完璧なパイ生地

Photos By Tim Nauman
Photos By Tim Nauman

最高のパイ生地は、バターの風味豊かで、まろやかでサクサクしている。ちょっとしたコツで出来るようになるのです。


一度食べたら忘れられないパイ生地の秘訣は、軽やかでサクッとした層が、ほおばるごとにバターの風味とまろやかさをかもし出すような生地を作ることにある。淡々と一流のパイを焼く人々は称賛に値する。しかしご安心を、習うより慣れよであり、手作りパイはたいてい店で売っているものより美味しい。「Pie」の著者 Ken Haedrichは言う。「およそ85%の人は即座にパイ名人になれますよ。残りの15%はなるのに一生かかりますが。」
 だから、根気強くなること。新しいパイを作るたびに微調整を加えよう。季節ごとに新たな詰め物に挑戦してみる。手でこねる生地の感触になじもう。自分のオーブンのクセに精通しよう。パイの完全さへの道は、たくさんの善意(美味しくもある!)で敷き詰められているのだ。

パイ生地5つの真実
 冷たさがカギ。材料が冷たければ冷たいほど、パイ生地も仕込みの段階から良くなる。あらかじめ小麦粉と道具を凍らせておいてもよい。もし焼くまで生地を冷たく保てれば、脂肪の個々の固まりがオーブンの熱で溶け、生地が分離しサクサクになるのである。
 素晴らしい油脂を見つける。パイ生地を最高に絶妙な肌理に仕上げるために(おばあちゃんがかつて焼き上げていたもののように)、本物のラードを使うこと。放牧されていた動物のラードであれば、非常に良い。もしも、かわりにバターを(あるいはバターとラードの混合物を)選ぶなら、味の濃い、酪農の、油脂の割合が多いヨーロピアン・スタイルのバターにすること。Vermont CreameryOrganic Valley Plugrá Kalona Organics 広く利用可能。
 自分の手を使パイ生地を作るのにフード・プロセッサーを使うのは可能だが、手でお菓子を作るのが一番の習得方法である。
 前もって計画を。パイ生地は冷蔵庫な23日、密封してあれば冷凍で1か月もつ。たくさん焼くときは、レシピを2倍、3倍、4倍にして作り、時間を節約しよう。
 冷やす。焼いたパイは冷めるにつれて、しっかりとしてくる。もし時間の余裕があれば、ほとんどのパイは振る舞う前に1時間は冷やすのがベストだ。カスタード・パイなら23時間は冷やしたい。

基本のパイ生地
 このレシピではウォッカを飛ばさないこと ― これこそがあなたの求める、まろやかでサクサクの生地の秘訣だということを私は発見した。食品科学研究者のHarold McGeeの説明では、ウォッカがオーブンで蒸発するときに生地の層を押し広げるのを助ける。一方でアルコールはグルテンの形成を阻害するので、生地を伸ばすのが簡単になり、焼けばよりまろやかになるのである。彼によれば、酢、バターミルク、サワークリームも同じ結果を生むが、それ自体の味も加わってしまう。ワシントンDCにあるNeighborhood Restaurant グループの筆頭菓子職人であるTiffany MacIssac がウォッカを好むのは、無臭かつ無味だから。従って、使いすぎないように彼女は注意している。私はテーブルスプーン1杯か2杯のウォッカが大きな違いをもたらすことを発見した。味見してくれる人も、その結果が完璧にまろやかでサクサク、美味しいと同意している。

全粒粉、または全粒の薄力粉、または無漂白の中力粉*、またはケーキミックス 約250cc
(プラス伸ばす際の打ち粉として余分を少々)
コーシャー塩訳注:粒子の荒い、添加物の少ない精製塩 テーブルスプーン1杯
ラードまたは無塩の高脂肪バター 約170g 小さくカットしてよく冷やしたもの
ウォッカ テーブルスプーン1杯 (または代用としてアップルサイダービネガー)
氷水 約60120ml 必要に応じて

*もし、あなたが全粒穀物や全粒粉で焼いたものを食べるのに慣れているなら、100%全粒粉または全粒の薄力粉を使うのに挑戦してみよう(薄力粉はより繊細な仕上がりになる)。もし、あなたが全粒のものを好きになるべく努力しているところなら、一度に60ccの中力粉を全粒粉に置き換えてみよう。全粒のものの風味を最大に引き出すには、粉を冷蔵か冷凍で保存し、酸化して嫌な臭いのする小麦粉は決して使わないこと。

