ドイツにおける飛翔性昆虫の減少

ドイツの昆虫学者達が、生態系への深刻な影響に結びつく、過去30年弱にわたる劇的な数の飛行型昆虫の減少を報告した。

 

翻訳:河内 篤

 

ドイツの飛翔性昆虫の個体数は、2016年に昆虫学者達が結論付けた27年間の昆虫の生物量の調査結果によると、過去30年以内に76%減少しました。真夏はより減少し、82%でした。研究者達の研究結果は、国内の63の自然保護地域から採取された標本から導き出されたものです。そして、2017年10月に PLOS ONE にて出版されると「昆虫のハルマゲドン」だと報道され、科学者たちが世界的な影響を警告しました。たくさんの昆虫が、分解や授粉のような、生態系健全性に重要な役割を果たしているので、昆虫が少なくなると言うことは、食物連鎖内でつながる上位のどの生物にとっても、食物の減少を意味します。

 研究者達は、その研究結果が気候、土地利用、居住環境の特性に関係無く、居住環境の全てにわたって首尾一貫していることに気付きました。農業の強大化(農薬利用も含む)もその結論に寄与するでしょうが、そのデータを分析に組み込むことは出来ませんでした。彼等は、それらは特に不可解な現象だとしています。と言うのも、それらの試料は多様性の保護を意図する場所から取られたものだったからです。多様性の損失は、この研究によって示唆され、食物連鎖、生態系において連続的な負の衝撃となるであろう、と研究者達は報告しています。また、この減少の原因、規模、影響をこれまで以上に研究することが急務だと訴えています。

 PLOS ONEの研究(www.PLOS.org にて「flying insect biomass」で検索出来る)の出版以来、他の研究で様々な昆虫の個体数の劇的な減少が確証されています。米国科学アカデミー紀要の2018年10月号にある報告では、プエルトリコのエルユンケ国立森林公園にて気候変動による昆虫の減少、それに続く、トカゲ、蛙、鳥のかなりの減少を説明しています。

 長期の収集データは限られてはいるものの、これらの研究は、昆虫が消滅しているという風説の信憑性を高めています。とは言え、世界的な昆虫の減少の影響の大きさを追跡調査し、理解するために、更なる研究が望まれています。

 

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Germany’s Declining Flying Insect Population

By Amanda Sorell |  February/March 2019