薪を燃す齢を重ねる人のための適正技術

98歳の時、経済学者で実践主義者のスコット・ニアリング (Scott Nearing) は言った。「ところで、少なくとも私はまだ森で木を割って運べる。」

 

文:Kevin Gleaves

翻訳:金広 まさみ

 

 スコット・ニアリングと違って、いつかは死ぬ私たち人間のほとんどは90代後半よりも前に、年をとったと思い知り、薪を割ることで、その事実をただ痛感する。私はマザーアースニューズが1978年1月/2月号(あなたもそのやり方を見られる)で、処分された温水ヒーターで薪ストーブを作るやり方を発表して以来、薪を燃やしてきた。それ以来毎年のように、木を切る時新しい鈍痛や激痛を見つけると言えそうだ。私の整形外科医が言うように「60過ぎた人は全員、変性椎間板疾患がある。ただある人々は他の人より悪くなるだけだ。」もしあなたが私のように悪くなる「ある人」なら、木を切るのは年を重ねるごとにはっきりとますます難しくなる。

 薪を加工処理する楽な方法を見つけるには、今あなたがしている木を熱に変える全段階を注意して見るべきだ。持ち上げと運搬を伴う多くの段階があることが、すぐに明らかになるはずだ。薪を動かすのは普通、実際に切って割るより大仕事で、はっきりと背骨につらい。

 それで、最初の段階はどのように薪を切るかよく調べて、している全行動を書き出すことだ。それから、助けになったり各工程を省いたりするのに何の道具が利用できるか検討したほうがいい。私が表にした道具に限定しないように。なぜならあなたは私には入手できない道具を持っているかもしれないから。

私にとって使えるもの

私はパレットフォークのローダーとフィンガーつきのバックホーのあるコンパクトな万能トラクターを持っている。高さ40cmの側壁のついた パレットを何枚も持っている。丸太を吊るのに役立つ油圧式クレーンのついた薪割り機も持っている。背中を労わりつつ薪を作る工程:

 1. 鋸で切るために丸太を持ち上げる必要があれば、切りやすい高さに持ち上げるのにパレットフォークかバックホーを使う。

 2.フィンガーアタッチメント付きバックホーを使って、壁のあるパレットに丸太の薪を積む。

 3.パレットフォーク付きローダーを使って、荷を積んだパレットを持ち上げ、薪割り機まで運ぶ。

 4.丸太を薪割り機の横材の上に置くために、薪割り機に付属の油圧式クレーンを使う。

 5.丸太を割って断片をパレットにポンポンと入れる。それから、ばらの断片を手に取って立てたパレットにびっしりと詰める。

 6. ひもとローダーを使って、割った薪のパレットを貯蔵場所に動かす。パレットを何枚も持っているが、たぶん私が必要とする貯蔵を全て満足することは決してないだろう。この写真では、薪割り機の所でいっぱいに詰めたパレットはすでに台車の上だ。

 7. もしパレットがすでに台車の上にないなら、パレットと台車をトラクターに載せる前に、木でいっぱいになったパレットに台車を縛って固定するのにトラクターを使う。さあ、木をストーブの脇へ転がせる。ストーブは地下にあるので、ガレージからストーブへ平らで水平な道がある。台車は2個あるので、片方がストーブの側にある間もう一方で荷を積める。

 8. ストーブに木をぽいと投げる。そして熱を得る!

 私の作業の流れでは、個々の割れた薪を手で持ち上げるより重いことは何もない。しかも、たった2回だ:1回は薪割り機からパレットへ、そしてもう一度パレットからストーブへ。

 この工程は私の必要を満たし、持っている道具を利用するように設定してある。購入物は油圧式クレーン、台車とバックホー用のフィンガーアタッチメントだけだ。また、友達がくれたFRPのパレットへ横壁を加えた。

 さあ、必要性、方法と、既に利用できるか買うつもりの道具にぴったりのあなた自身の工程を作る準備ができた。あらゆる可能性があなたの環境にあることだろう。

 システムを創り出したあと、森で試す。1日の終わりに家に帰って、うまくいったこと、うまくいかなかったことと改善できることを考える。工程の流れを修正して再び試す。

 

