅に利用することができる。ガスエンジンよりも電気モーターの方がずっと効率的であり、車を動かすのに必要な風力発電のコストは、約3.8リットルあたり80セントのガソリンと同じくらいだ。
原子力発電は費用が高すぎる。原子力発電は世界の電力の13%を供給しているが、未来における原子力の役割に限界があることは、ここ数年で明らかになっている。単純に、原子力発電は高すぎるのだ。
天然ガスの売られ方は過剰だ。科学者のコミュニティーは、「天然ガスは気候に優しい」という産業界の主張と闘っている。水圧破砕法、もしくは「フラッキング」(生産拡大のためにやたらと持ち上げられる合言葉)によって生産される天然ガスは、石炭よりもずっと気候変動への影響が大きい。メタンガス漏洩の問題があるからだ(メタンは気候変動に強い影響を及ぼす)

再生可能エネルギー
世界の各国は豊かな再生可能エネルギー資源を十分に持っており、現在の発電量を簡単に倍増することができる場合もある。アメリカでは、刷新されたクリーンエネルギー経済により、風・太陽・地球そのものからより多くのエネルギーが生み出されると見られている。世界の国々がクリーンで、気候を安定化し、枯渇することのないエネルギー資源に転換すれば、気候変動に悪影響を与える化石燃料は過去のものとなりやがて消えていくだろう。

植物性エネルギーへの関心も高まってきている。石油資源が枯渇する中、植物性エネルギー資源へ関心を持つ人々が現れてきた。エタノールやバイオディーゼルのように、作物から自動車の燃料を生産することができる。2005年のハリケーン、カトリーナの後に石油価格が1バレル60ドル以上に高騰した際に、アメリカのトウモロコシを使ったエタノールの蒸留所に対する投資は大幅に収益を上げた。政府からの命令と補助金が、その後も投資熱に火をつけた。2011年には、世界で870億リットルのエタノール燃料と、約227億リットルのバイオディーゼルが生産された。
液体バイオ燃料に対する研究が進むほどに、それに対する魅力は減っていく。エタノール用のトウモロコシを育てる畑を増やすと、どこか他の場所に作物生産用の土地を開墾しなくてはならない。バイオ燃料用の作物を作るために熱帯地域の土地を開墾することで、温室効果ガスの排出量を削減するどころか増加させる可能性がある。エタノールやバイオディーゼル用の作物は、土地を効率的に利用できる風力発電とその実力を競うことはできない。
太陽光発電は爆発的な人気だ。太陽光を電力に変える太陽電池の増加は、2011年に74%にまで増大し、まさに爆発的としか言いようがない。初期の光電変換装置の設置は全て小規模だった(ほとんどが家屋の屋根に設置された)。しかし、公共事業規模のプロジェクトが次々と着工され、状況が変わってきた。例えばアメリカは現在、建設・開発中の公共事業規模の太陽光プロジェクトを100件以上も抱えている。太陽光発電は、アメリカの南西部のような砂漠地帯において特に魅力的だ。なぜならば、発電量のピークとエアコン使用量のピークがうまく合致するからだ。
世界では現在70,000メガワット相当の太陽光発電装置が設置されており、ピーク電力時において、それは原発70基分の電力に相当する。太陽光発電装置の設置件数が増加し、その費用が下落を続ければ、2020年には太陽光発電の累積供給量が100万メガワットを超えるだろう(現在世界の総発電量は500万メガワットである)。今や発展途上国の村では、集約された発電所や発電網を建設してそれぞれの家に電力を供給するよりも、個人の家にソーラーパネルを設置するほうが安いケースが多い。

地熱は豊富にある。地中から発生する熱(地熱エネルギー)は、熱源として、もしくは蒸気に変換することで発電にも使える。多くの国々は、電力需要をすべて賄えるほどの地熱エネルギーを持っている。このように豊富な資源があるにも関わらず、2012年の時点で設置された地熱発電の電力供給量は、世界の1000万世帯分の電力にしかならない。
世界において設置された地熱発電の発電量の約半分は、アメリカとフィリピンに集中している。アメリカでは130ヶ所の地熱発電所を建設中もしくは開発中であり、近い将来に少なくとも1000メガワットの発電量を新たに生み出す。この勢いが続けば、2020年までに世界で20万メガワットを超える電力を生み出すことが可能になるだろう。。。

 

http://www.motherearthnews.com/renewable-energy/clean-energy-zm0z12onzmar.aspx