移動式の多用途なグリーンハウスを作る

この多機能型の DIY「モジュール式栽培ドーム」で、冬は苗やヒヨコ、夏は牧場の家禽の家にして、 秋の収穫を増やす。

 

想像してみて。移動式のトンネルハウス(hoop house)が一つあれば、冬に作物を育てたり苗木を植えたり、夏に鶏を安全に放つこともできるようになる。マザーアースニューズと私共フォーシーズンツールズ(Four Season Tools)が共同で開発した新型のモジュラーグロードーム(Modular Grow Dome)は、一式でこういった様々な用途に使えるものを目指している。

 


メイン州のプロの園芸家エリオット・コールマン(Eliot Coleman)の革新的な仕事をヒントに、1年を通じて栽培に使える丈夫で移動可能な温室モジュールの基本構成が決まった。いくつかのオプションパーツから必要なものを選んで、裏庭用の小さな温室を作ることもできれば、大規模野菜栽培用に複数のドームを繋げて栽培期間を延ばすこともできる。自分で必要なパーツを自由に買い求めることもできるし、パーツがすべて取り揃えられたキットを購入するのもよい。いずれの場合もUPSかFedExで配送される(後述の「参考資料」を参照)。

弊社のビニールハウスは12フィート(3.7m)および15フィート(4.6m)幅のいずれかから選べる。筋交いと「スキーの先端(のように反り返ったパーツ)【これによりハウスを地面に乗せたまま楽にスライドさせて位置を調整できる】」と地面に固定するための部品が含まれているので、人の手で簡単に動かせ、位置を決めた後で確実に固定できる。

市販されている温室のほとんどは移動できない。ビニールのフィルムが張られたハウス(通称「高いトンネル」)は、主に農家向けで大きくて動かせないものだ。より小型でガラスやプラスチックパネルが張られた温室は、高価な上、やはり移動できるような設計ではない。一方、弊社のグロードームは移動が容易で、これこそが大規模野菜栽培を含めた幅広い用途に使えるキーポイント。移動式のドームなら、固定された温室でよく問題となる害虫や病気の被害を減らせる。作物に合わせてドームを移動させることも、家畜を襲う動物から鶏を守ることもできる。また、キットはサイズの面でも自由度があるので、都市部や住宅地など建築制限のある土地でも、その制限に合わせて設置できるし、あるいは「仮設」扱いにもできる。例えば、ミズーリ州カンザスシティーにある弊社が所有するシティービティー農場(City Bitty Farm)のドームは19平米未満で、これは市の建築許可が必要ないサイズだ。

ドームのフレームは、既製品の鉄パイプと、金網フェンスで使われる取付け部品からなる。フレームに加えて、6mm厚の紫外線対応の温室用フィルムと、特別な金具とバネの留め具付きの接続パーツがキットに含まれているので、組み立てはとても簡単。必要に応じてビニールと遮光布を取り替えることも難なくできる。

 

本当に多目的で移動可能な構造

温室で植物を育てるのは大体秋冬から早春。牧草地に放し飼いされた若鶏のために柵が必要なのは、夏あるいは秋の数週間程度。モジュラーグロードームなら1台でどちらにも使える。ビニール製のカバーは、作物の成長に十分な光をもたらし、冬場の晴れた日には卵を産む雌鶏を心地よい日の光で包みこむ。春には種まきをしつつ、ひなを温められる。夏には暑さを好む夏の作物を育てる一方で、ドームを日陰に移動するか、ビニールを遮光性のシートに取り替えて、鶏を暑さから守ることもできる。

ドームを鶏の飼育に使うなら、他の動物の襲撃から守れるようにしておくこと。二重壁の波形プラスチックを温室用のビニールの代わりに使うと、動物の侵入を防ぐことができるがかなり割高になる。ドームの内側を金網や金属製のメッシュ(どちらも金物屋や農具店で手に入る)で裏打ちして補強すれば、ずっと安く作れる。獣害がよほど深刻なら、周囲に金網製の仕切り板を埋め込むことで、土を掘って侵入しようとする動物を確実に防げる。

 

菜園経営者の新しいオプション

トンネル(hoop)ハウス一式として、12フィート(3.7m)幅のドームなら、その中に30インチ(76cm)の植床を3本と、それぞれの間に1-1/2フィート(46cm)幅の通路を設けることができる。15フィート(4.6m)幅もあり、1-1/2フィート(46cm)の通路をはさんで30インチ(76cm)の植床を4本取れる。作物用にもっとスペースを使いたければ、2つかそれ以上のドームを4フィート(1.2m)長のコネクター部品で繋ぐとよい。畑全体を覆う必要がない暖かい時期にはそれぞればらばらに使い、気温が下がれば繋げて冬場でも広い作付け面積を確保できる。「キャタピラートンネル(caterpillar tunnels)」と呼ばれる長い構造のハウスは、大規模野菜栽培によく用いられるが、移動可能なドームを複数繋げた方が、必要に応じて組換えや場所の変更がしやすく、より自由度が高い。それに単位面積あたりのコストはずっと安上がりだ。

 

こんな快適空間なら、春の早い時期から鶏を招き入れられる。悪天候もへっちゃら。それに大人2人から4人、または小型のトラクターで簡単に動かせる。設置が簡単ということは、あっという間に鶏は新しい草地のごちそうにありつけるということ。この特別な空間のおかげで快適さと安全が確保されるので、農場経営者は1年中鶏を育てて卵や肉を売ることができるようになる。15フィート(4.6m)幅のユニットは、エリオット・コールマンによって広く知られるようになった背の低いトンネルと組み合わせることで、より寒さに強い設備になる。低いトンネルは、半インチ(13mm)の電線管10フィート(3m)を半円状に曲げて作り、直径6フィート(1.8m)、高さ3フィート(90m)ほどになる。1つのトンネルで30インチ(76cm)幅の植床を2つ覆うことができる。さらにこれを横に2つ並べて、それぞれのトンネルを【寒冷紗などの】被覆資材で覆った上から、一回り大きい、15フィート(4.6m)幅のドームを被せると、広い作付け面積を確保できる(スライドショーの写真を参照)。このように温室内に低いトンネルを設ける二重構造にすることで、農園の南側の一等地に匹敵する温度が得られることを、コールマンは発見した。

 

和訳全文は10月末発行予定。

 

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Build This Multipurpose, Portable 'Modular Grow Dome'

By Greg Garbos and Mike Bollinger 

October/November 2014