遺伝子組換え(GM)蚊の放出

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2021 年 5 月、英国のバイオテクノロジー企業オキシテック(Oxitec)社によって、フロリダキーズ[フロリダ半島の先端に連なる諸島]で数千匹の遺伝子組換え(GM)蚊の幼虫が放たれました。

 

Photo by Syed Ali on Unsplash

 翻訳:沓名 輝政

 

  このオスの蚊は、メスの子孫が繁殖年齢に達するのを防ぐ自己制限遺伝子を実験室で改変され、その後、孵化、成長、交尾のために野生に放たれました。オキシテック社によると、このパイロットプログラムは、デング熱、ジカ熱、黄熱病などの蚊に関連する病気の発生率を下げることを目的としており、対象となるのはネッタイシマカ(学名 Aedes aegypti)という種に限定されているといいます。

 ネッタイシマカは世界的に多くの病気を媒介していますが、殺虫剤への耐性が高まっているため、科学者たちはより永続的な害虫駆除を追求しています。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、2019 年以降、10 億匹以上の GM 蚊が全世界で放出されており、人や動物、環境にリスクはないといいます。

 しかし、このプロジェクトは物議を醸し、市民団体や環境保護団体から、この技術が長期的に被害を及ぼさないことを確認する十分な情報が得られていないという批判にさらされています。Center for Food Safety(米国食品安全センター)によると、一部の科学者は、この蚊が敏感な生態系を脅かしたり、さらに農薬耐性のある病気の媒介者となる野生の交配種を繁殖させたりすることを懸念しており、フロリダキーズの地域住民は、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)がなされていないことを非難しています。

 しかし、環境保護庁は 2 年間の実験使用期間を承認し、その間に最大 10 億匹の遺伝子組換え蚊がキーズに放たれることになりました。

 

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