菜園家の害虫抑制の小事典

悪い虫を寄せ付けないように、保護シートを使い、手でつまみ、益虫を引き寄せ、必要な時だけ、残留しないオーガニックな虫よけを用いる。

 

(イラスト)天敵を誘うために、庭の周りに鳥小屋とシンプルな水場を設置。鶏を菜園の近くで飼い、手で捕った害虫をエサとして与える。鶏は、シーズンの終わりに植床も耕してくれる。アブラナ科をナメクジから守るには、銅条を敷いて寒冷紗などで畝を覆う。

 

虫たちがブンブンしたり、跳ねたり、ひらひら飛んだり、はい回ったりしている豊かな菜園は、健全な有機菜園の代名詞。このように多様性であれば、作物を食べる虫たちが天敵によって抑制されているということ。害虫の個体数が少なければ、鳥や益虫の食べ物となる。また、土壌や作物が健全であれば、作物は害虫に難なく打ち勝つ。害虫の個体数が過剰になった場合にだけ、自分の菜園が生い茂るよう手を加えてバランスを取る必要がある。害虫抑制に苦労する時は、こんなシンプルなマントラ(真言)を: 「観察すること」。どんな虫が作物についているか、定期的に観察すること。お決まりの数種類の虫だけ見かけるのか、個体数が増えているのか。また、益虫か害虫かを区別するために写真を見て調べること。(益虫・害虫の写真と詳細は、オンラインのオーガニックな害虫抑制シリーズ www.MotherEarthNews.com/Pest-Control-Series オーガニックな害虫抑制のまとめ】 を参照。)

この用語集は、害虫予防のために使うもので、実際に問題が生じた場合、該当する最適な害虫抑制方法を探せる。害虫抑制を大きく3分類した。まず初めに、色々な花やハーブを植えて、できるだけ多くの益虫を引き寄せること ― 特に小さい花で花蜜を出すミントやミヤマナズナなど。次に、害虫のチェックができない場所や害虫の被害がある場所には、物理的な管理措置を図ること。最後に、要すればオーガニックな殺虫剤を用いること(Top 15 Worst Garden Pests chart 参照)。ここに記載されている商品は全て、全米オーガニック・プログラム(U.S. National Organic Program)によって認可されている。

 

害虫を食べる益虫

下記の虫は他の虫を食し、作物への被害を最小限に抑えてくれる。

サシガメ: この捕食性の虫は、長さ約1インチ(約2.5cm)で盾型の身体を持ち、害虫退治をしてくれる。幼虫も成虫もアブラムシ、ケムシ、コロラドハムシや幼虫の卵などを餌にする。サシガメはメキシコ甲虫の数を制御する、数少ない天敵のひとつ。

 コマユバチ: 北米には2千種類あまりのこの刺さない蜂が生息している。成虫の長さは1/2インチ(約1.3cm)ほどで、他の虫の体内または外部に卵を産みつける。ウジのような幼虫はその餌食の体内で栄養を摂る。コマユバチはアブラムシ、ケムシ(青虫やトマトイモムシを含む)や葉もぐり虫・潜葉性昆虫などの害虫に産みつける。

 ゴミ虫: この益虫はマルチの下の土中や、コンポストの周り、そして多年草が生えている地面に生息している。縦型トンネルを作り、獲物を待ち伏せて捕獲するゴミ虫も中にはいるが、ほとんどは地中をさまよい、夜間に食べ物を探しまわる。彼らの好物はアスパラガス・ビートル、アオムシ、コロラドハムシ、オオタバコガの幼虫 【トウモロコシの害虫】、根切り虫とナメクジ。

 ハナアブ(別名アブバエ): 黒と黄色の縞模様のハナアブの成長はスズメバチに似ているが、人間に危害は加えない。幼虫は小さく、先細ったウジで、木の葉を這って小さな虫を食べる。アブラムシが大好物で、他にもコナカイガラムシ、ダニ、ハダニ、カイガラムシやアオムシなどの小ケムシも喜んで食べる。

クサカゲロウ (別名アブラムシ・ライオン) の幼虫はアブラムシ、アオムシ、ケムシの卵、コナジラミ、その他を食べる。幼虫は約1ヶ月間で600ものアブラムシを食べて栄養を蓄える。畑の被服資材を夜間には外し、クサカゲロウが餌を探せるようにしよう。他の捕食者と比べ、菜園シーズンの早くから活発なので、殺虫剤は使用しないこと。

 てんとう虫: てんとう虫の幼虫と成虫はアブラムシや小ケムシ、そして虫の卵を餌にする。コナカイガラムシ、ダニ、カイガラムシ、うどんこ病さえも食べるてんとう虫の種類もいる。成虫を見かけたら、アブラムシの群生が潜んでいる近くの葉を探せば、黄色・オレンジ色のてんとう虫の卵が密集している場所を大体見つけられる。小さなワニの集団にみえる濃色の幼虫は、一週間以内で孵化し、アブラムシを1日に何匹も食べる。

 ナミヒメハナカメムシ : 60mmにもならない、ちまちましたこの虫は、オオタバコガの幼虫の増殖を早い段階で抑える。

アブラムシ、ハダニ、コナジラミも餌にする。

 カマキリ: 菜園内でうろついている、一番大きい虫であろうカマキリは、常に餌を探していて、作物をかじるバッタなど動くものであれば何でも口にする。

 ジョウカイボン: 花の中または緑の多い場所でこの0.5インチ(約1.3cm)の細長い虫に出くわす。一部の地域では、幼虫はバッタの卵の主要な捕食者であるため、ジョウカイボンを引き寄せればバッタの増殖を抑えられる。ジョウカイボンの幼虫は蛾、数種類の昆虫、そして他の甲虫類の卵や幼虫を餌とする。成虫はアブラムシ、ケムシや軟らかい身体の昆虫を食べる。セイタカアワダチソウ、単一で咲くマリーゴールドやその他のデイジー類の花は、ジョウカイボンを引き付ける。

 クモ: この8本足の虫は、おそらく庭内で一番頻繁にうろついている虫だろう。どの菜園にも何10種類ものクモが生息。菜園によくいるクモは巣をはらない。例えば、コモリグモは地中の浅いところに巣穴をもうけ、夜に地面を這いつくばるか、巣穴で潜伏して獲物をつかまえる。青々と茂った多年草のハーブが育つ場所もクモにとっては最適な住処となり、ワラや刈草などの生分解性のあるマルチもコモリグモにとって優位な生息地になる(尚、毒グモは庭の環境を好まない)。。。

 

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A Glossary of Natural Garden Pest Control Solutions

By Barbara Pleasant and Shelley Stonebrook 

June/July 2014