地域食材でご近所をつなぐハブ

地域全体のレジリアンス(回復力)を増し、持続可能性を高め、住人をより健康にし、しかも地価を高めるものとは何だろうか?不動産デベロッパーの中には、地域で育てた食料がそのようなものにつながると考え、「アグリフッド(Agrihoods)」として知られる新しいモデルを強く支持する人たちもいる。


 合衆国では、食料、特に、どこで育てられ、どのように調達されたかを軽視しがち。しかし、住宅プランナーの中には、食料が新しい居住区の開発の正否に多大な影響を持つと悟っている人もいる。特に厳しい経済状況下ではそうだ。過去何年にもわたり、デベロッパーはよく、高級住宅をゴルフコースの周りに建てた。今では、その代わりに、果樹園、ブドウ園、牛の牧場、菜園、さらに有機農場の周りに設計されることもある。

 ククウイウラというハワイのカウアイ島のリゾート地域にあるのは、ほとんどの豪華な居住型リゾート地と同様に、ゴルフコース、クラブハウス、スパ。ククウイウラには、他にあまり類をみない特徴がある。10エーカーの農場でバナナ、パパイヤ、パイナップル、ルッコラ、フダンソウ、ハーブ、パンノキが育っている。農場は少人数のスタッフだけだが、居住者が大勢、手を泥だらけにして、手伝っている。ただ、ゆったりと腰掛け、農場からダイニングテーブルへ届くディナーを楽しむ他の人たちとは違う。「小さな農場ほどの簡素で比較的安価な設備で、いかに、新しいコミュニティーに大きな影響を与えるか考えるのは謙虚なものです。」と、ククウイウラ のデベロッパーのブレント・ヘリントンは言う。

 シベラ・クラウス(Sibella Kraus)は、カリフォルニア州バークレーにあるSustainable Agriculture Education(SAGE:持続可能な農業教育)の代表で、こう言っている。「都会の農業は、野菜を育てる単なる方法ではなく、コミュニティーを強くする方法でもあるのです。」まさにこれは、ワシントン州ベインブリッジ島にあるマーハ・プレストン(Marja Preston)が言っていること。24家族の家をまとめて、4家族が菜園スペースを共有し、コミュニティーのメンバーの掲げる目標のひとつ「ご近所さんをよく知る」を達成するのに役立てている。このような食を基本とした開発の成功例で、より多くのデベロッパーがagrihood を確立するのを納得してきた。ここ、Urban Land Institute(ULI:都会の土地協会)で見受けられる傾向が示唆するのは、考え方の変化が起きていて、ご近所に菜園や小さな農場を持つのは、迷惑なことではなく、快適なことだということ。

— エドワード・T・マクマホン(Edward T. McMahon)、ULI


Agrihoods: Neighborhoods With Local Food at the Hub

By Edward T. McMahon, Urban Land Institute 
August/September 2014