オフグリッド生活の学び

20年来のベテラン自給自足生活者の助言に従って、低炭素生活にシフトしよう。


文 カム・メイザー (Cam Mather)


理想的であり実用的であるという理由から、ミッシェルと私は20年前にオフグリッド生活をすることを選んだ。田舎の土地を5年間探したのち、東オンタリオの森に150エーカー (6k㎡) の土地をみつけ、1998年にようやく農場と自宅を建設した。

 送電網と接続するには10万ドルほどが相場であると聞いた時には、値段の高さに驚いた。今は、20万ドル近くとなるだろう。もう一度やり直すとしても、今日の再生エネルギーの低価格や技術進歩があり、オフグリッドを喜んで選択するだろう。

送電網とつながない太陽光発電

 ミッシェルと私が1888年のファームハウスを購入した時は、60W の太陽光パネル8つで電力をまかなっていた。75W のパネルを4つ(それぞれ750ドル、10ドル/W)で追加した。さらに何年かした後、プロパンの冷蔵庫を、電気モデルに替えたため、さらに4つのパネルを追加した。(現在、コストは約1ドル/W に急落したため、私たちが払った額の1/10に!)隣人がソーラートラッカーを組み立て溶接するのを手伝ってくれた。それにより、太陽電池アレイが太陽の軌道に追従するようになった。ソーラートラッカーは必須ではないが、エネルギー生産量が約20%増加した。

 5、6年後、4つの175Wパネルを破格値で提供を受けたため、別のソーラートラッカーの設置に取り組んだ。太陽光パネルを追加するごとに、電化製品を使えるようになったため(以前の設備では、エネルギー消費が集中する可能性があり使えなかった)、生活に著しくゆとりが生まれた。また、料理や給湯のためのエネルギーを補う

プロパンガスへの依存も減らすことができた。現設備には2,300Wの太陽光パネルがあり、冷蔵庫、冷凍庫、2台のラップトップコンピュータ、LCDテレビ、DVDプレイヤー、サテライトTV、インターネット、食洗機、電化製品満載のキッチンに供給するには十分すぎるほどだ。エネルギーを非常に食うエアコンは無しで過ごしている。(記事後半の「メイザー家の日々のエネルギー消費」を、電化製品のエネルギー使用量内訳の参考に。)

 学び:金銭的余裕があればすぐに太陽光パネルを追加する。後になって、太陽光パネルをすぐに購入するお金がもっとあればと思った。太陽光パネルを追加する度にオフグリッド生活はより快適になった(単なるトースターでも嬉しい!)。またプロパンを減らす自信も生まれ、さらに料理やパン焼きも太陽発電の電気を使うようになった。


オフグリッドの蓄電池群

 バッテリーが無く送電線とつなぐ太陽光パネルの導入もできるが、夜間用の電力を蓄電するためにはバッテリーが必要となる。これまで使っていた既存のニッケルカドミウム蓄電池群を交換したが、その大型のディープサイクル亜鉛蓄電器は、最後には4,000ドルの価値だった。電気システムの中でバッテリー部分だけは、定期的な監視を必要とする。バッテリーのチャージ状況をモニターし、定期的に蒸留水を補充する。バッテリーが50%以下のチャージに落ちないようにしなければならない。これで電気料金の支払いも停電も無く、バッテリーのメンテナンスに時間を費やすのに十分な見返りだ。

 学び:オフグリッド設置には蓄電池群を小型サイズにしない。今日の低価格なPVパネルにおいては、太陽電池や蓄電池群はより大きなサイズを目指すとよい。電気システムの維持に悩むことが減り、発電機を駆動することもほとんどなくなる。

太陽光を補完する風力発電

 ここに引越した際、この土地には60フィート (18m) の高さの壊れた風力タービンがあった(タービンは極度に厳しい状況で動作する機械。そのため壊れやすい。)最終的には、設備一式を1kWのBergey 風力タービン搭載の100フィート (30m) 高のティルトアップ式タワーに交換した。大きな仕事だったが、設置を引き受けてくれる販売業者を見つけることはできなかった。だが、タービンの設置と維持は、太陽光が理想的状況でない時に風力が不足を補うため、価値があることが分かった。

 学び:電力供給源を多様化する。再生可能なエネルギーで補完し合う。風力タービンを立てる前は、バックアップとしてプロパンガス発電機を1年に12~15回使っていた。太陽光・風力のハイブリッドシステムにお金をかけてからは、発電機の使用頻度を減らし年間5、6回程度に。ほとんどは秋から初冬の陽が当たらない日の間のことで、太陽も風もバッテリーを充電状態に保つのに十分でない場合。

 学び:風力タービンの設置位置を考慮する。風力タービンを最大限に活かすために、開けた場所や、水域の近くに設置する。理想的には、風力タービンは、納屋や貯蔵庫、並木から300フィート (90m) は離れた位置にすべきであり、風を乱す可能性のある建造物よりも少なくとも30フィート (9m) 以上の高さが必要。私の土地の並木の高さは約60フィートで、タワーは100フィートの高さで、森に囲まれているので、特に11月12月の間(最も曇天が多く、風が強い月)の風力発電力は申し分ない。

 学び:不慮に対して計画し、緊急時に備える。私たちは、風力タービンとタワーを配慮して接地し、雷から守ることに労を惜しまなかったが、努力にもかかわらず2013年の夏に稲妻が落ちた。壊れたDC整流器を交換す

るのは比較的安価だったが、タワーを低くすることにした。精神的に疲れる経験だった。そこら得たもの? それは誰もが緊急事態に直面するだろう、しかし多様なエネルギー供給源があれば、危機にも耐えうる確実なオフグリッドとなるということだ。。。


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Lessons From Off-Grid Living

By Cam Mather 

October/November 2014


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