Climate Farming (気候対応農法)の実践 

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気候変動を食い止める鍵は、私たちの足元にあるかもしない。

文:ジェフ・マイヤーとジョシュア・アンダーセン(Jeff Meyer and Joshua Andersen

翻訳:沓名 輝政

 

 現代の農業やガーデニングは、従来の方法では環境に悪影響を及ぼす可能性があります。環境保護庁によると、農業活動は世界の大気中の二酸化炭素排出量の 10% を占めています。また、従来の肥料や有機肥料からの過剰な窒素の流出は、ほとんどの農地の範囲を無計画に定めてきたことと相まって、湖、川、海の自然の生態系を崩し、魚や他の植物を窒息させてしまいます。

 このような行為は、表土から重要な栄養素を奪い、耕作可能な土地の可用性を下げ、そこで育つ食物の栄養価を低下させます。国連によると、土壌浸食はますます悪化しており、今後 30 年間で世界の農作物の収穫量が 10% 減少すると言われています。

 現代の農業では、収穫量を重視するあまり、伝統的な農家や有機栽培の農家の多くは、広大な単一作物の畑を作る「モノカルチャー」を行っています。モノカルチャーは、より多くの栄養分を投入する必要があり、土壌をさらに劣化させ、長期的な収量を低下させる可能性があります。

 有機農業は、必ずしも環境にやさしいものではありません。多くの大規模な有機農場では、水や植物の栄養分が土地から溶け出すのをほとんど管理しておらず、その結果、流出した水が近隣の生態系に悪影響を及ぼしています。

 伝統的な農業と有機農業の両方に問題があることを考えると、私たちはこの業界の環境への影響を無視し続けることはできません。今こそ、有機栽培の消費者、農家、菜園家が大規模農業に立ち向かい、有機栽培の枠を超える時です。気候対応農法は、有機農業の次のステップで、気候変動への配慮に関する革命です。気候対応農法の目的は、おいしくて栄養価の高い果物や野菜を生産すると同時に、表土の健康状態を改善し、有害な農作物の流出を減らしたり、なくしたり、炭素を固定したり、窒素を固定したりすることにあります。

 気候対応農法を構成する実践方法の組み合わせは新しいものではありません。再生型農業、パーマカルチャー、シントロピック・アグロフォレストリー(syntropic agroforestry)など、その土地固有の方法を活かして独自に組み合わせています。ジョージア州南東部のオケフェノキー国立野生生物保護区の近くにある、持続可能な生活のための開発施 設「ジョニー・アップルシード・オーガニック・ビレッジ(Johnny Appleseed Organic Village)」で、私たちは毎日これらの方法論を実践しています。私たちは、パーマカルチャーや環境科学の第一人者たちと一緒に、原則(下記の「気候対応農法の 5 つの原則」を参照)を常に観察し、微調整を行っています。気候対応農法は実行可能であるだけでなく、私たちの土地を炭素を吸収するオアシスに変えていることを報告できることを誇りに思います。 

 

気候対応農法の 5 つの原則

  1. 動物を栽培に組み入れる。
  2. 複数の品種を層状に隣接して植える。
  3. 表土の撹拌を最小限に抑える。
  4. 土留めや適切な灌漑などの侵食・水管理技術。 
  5. カバークロップやコンポストによる継続的な土壌改良。

 

再生型農業

 再生型農業とは、傷んだ土壌を修復したり、すでに良質な土壌を継続的に改善していったりすることを重視した農場経営の手法です。土壌の最上層を維持することは、植物の健康にとって非常に重要です。というのも、栄養素の大部分はこの貴重な数センチの層に蓄えられているからです。また、農業は土壌浸食全体の 4154% を引き起こすと言われています。

 再生型農場では、土壌と栄養分を守るために、従来の耕起をやめて表土の撹拌を最小限にしています。その結果、収穫した作物の根は、他の有機物と一緒に地下に残ります。良質な堆肥を投入することで、土壌の食物連鎖を促進し、将来の作物のために豊かな栄養素を供給することができます。

 カバークロップの使用で、土壌がさらに改善します。有機物が増えるだけでなく、浸食による土壌の質の低下を防ぎ、自然の花粉媒介者がいるよう促せます。

 再生型農場では、自然の生態系を模して、健康な動物の本能を利用して作物の栽培を行います。一般的には、豚を使って耕作し(下記参照)、養蜂し、チキントラクターの鶏を活用して除草し、土壌をほぐし、施肥しています。これらは、自然界に近い形で行われているだけでなく、化石燃料で駆動する伝統的な農具の使用を制限するのにも役立っています。

 気候対応農法では、再生型農業からの手法を取り入れて、栽培作業への家畜の組み入れ、堆肥化、土壌撹拌の最小化などをしています。。。

 

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