腰を助けるため考えられる道具と方法:

 一家のエネルギーを大切に使う。切るのに最も楽な薪は、全く切らなくてよい薪だ。空気の漏れを目張りし、絶縁材を施し、室内温度を下げて、エネルギーを大切に使う。もしあなたがマザーアースニューズの読者なら、たぶん家をもっとエネルギー効率良くする方法について既に良い考えがあるだろう。多くの電力事業会社はまた、家庭のエネルギー審査を無料で提供してくれる。

 薪ストーブの効率を良くする。多くの最新式の薪ストーブは明らかに、古いストーブより効率が良い。効率の良い新しいストーブが家計的に可能でないなら、古いストーブによっては火室のまわりに耐火れんがの断熱材を加えることで改善できる。

 小さい木を切る。小さい木は小さい丸太を生む。小さい丸太は扱い、持ち上げ、運搬が楽だ。私は普通、胸の高さでたった直径30cmの木を切るのが好きだ。しかし時々、大きな木が枯れてただ処理しなければならない。やれやれ。

 友人。何事も手が多ければ楽だ。そして援助は普通、皆が気前良さを分かち合えば無料だ。

 二人用材木運搬機。これはただ中央に丸太鋏みがついた大梁だ。この道具だと二人で一人が持ち上げられる3倍を楽に持ち上げられる。そして安い。

 ロフロントローダーのバケット。ローダーにつけたバケットで、新たに切った薪の丸太をバケットに積み、薪割り機に移動することができ、  割った薪の仮置きの山から薪を積み薪の山へ移動し、地面から丸太を持ち上げることができる。そして他のあらゆる仕事も。

 バケットかバックホーにつけたハサミ一組。新たに切った丸太の薪を拾い上げ、直接薪割り機の台の部分に移動し、手を使って丸太を運んで薪割り機に持ち上げることをなくす。

 トラクターのローダーのパレットフォーク一式。バケットを使うよりもっと楽にフォーク一式で丸太を持ち上げられる。また荷を積んだパレットをA地点からB地点に動かすことができる。先端に穴のあるフォークを持っているなら、ハサミをつけて、丸太を先の方法で動かせる。

 パレット。材料を動かすのにとても役に立つ。

 バックホー用のフィンガーアタッチメント。フィンガーは、ハサミを使う時しなければいけないように操作者が下りないで、バックホーで丸太の薪を拾うことができる。これで、パレットに丸太を置いて、長い距離を動かせる。

 薪割り機のための丸太リフト。油圧式丸太持ち上げ傾斜路、玉掛けつき油圧式クレーン、頭上の横材や昇降機のついた台車のような機構は、薪割りで最も難しい仕事のひとつ(丸太を薪割り機の台の部分に持ち上げること)をせずに済ますことができる。丸太を台の部分に持ち上げる必要がなくなるので、垂直の薪割り機を考えてもいい。

 DRヴァーサトレーラー (DR Versa-Trailer)。DRのトレーラー製品には、丸太の薪をトレーラーに積み、トレーラーから降ろして薪割り機に置くのに使える一体型油圧式クレーンがある。バケットのついたトラクターはないが、全地形車があるなら、これは特に魅力的かもしれない。

 丸太運搬車。2輪の丸太運搬車で、薪を薪の山からストーブに運ぶのに手でするより、とても楽になる。その作業用に設計された運搬車は、一般の2輪の手押し車よりかなり使いやすい。

 年を取るにつれ、ますます手助けしてもらう機械を使いがちだ。私の最盛期にさかのぼると、薪を伐るのに使った道具は、丸太をトレーラーに引きずるトラクター、丸太を玉切りするチェーンソーと薪に割る木割用大木槌だけだった。薪をトレーラーに載せた後、ガレージに入れる。そこはストーブに十分近いので、貯蔵所を追加する必要もなかった。

 

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マザーアースニューズ

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Cut Firewood the Easy Way

By Kevin Gleaves 

April/May 2017