環境再生型(リジェネラティブ)農業で生物多様性を向上させる 

マザーアースニューズ 農 環境

土壌の健康に重点をおいて生物多様性を高めることで、身体によい食べものをつくり、害虫もコントロールしよう。

 

文:ジョナサン・ランドグレン (Jonathan Lundgren)

翻訳:浅野 綾子

 

 小さいころ、どれくらいの頻度で車のフロントガラスをきれいにしなければなりませんでしたか。今 はどうでしょうか。

 誰の答えにも共通するのは、230 年前と比べても、今では車のフロントガラスに上ってくる虫は驚くほど少ないということです。

 この「昆虫界の黙示録」は世界中が舞台です。このことは食べものがどのように生産されるかに直接関係があります。ある研究では、過去 27 年間に、地球上の昆虫の生体量は 76% 失われたと推定されています。この耳を疑うような生物多様性の喪失を引き起こした主な 2 つの要因は、フードシステムの工業化がかかわる昆虫生息地の消失と、農薬使用の当初意図していなかった影響です。フードシステムを改良すると、この大規模な生物多様性の喪失とたたかう強力な武器を得られ、環境再生型フードシステムによって昆虫が消える原因となる多くの要因を克服できます。

 

役に立たない害虫対策

 「総合的病害虫管理 (IPM) 」 が挑んでいたのは決して勝利を収めることのできない戦いでした。1959 年、農薬への過剰依存が失敗であることが明らかになり、カリフォルニアの一部の科学者たちが、農薬の使用を減らして作物の収量を増やすことができる害虫管理について体系的な方法を考案しまし た。当時レイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」は、幅広く行われた IPM の啓発活動(現在も継続)を盛り上げました。でも、啓発活動は功を奏しませんでした。かつてないほどの農薬が環境中に散布されています。おそらく、害虫は 60  年前と同じように現在でも大きな問題でしょう。世界中で環境再生型農業を実践する農家は、IPM が正そうとしていた、かつて支配的だった誤った考え方を払拭しているところです。その誤った考え方とは、農業では害虫は避けられないもので、農薬は効果的な対策方法であるということです。

 害虫は避けられないものではありません。害虫が蔓延するのは、モノカルチャーという栽培条件だからであり、農業生態系から多様性や、生態系の網の目のようなつながりを排除するために起こります。ほとんどの害虫は遷移の早い段階で現れる生物であり、モノカルチャー栽培下でストレスが与え ら れた、害虫に対して生きものとしての抵抗力がない作物をエサにします。生命を排除する慣行が、 頻繁に姿をあらわす害虫の活動舞台になっているのです。IPM を推進する人たちは基本的にこう言います。「このように作物を生産するのですね。この生産方法で生じる問題をコントロールするのにもっと良い方法がありますよ」。 環境再生型農業を実践する農家ならこうです。「あなたの育て方は間違ってる。栽培方法を直せば害虫は問題にならなくなるよ」

 

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