ベストな有機肥料

窒素だけでなく、栄養素、ミネラル、有機物が豊富な天然の土壌改良を選択し、畑に栄養を与えよう。

 

文:Howard Garrett

翻訳:内野 清美

 

人類の農耕の歴史と共に有機栽培は行われてきた。農業が有毒な合成肥料や殺虫剤に依存するようになったのは、第二次世界大戦以後にすぎない。 これらの人工化学物質は、多くの作物の収量を一時的に増加させたが、長期的な生産コストを上げ、大気汚染や水質汚染を引き起こし、土壌構造を変え、生態系全体を混乱させた。

 粉飼、肥料、または堆肥化植物であっても有機肥料は、N-P-K(窒素 - リン - カリウム)、微量ミネラル、酵素、ビタミン、および多くの有機物を含んでいる。これらの成分のうち、100%が土壌や植物に有効だ。 対照的に、合成肥料は有機物を含んでいない。 土壌微生物にはこの炭素エネルギー源が無くてはならず、もし供給されなければ微生物は土壌から摂取し、それがあらゆる施肥で土壌の健全性を低下させる。

 合成肥料とは異なり、有機肥料は有益な土壌生物を阻害または殺したりもする硝酸塩などの高レベルの塩分を生成しない。有機肥料は栄養分をゆっくりと自然に放出する。有機肥料は合成肥料のように無駄な充填剤を含んでいないため、すべての成分が植物によって使用可能だ。

 N-P-Kだけを土壌や植物に与える事は、子供に炭酸飲料だけを与えるようなもので、土壌にも人間にも栄養のバランスが必要だ。良く分からない理由付けで、高レベルの窒素に特別に重点を置きこれら3つの栄養素は推奨され続けている。研究によると、土壌に施された合成窒素の80%以上が揮発または溶脱し、植物に到達する10〜20%は有害であると示している。他の研究では、過剰な化学肥料、有益な細菌、藻類、菌類、および他の微生物などの微生物相および微生物綱の活性を減速または停止させるとしている。また、過度の施肥は土壌中の自然プロセスにとって非常に重要な、ミミズ、ヤマネズシ、ムカデなどのマクロ生物にもダメージを与える。

 有機栽培で最も重要な物質は、分解過程で腐植になる有機物質だ。 腐植はフミン酸、その他有益な酸、無機栄養素になる。 有機肥料は、植物や動物から派生したものであり、育てる動植物に存在する微量元素のほとんどまたは全てを含んでいるため、人工物より優れている。 さらに、有機肥料は自然にゆっくりと放出され、必要な時に植物に栄養を与える。 合成肥料は植物に施肥直後に過度の栄養となり、そのタイミングは通常は間違っている。

 以下は畑の生産と土壌の健康を増進させるお薦めの最高の天然有機肥料だ。 このチャートは、N-P-K比とこれらの土壌改良添加物の利点をまとめたものだ。

 アルファルファ粉は、植物と土壌生物に多くの栄養的な利点を与える。 とても重要な成分の一つは、強力な植物成長調節物質であるトリアコンタノールである。アルファルファはビタミンやN-P-K、カルシウム、マグネシウムなどの貴重な鉱物が非常に多く含まれている。糖およびデンプン、タンパク質、繊維質;、および16個のアミノ酸を含む。100平米あたり5〜10kg使用する。アルファルフ粉でアルファルファ液を作るには、この記事の最後にあるレシピを参照のこと。

 コウモリ糞は窒素と多くの微量元素を含む天然の汎用有機肥料だ。天然の殺菌性を有し、農薬や化学物質で汚染される可能性はほとんどない。成長期に1〜2回適用するのがベストだ。窒素が10%まで含まれているので、過剰に使用しないように注意すること。

 血粉は、有機の窒素とリンの源だ。高価だが、綿実粉と混合するのが良い。

 骨粉は、球根、トマト、その他の野菜に推奨されるカルシウムとリンの源だ。リン鉱石のほうが安価で優れている。

 キレート剤は、無機金属分子が結合した有機化合物であり、植物の利用がより容易だ。キレート化鉄および他のキレート化された栄養素は、特定の栄養素の直接投与が欠乏を迅速に解決するために必要とされる場合に使用する。コンポスト、腐植酸、フミン酸、および微生物は、天然のキレート化特性を有する。