パイ生地を作る
 小麦粉と塩を大きなボウルでよく混ぜ合わせる。ペストリー・ブレンダーか清潔な手で、油脂の固まりを小麦粉に「割り込む(cut in訳注:さいの目状などに切ったバター類を粉に入れ、粉でコーティングしながら小さい粒に砕】)」、または油脂の固まりを粉にもみこむ。そのうちに荒い砂かコーンミールのような見た目になってくる。バターは多少の固まりが残っていてもOKだが、エンドウ豆よりも大きいのがあってはいけない。
 混ぜたものの上にウォッカと、水の半分をふりかける。手を使って、生地をざっくりとした一塊りのボール状にまとめる。テーブルスプーン1杯かそこらの水を一度に加える、生地をまとめて持ち上げるのにちょうど十分な量の水である。初心者には、生地の水気が少なすぎるよりは多すぎる方が作業しやすい。生地を厚さ約2cmの平らな円盤状にする。ラップでくるみ、冷蔵庫で最低でも1時間冷やす。もしすべてバターで作っているなら、生地を伸ばす510分前には冷蔵庫から出して室温になじませておかなければならない。
 きれいな調理台の上に、軽く打ち粉をする。生地からラップを取り、直径約25cm、厚さ6mmほどの円形に伸ばしていく。縁のあたりは力を加減して、縁が薄くなりすぎないように。伸ばす際に出来る小さな亀裂はあまり気にしないこと。大きく裂けた縁は押してくっつけられるし、どんな穴でも余った生地でふさぐことができる。
 直径約23cmの標準のパイ型にバターを塗る。注意しながらパイ生地で型を満たす。簡単なやり方は、クッキングシートかシリコンマットに生地を伸ばしておき、流れるような動作で一気にパイ型の上にひっくり返し、それから生地を整えて置いてやる方法。あるいは生地をそっと半分に折り、パイ型に置き、注意深く広げてもよい。必要なら、はみ出す部分からちょっと生地をとって穴を埋めてもよい。
 型からはみ出す部分を約1.32cmの幅になるようカットし、生地の周りの親指と人差し指でひだをよせるか、溝をつくる。

事前に底生地を焼く
 多くのレシピが、詰め物をせずに前もって焼いた底生地が必要だとしている。これは生地がぐしょりとなるのを防ぐためだ。部分的に焼いた生地(部分焼き)が必要だというレシピもあれば、一方でクリーム・パイのように、全体を焼いた生地が必要だとするレシピもある。
 部分焼き、または全体を焼いた生地のためには、ベイキングシートかアルミフォイルで生地をぴったり覆う前に、生地にフォークで万遍なく穴をあける。それから乾いた豆か、米か、パイ用の重りを一面に載せる。生地が膨らんで持ち上がるのを防ぐためである(豆は繰り返し何回も使える)。縁のぐるりにアルミフォイルかパイガード訳注:縁の焼けすぎを防ぐリング状の覆いを焼きすぎないようにかぶせる。オーブンを約200℃に予熱し、生地をオーブンの中心において約15分間焼く。
 温度を約160℃に下げる。シートと重りを取り除く。覆いなしの状態で、部分焼きの生地なら約15分間焼く(わずかに茶色になり始めるまで)。黄金色に焼けた全体焼きの生地ならば、さらに2025分間焼く。

  パイづくりの準備はできましたか? バター風味たっぷり、まろやかでサクサクの生地を作り、手作りパンプキン・パイの作り方」を利用しよう。そして易しい「パンプキン・ピューレの作り方」で詰め物をゼロから作りだそう。また「料理に最適なパンプキン」を読んで、在来種とその特上の料理についてもっと学ぼう。

漂白小麦粉と全粒粉を比べると
 人生の多くの物事と同様に、ほどほど、がポイントだ。もしあなたが漂白小麦粉で作った典型的なパイ生地が好きでたまらないのなら、お食べなさい ― たまには。 King Arthur Flourの無漂白中力粉も良い。自分の為にすべきだが、風味の濃い全粒の驚くべき素晴らしさを発見しよう。深みのある、穀類の味に加えて、非常に幅広い種類の栄養素も期待できる。全粒の菓子は漂白小麦粉の菓子よりも重たいが、自分の好みにぴったりの歯ごたえと味のパイ生地をつくり出すまで、漂白小麦粉の一部を全粒粉に置き換えるだけで始められる。

 

Perfect Pie Crust

By Tabitha Alterman 

October/November 2012


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