危機にさらされる保護区

マザーアースニューズ  環境

雪原に一頭のホッキョクグマが座り込んでいます。そばには赤黒く焼け焦げた石油缶。種の絶滅が近づいている動物と、絶滅に追い込む開発を象徴する物が対照的に並んでいます。こんなシーンから『命のはじまる聖地 (The Sacred Place Where Life Begins)』は始まります。これは、ジェレミー・ラ・ゼル (Jeremy Là Zelle) とクリスティン・ゲイツ (Kristin Gates) が製作した 25 分間のドキュメンタリー映画です。

翻訳:山下 香子

2018 年にふたりは北極圏国立野生生物保護区を縦断するトレッキングの途中でポーキュパイン・カリブー [北米に生息するトナカイの一種] の大群に遭遇しました。地上を移動する哺乳類の群れとしては世界最長のものです。その後、群れの移動経路の近くに暮らすグィッチン (Gwich’in) 族の人々に出会い、この土地についての話を聞き、彼らの文化的慣習や食糧資源がカリブーと深く関わっていることを知りました。

 

 グィッチン族の人々は、アラスカ州北東部からカナダ北西部にかけて広がる、この大地を何千年もの間、畏敬の念を持って大切に扱ってきた。保護区内の海岸平野で原油と天然ガスの掘削が可能になった 2017 年末からは、その地帯を守るために闘っています。[2017 12 月に北極圏国立野生生物保護区における原油と天然ガスの掘削制限を解除することが連邦議会で可決されました。] このような開発はポーキュパイン・カリブーが出産のために訪れる土地を損ない、汚染や居住環境の破壊や石油流出事故によって、居住する人や生き物の生活を危険にさらさすことになります。ラ・ゼルのホームページ www.JeremyLaZelle.com/protect-the-refuge で『命のはじまる聖地』が公開されています。ぜひ、視聴して保護区を守る活動についてもっと知りましょう。

 

たのしい暮らしをつくるマザーアースニューズ

購読登録はこちらからどうぞ