ケールとホウレンソウの栽培と料理

今木々は落葉しているかもしれないが、うまく計画を立てていれば、あふれんばかりの新鮮な葉が、今も自宅の庭を緑に染めている。緑の葉物野菜は秋を好み、涼しい気候になるほど風味もよくなる ―― とりわけ合成高窒素肥料を使わず育てればなおさらだ。ケールやホウレンソウは、気温が下がるほど糖度が上がるので、1年中でこれほど最高の季節はない。

 青菜の扱い方が変わったのは、鍋で長ゆでし、ステーキの脇に必ずちょこんと添えるホウレンソウのクリーム煮と、市販の一般的なアイスバーグレタスのサラダの時代からだ。自分の庭でも多種多様な葉物野菜を育てることができるが、サラダ用の葉物と加熱調理用の葉物との区別がほとんどなくなったのは、料理人が腕を上げ、この栄養価の高い食材の風味と質感を調和させるようになったからだ。

ケールとホウレンソウの栽培
 うまく栽培できるよう、ケールとホウレンソウは夏の終わり、一般的には7月下旬か8月に種をまこう。そうすれば、硬霜がおりる前に成熟する。どちらも凍結には耐えられるが成長は遅い。たとえ「Space(スペース)」や「Winter Bloomsdale(ウインター・ブルームスデイル)」のような耐寒性のホウレンソウ種や、「Winter Bloomsdale (ウインターバー)」などの最も丈夫なケールだとしてもだ。より耐えられるのは、「Dwarf Siberian (ドワーフ・シベリアン)」のような茎のないケールで、この種は高く伸びるよりもむしろ暖を取るために地を這う。(どの種類を選択するかついてのより詳しい案内は、冬季ガーデニングのヒント:最高の冬作物と耐寒性種を参照。)
 どちらの青菜も、春が来ると董が立つが、それまでには個々の株から収穫できているだろう。夏が過酷な地域では、ケールもホウレンソウも一番暑い時期は休眠するが、涼しいメイン州沿岸のこの地では、1年中食べられる。冬場に両作物を守る方法は3つある。コールド・フレームの中で育てる、ビニール製か布製の被覆資材で覆われたクイック・フープ(低いトンネルとしても知られる)の下で育てる、あるいは小型で簡単な菜園用のグリーン(ビニール)ハウスの中の被覆資材で二層となったものの下で育てる。天候が穏やかな地域では、干草やわらの覆いを取り除く、または全く何もなくても、うまく育てられるかもしれない。

葉物野菜の収穫
 ケールの大きくてまっすぐに伸びた葉は手でポキッと折るが、ホウレンソウの収穫はもう少し長めに刈る。ホウレンソウは小型のよく切れる片手用ナイフで摘み取り、もう片方の手で刈り取った葉を集め、近くのバケツやかごに入れよう。両者とも、どのように中心から小さな新葉が出て生長し続けるか着目しよう。頻繁に摘めば摘むほど、より多くの新葉が育つ。調理用に大きな葉を切り、小さめの葉はサラダ用に。その株の葉は少なくとも2~3枚は常に残して、生長し続けられるようにする。植床をこぎれいにしておくことも必要だ。雑草を抜くだけでなく、黄色くなった葉、あるいは不要な葉、摘み取った後に残る長い茎も同様に。こうすることでより健康に、見た目よく、収穫しやすいように保つのだ。
 これらの作物は両者とも1年中収穫できるという恩恵があるので、私はどちらもわざわざ冷凍したりしない。(もし青菜を冷凍したいのなら、熱湯で葉をゆがいてから素早く冷やして、ビニール袋にパックすればいい。)試しに、野外にあるケールの先端部を切断し、黒いビニール袋入れ、ケールが完全には凍らない、自宅に隣接する道具小屋に保管してみた。ケールはまずその状態で2~3ヶ月は持ち、キッチンで使う際も新鮮で重宝する。

青菜の調理:鍋の中へ
 ホウレンソウは長らく人気があるが、今ではケールがその対抗馬となっている。ケールが「新しいホウレンソウ」としてもてはやされるのをよく耳にしてきた。素晴らしい食材としてのケールの評判に惹かれて、ケールを試した人たちは、育てやすく調理も簡単で、とにかく美味しいことに気づいた。入門レシピとして、新鮮なケールの葉を刻み、ソーセージや骨付きポークまたはベーコンを炒めて、残った肉汁入りのフライパンに放り込んでみよう。水とつぶしたニンニクを少々入れてふたをし、それらを蒸す。それから、フライパンをこすってカリカリの肉片の中で混ぜる。言いたいことは分かるね?美味しいのだ。
 ケールのしっかりした質感のおかげで、葉片をスープに入れることもでき、型崩れすることもほとんどない。これを知っていて、豚肉入りの煮豆やサカタッシュ、スカロップト・ポテトその他の数多くの好物の中にケールを入れてかき混ると、気づけば栄養たっぷりのスープ料理に変わっている。この特徴から、ケール・サラダの意外な人気を説明することもできる。ケールの葉は、濃いドレッシングや、ベーコン、はちみつのような温かい添え物、そうそう、ボウル一杯のベビールッコラを押しつぶす大量のクルトンなどの重みを支えるからだ。(ミモザドレッシング付きホウレンソウサラダのレシピ〔リンク/タイトル〕の中で薦めているミモザドレッシングもまた、ケールとよく合う。)
 生で食べるなら私は、トスカナのケール(「cavolo nero」、「lacinato」または「dinosaur kale」とも呼ばれる)や「Red Russian」などの北方品種のような薄葉タイプが好みだ。どんなものにも使えるケールの準備としては、柔らかい部分を引き抜くか、葉を折り曲げ、茎に沿ってナイフでスライスして硬い中央の茎を取り除く。ただし、必ずしも茎を捨てる必要はない。植物繊維を崇拝する一部の人たちは、茎をオリーブオイルとニンニクでゆっくり直火焼きし、それらが神聖なものだと言っている。
 ケールでできることは何でもホウレンソウででき、また、それ以上のこともできる。ホウレンソウのややマイルドな風味は、キッシュやピューレ、スムージーなどのクリーミーな料理に役立つ。ただし、味のついていないただのホウレンソウは扱いにくいので、軽く蒸すか、(洗った直後、まだ水気が葉に残っている間に)バターか油を敷いたフライパンに入れ、ほんの少ししんなりするまでかき混ぜる。バリエーションとしては、松の実やレーズン、少量のクリームかシェリー酒を加える。青菜のビタミン豊富なジュースにはクロロフィルがたっぷり含まれているが、これをできるだけ多く保つには、ホウレンソウを調理しすぎてはいけない。スープ用にどんなゆで汁でもとっておけるが、最初の段階でそれを捨てない方がいい。
 私が大きな葉のついた茎を取り除くのは、ホウレンソウが生で出された場合、あるいは、トウヒの森と同じくらい濃くて深い緑色のピューレが欲しい場合のみだ。


Fall Finery: Grow and Cook Kale and Spinach

By Barbara Damrosch 

October/November 2014