この簡単で手間の少ない堆肥化法で、有機物をリサイクルして土を豊かにしよう。
文:ジョン・ウィルソン(John Wilson)
翻訳:津田 嘉江
全ての善意の菜園家と同様に、土の健康を築くため、菜園そのものとキッチンの両方から出る有機ゴミを全部堆肥化することが私の義務だと信じています。しかし、私はいつも典型的な堆肥の山のしくみと生物学に苦労してきました。時にはまずまずの結果を得たこともありますが、雑誌やテレビの園芸番組で見た羨ましくほぐれた堆肥を手に入れたことはありません。
しかし今、私はボカシ堆肥化法として知られる技法により、全くイライラせずに、生ゴミの全ての養分を菜園に投入しています。「発酵させた有機物」という意味の日本語であるボカシは、直接土に投入するまでの間、ほぼ無臭で発酵し保存する堆肥のしくみを指します。この工程で使われる発酵微生物は、米ぬかや小麦ふすま、麻、ケナフの繊維といった乾燥した基材で増殖します。この技法はとても簡便で、小さな菜園や都会の菜園、温室やプランター菜園にも使うことができ、有機物のリサイクルに革命を起こしました。
なぜボカシは働くのか
土壌で生きる微生物は多くの異なるタイプの生物を含んでいますが、細菌はそれにも増して最も多種類な集団です。全ての生きている生物のように、細菌は成長と細胞成分の修復、栄養の運搬、運動、繁殖のために、環境からエネルギーを取り込めなければなりません。微生物は通常エネルギーを取り込むために炭素含有化合物を消化します。これらの消化法のうちのふたつが、呼吸という有酸素(空気を含む)代謝プロセスと、発酵という無酸素(空気なし)代謝プロセスです。呼吸の最終産物は無機物と二酸化炭素、水です。発酵の最終産物はさまざまな有機化合物(酸、アルデヒド、ケトン、アルコール)と二酸化炭素です。
発酵菌をできるだけ早く生ゴミに導入し、コンポストバケツから空気を排除することで、好気性菌の定着と有機物の腐敗を防ぎます。発酵過程の間に容器がしっかり密閉されているなら、二酸化炭素の蓄積を防ぐため排気弁が必要になります。しかしコンポストバケツを密閉せずに覆っておくと、生成された二酸化炭素が、酸素がバケツに入るのを防ぎます。覆いは少量の二酸化炭素を逃がします。
普通、好気性の堆肥の山では、大量の大気中の栄養素(炭素と水素、窒素)が呼吸により消費され、大気中に漏れ出し、主にリグニンとセルロースを残します。それらは土の質感を改善しますが、微生物や栄養的な価値は変えません。生ゴミの発酵により、大気中の栄養素が保持され土に直接届けられます。化学肥料やカバークロップなしに窒素を高める優れた方法です。酸素を多孔質空間に含んでいる土の中に発酵堆肥が投入されると、通常の腐敗過程が起こり、野菜クズは姿を消します。。。
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