 コーヒーかす。古いコーヒーやコーヒーかすを畝や鉢植えに直接撒く。両方とも酸性で、N-P-Kを含む栄養素を有する。

 コンポストは最高の有機肥料であり、あらゆる有機栽培プログラムの鍵になる。栄養素、腐植物質、フミン酸、微生物が多く、分析は成分によって異なる。最高のコンポストは、干し草、おがくず、肥料、葉、小枝、樹皮、木片、植物、残渣、ピーカンナッツの殻、刈り草など、土地の様々な有機材料から作られる。

 トウモロコシグルテン粉は自然な雑草飼料である。メヒシバ属[学名 Digitaria]やその他の一年生雑草を防ぐために春に撒く。寒季や冬季の雑草の場合は、ホトケノザ、タンポポ、ナガハグサなどの抑制のため、100平米あたり8〜10kg <<1000sqf = 92.9sqm, 7 / 92.9 x 100 =7.5>> を秋に再び撒く。購入品に60%のタンパク質が含まれていることを確認のこと。

 コーンミールは、土壌または畝の準備に使用される場合、天然の真菌病防除剤として機能する。立ち枯れ病や斑点病を防ぐために、100平米あたり7〜10kgを散布する。食用のコーンミールは、全粒の有機コーンミールほど効果的ではない。

 ミミズ糞は、細菌、カルシウム、鉄、マグネシウム、硫黄、N-P-Kが高く、60種類以上の微量鉱物を有する。ミミズ糞はポットでも苗床でも種子を発芽させる優れた成分を含み、植え付け穴に入れる。ミミズ糞は柔らかく甘い香りで、クリーンだ。

 魚の加水分解物(魚液)。この濃厚な液体肥料は、土壌や葉の養分として直接使用する。有効な殺虫剤であるとされており、昆布液と混合すると良い汎用スプレーになる。約24時間は異臭がする。(魚エマルジョンはその処理方法により今は推奨されない)。

 魚粉はすべての植物に対し優れているが、大体が高価で臭いもある。

 花崗岩の砂は、花崗岩の採石場または自然の堆積物から出る砂のような残渣だ。植え床にミネラルを加える素晴らしい方法で、カリと多くの微量鉱物を含んでいる。

 生砂は、自然に堆積した海底の鉄 - ケイ酸カリウムである、緑雲母と呼ばれる自然採掘された物質だ。鉄やその他の微量鉱物の優れた供給源だ。他の肥料や有機材料と一緒に使用するのが最も良く、14〜20%の鉄を含む。

 石膏は、約23%のカルシウムおよび17%の硫酸塩である天然の土壌改質材(硫酸カルシウム)だ。石膏は植物の毒素を中和し、土壌からナトリウムを除去し、土壌構造を開き、通気と排水を促進する。高カルシウム土壌ではあまり必要とされない。

 フミン酸塩は基本的に低品位の亜炭で、優れた炭素源、フミン酸、微量鉱物だ。フミン酸の割合は変化する。フミン酸塩は、液体および乾燥状態で入手可能だ。

 過酸化水素は、希釈した量の土壌で使用するための酸化性液体だ。濃縮は危険で、過酸化水素を土壌の空気混和と凝集を助長するために3%の配合で使用する必要がある。過酸化水素の使用を継続しないこと。

 海藻粉は、海藻から作られた乾燥肥料だ。 その近似分析は1-0-8であり、根の成長を刺激し、植物の成長を調節する多くの微量ミネラルおよび植物ホルモンを含む。 土壌を整え、団粒構造や耕土を改善し、微生物を刺激するのに役立つ。

 溶岩砂は、溶岩砂利処理で残った廃棄物だ。 これはあらゆる造園や食用作物のための植木鉢や植床の準備に自然土壌改良として使用することができる。 溶岩砂は火山土壌では必要無い。

