非営利の環境雑誌

Photo Courtesy YES! Magazine
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環境問題について発言するなら、一人よりも皆で声をあげた方が大きな力をもつに決まっている。だからごひいきの(そう願います!)「マザー・アース・ニュース」だけでなくほかのエコロジー関連誌にも目を通し、より問題意識を高め知識の幅を拡げよう。

 昨今、この種の刊行物は非営利組織を拠り所とするようになっている。メリットはいくつかあり、中でも寄付金税額控除されることや、財団からの支援を受けやすいことが大きい。非営利組織による情報発信はメディアの多様化に一役かっているが、非営利組織としての地位を得るのはそう簡単ではない。他分野の印刷媒体以上に、その成功はほぼ政府の政策決定にのみかかっているのだ。

 過去数年の間、米国のメディア諸団体が非営利組織の認定を申し込んだが、確定までに長時間を要し、判定を下す政府機関である国税庁による詳細な調査が行われた。この滞りのせいで新たな非営利メディア形成の機運がそがれたのは、多様な意見を重んじる人々にとって残念なことだ。幸い2012年末に向けて状況は改善し、最終的には複数の団体が非営利組織としての認可を受けた。

 優れた記事を載せてサステイナビリティ(持続可能性)についての議論拡大に貢献している環境雑誌をめくり、メディアの多様化を祝おう。今回は非営利組織発行の3誌を紹介する。

 まずは「YES」。この雑誌は、前向きな姿勢と問題解決重視型のアプローチで、持続可能な生活を考える。キャッチコピーは「壮大なアイデア、実際的な行動」。その使命は読者が明るい未来を描けるようにすることだ。毎号大きなテーマを扱った特集を組んでおり、例えば2013年冬号では「自然はどう出るか?」という問いを探究し、生体情報科学、パーマカルチャー【持続可能な環境をつくるデザイン体系】、外来種を食べる合理性、下水処理のための湿地を作ることの利点に関する記事を載せた。最近ではほかに、健康に焦点を当てた「これがあなたのカラダ」や、持続可能で身の丈に合った家について話し合う「此処に住む」などのテーマが取り上げられた。本誌を読んで、環境問題を解決する発想力豊かなアイデアに夢中になろう。Positive Futures Networkから季刊。本部はワシントン州ベインブリッジアイランド。初回購読費用は年間15ドル。

 続いて「オリオン」。本誌は「自然・文化・住まい」をキャッチフレーズに掲げ、論説、詩、写真、創作を通じてこれらのテーマに取り組んでいる。幅広いトピックを扱いながらも自然環境のルポルタージュはブレない視点を持っており、雑誌全体として洗練された文芸調の雰囲気をもつ。

 20131/2月号では、科学技術への省察と、日用品におけるナノ粒子(超微粒子)の急増に関するエッセイを掲載したが、堅い記事ばかりではない。同月号には「私を見つめる動物たち」と題した茶目っ気たっぷりのフォトエッセイも。写真家をまっすぐに見つめる好奇心旺盛な動物たちを特集したものだ。オリオンには美しい文章と印象的な写真がいっぱい。ゆっくり読んでじっくり味わう価値のある、優れた雑誌といえる。オリオンの寄稿者には、持続可能な生活を提唱するBarbara KingsolverTerry Tempest WilliamsWendell Berryなどの著名人がいる。Orion Society and Myrin Instituteから隔月刊。本部はマサチューセッツ州グレートバリントン。初回購読料(オンライン版)は年間19ドル。

 最後に紹介するのは環境専門誌「E」。環境関連の情報が豊富な雑誌を探しているなら、Eがうってつけだ。内容は、【シェールガス開発で知られる】フラッキング(破砕)の問題やCape Wind洋上風力発電設備開発の進捗など現在進行中の事柄の簡単な最新報告のほか、自転車の効用や気候変動の影響といった話題を深く掘り下げた記事もある。

 ニュース記事が多い印象だがライフスタイルに関する話題も多く取り上げており、連載コラムでは健康、食物、エコ・ツーリズム、グリーン投資、おすすめのエコ製品など、日々のエコな暮らしを談じている。Eを読み、環境問題についての知識をリフレッシュしよう。Earth Action Networkから隔月刊。本部コネチカット州ノーウォーク。購読料は年間約20ドル。

 多様な切り口のさらに面白い雑誌を探しているなら、マザー・アース・ニュースの姉妹誌「Utne Reader」をチェック。隔月刊の商業誌で、YES、オリオン、Eなどの主要記事を抜粋したダイジェスト誌だ。