コーヒーの発酵方法

マザーアースニューズ 自然 自給 DIY

朝に飲むコーヒーがどのようにして生まれたのか、不思議に思ったことはありませんか?コーヒーの起源は、スーパーの棚に並ぶよりもずっと前から始まっている。

文:スコット・M・スピルガー(Scott M. Spilger)

翻訳:沓名 輝政

 

 コーヒーは、世界で最も多く取引されている輸出商品の一つです。赤道を挟んだ南北の比較的狭い範囲の約70カ国で栽培されています。商業的に栽培されているコーヒーには、大きく分けて2種類あり、アラビカ種(Coffea arabica)とロブスタ種(C. canephora)です。アラビカ種は世界のコーヒー生産量の約60%を占めており、スペシャルティコーヒー産業で使用されるコーヒーのほとんどを占めています。

 完熟したチェリーのようなコーヒーの果実は、いくつかの工程を経て、後に出荷される種子(私たちが目にする緑の生豆)になります。果実から輸出可能な生豆になるまでには、「ウェット・プロセス(ウォッシュド、水洗式)」「ドライ・プロセス(ナチュラル)」「セミドライ・プロセス(半水洗式)」という3つの異なる製法が用いられます。これらのプロセスは、内部の豆と外部の果実との接触、水の使用、(どれだけ水を利用できるか、有機栽培の規制、最近では廃水管理などの)農家の加工方法に影響を与える要因、そして風味やコーヒー豆のプロファイル[芳香、アロマ、酸味、ボディ、余韻その他の特質]によってそれぞれ異なります。それぞれのプロセスの中で、発酵は種から豆を取り除くために少し異なる役割を果たしています。

 この3つのプロセスは、コーヒーの物理的・化学的組成、処理時間、(酸味、コク、風味の複雑さ、甘さなどの)属性に影響を与えます。

 コーヒーの豆には複数の層があり、その層はコーヒーの製造工程の中で様々な場面で使われたり取り除かれたりします。 

 

コーヒーの豆の構造

 アラビカ種やロバスタ種のコーヒー豆は、実は「実」であり、定義によっては「核果」とみなされることもあります。いずれにしても、コーヒーの豆は複数の層で構成されており、それぞれの層が発酵の過程で特定の機能を果たします。

 コーヒーの豆の表皮(外皮)は、ワックス状の物質が浸透した多孔質の細胞の単層で構成されています。その下には果肉(中果皮)と粘液質(ミューシレージ:植物に共通する粘り気のある物質)があり、ほとんどが水分です。また、果肉にはペクチンが多く含まれています。ペクチンは、豆の成長と細胞壁の物理的構造の維持に重要な役割を果たします。

 粘液質の下には、パーチメントのような覆い「内果皮」があり、これが2つのコーヒー豆を覆っている「シルバースキン(チャフ)」という薄い層を包んでいます。水洗式の場合、パーチメント層は発酵・水洗・乾燥 後にハリング[皮を取り除く作業]によって取り除かれ、シルバースキンは焙煎によって取り除かれます。ドライ・プロセスの場合は、粘液質とパーチメント層を一緒に除去します。セミドライ・プロセスでは、これらの層の除去がプロセスの途中で行われます。

 

ウェット・プロセス

 スペシャルティコーヒーの世界では、ウェット・プロセス(水洗式)が最も広く受け入れられており、他のプロセスに比べて透明感(識別可能な風味や味)や風味、よりはっきりとした酸味のあるコーヒーを作ることができます。一般的には、水洗式の方が安定したコーヒーを作ることができます。 

  豆を収穫した後、生産者は一連の分離プロセスを開始します。風選(風とふるいで分けること)で豆から軽いゴミを取り除き、水圧分離(hydraulic separation)でより重いゴミを取り除きます。。。

 

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