 石灰。 ドロマイト石灰は30〜35%のマグネシウムを含む。 大部分の低カルシウム土壌はマグネシウムを多く含んでいるので、高カルシウム石灰(炭酸カルシウム)が好ましい。

 肥料。肥料焼けの心配無く直接施肥できるもの:ウサギ、ラマ(別名「ラマ・ビーンズ」)、アルパカなど。高窒素含量のため、使用前に堆肥化されるべきもの:牛、馬、羊、七面鳥、および鶏。堆肥化する時は、肥料を葉、おがくず、わら、および他の植物性物質と混ぜる。工場の鶏はヒ素を含む多くの不自然な餌が与えられているため、自家の鶏や信頼する育鶏者の鶏ふん使用すること。

 微粉製品は、水と混合して葉に散布するか、土壌に浸透させる事ができる。高度なバイオアベイラビリティの傾向がある。

 ミネラル製品は、大部分の土壌にとって優れた天然補填材だ。多くは、溶岩砂、玄武岩、花崗岩の砂、リン鉱石、フミン酸塩、およびモンモリロナイトを含む岩石を含有する。

 糖蜜は、微生物に栄養を与え刺激するための天然の土壌改質剤として使用される炭水化物だ。硫黄、カリ、多くの微量鉱物を含んでいる。液状の糖蜜はスプレーで使用する。乾燥糖蜜は多くの有機肥料に含まれる成分の一つだ。

 リン鉱石は、海で形成される天然のリンとカルシウムの経済的な供給源だ。 主に食用作物や開花植物に用いられ、光合成の促進や雑草の抑制に役立つ。 種の発芽に力を存分に発揮する。

 発根促進剤。この一般的な用語は、軽度の肥料や微生物の活動や根の成長を刺激する物質を指す。 液体の海藻、酢、糖蜜、および堆肥液も発根促進剤として機能する。 ほとんどの市販されている発根促進剤は単に液体合成肥料であり、使用すべきではない。

 海草は葉のスプレーとして最もよく使用され、微量ミネラルの優れた供給源だ。 この天然有機肥料は頻繁に使用するべきだ。 根の成長と分枝を刺激するホルモンを含んでいる。 海藻は軽度ではあるが効果的な昆虫防除として、特にコナジラミおよびクモダニに対して機能する。 これはキレート剤として作用し、植物に対し他の肥料および栄養素を生物学的に利用しやすくする。

 Sul-Po-Magは、22%の硫黄、22%のカリウム、11.1%のマグネシウムを含む天然鉱物で、有機園芸ラインナップの優れた特殊品だ。

 硫黄は、アルカリ土壌で通常欠ける基本鉱物だ。 100平米あたり2.5kgの顆粒硫黄を毎年2回噴霧してカルシウムの塩基飽和度を下げ、マグネシウムを高める。 吸引、過剰な散布、播種時の使用に注意しよう。 発芽前除草剤として機能できる。 酸性土壌で使用すべきではない。

 

ギャレットさんのジュース肥料

このレシピで葉面散布スプレーと土壌肥料混合物を家庭で作ることができる。

  • 水・・・4リットル
  • 肥料堆肥液または液体フミン酸塩・・・1カップ
  • 糖蜜・・・30g
  • アップルサイダー酢・・・30g
  • 液体海藻・・・30g

使い方:すべての材料を混ぜる。 葉面散布には、濃縮物を水4リットルあたり60~85g混ぜ、すべての植物に使用する。 液体は1日のうち涼しい時間にスプレーする。 土壌処理の場合、施肥量を倍にする。

 

アルファルファ液のレシピ

 1カップのアルファルファを19リットルのバケツに入れ、バケツに水を満たし、一晩放置する。 この高濃度の液体を低木や花の根の部分にたっぷり与えるか、濾した後葉面スプレーとして使う。 長く放置しすぎると臭くなるので、すぐに使用すること。

 

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Best Organic Fertilizers

By Howard Garrett 

April/May 2017