ファイヤーサイダーで燃え上ろう

マザーアースニューズ 健康 レシピ

この伝統的な治癒薬は、免疫システムを強化するなど、健康上の利点で知られている。

文:ローズマリー・グラッドスター (Rosemary Gladstar)

翻訳: 向井 真珠

 

 リンゴ酢は、世界で最も普及している健康アイテムの 1 つかもしれません。安価で、保管が簡単、多目的に使えるリンゴ酢は、まさに「液体の金」です。世界各地を旅して、リンゴが育つ場所を探してみましょう。リンゴ酢のレシピや治癒薬のあらゆる使われ方を見つけることができるでしょう。いくつかのリンゴ酢レシピは、何世紀にも渡り受け継がれてきました。

 科学はこれまで、長年の利用とこれらの効用にまつわる無数の証言にも関わらず、リンゴ酢のような簡単な家庭療法を無視してきました。しかし、流れはゆっくりと変わりつつあります。評判のよい、正確な研究の大きな流れは、リンゴ酢の健康効果を裏付けています。最も有望と思われるのは、糖尿病、感染症の治療、そして減量の分野にあるようです。

 

治癒薬の研究

 いくつかの研究で、体が血糖値のバランスを整えるのにリンゴ酢が役立つことが分かりました。インスリンを摂取しなかった 2 型糖尿病患者のある研究では、就寝前に大さじ 2 杯のリンゴ酢を飲むと、翌朝の血糖値が低下することが示されました。別の研究では、インスリン抵抗性と診断された人は、高炭水化物食を食べる前に水に混ぜたリンゴ酢を飲んだ人は、飲まなかった人と比較して、血糖値が低いことがわかりました。 

 2004 年以来、アリゾナ州立大学の栄養プログラムの教授であるキャロル・ジョンストン (Carol Johnston) は、酢の主成分である酢酸が糖尿病患者の血糖値に及ぼす影響を研究してきました。彼女の研究は、酢は、2 型糖尿病の人や、前糖尿病(インスリン抵抗性)の人、そして健康な被験者でさえ、血糖値を下げるのに役立つと指摘しています。アメリカ糖尿病学会は、査読付き論文誌「Diabetes Care」で、「酢はインスリン抵抗性の被験者における食後のインスリン感受性を改善する」とし、「糖尿病治療薬としての酢の有効性を検討するため更なる調査が必要である」としています。 

 

リンゴ酢の安全性

 どんないいことにも終わりがあるように、リンゴ酢がすべての人に万能というわけではありません。

 リンゴ酢はぬるま湯またはジュースで希釈して使用することをお勧めします。希釈していない酢は、歯のエナメル質を侵食し、歯が黄色くなることがあります。

 一部の人たちには、リンゴ酢が消化不良をおこすこともあります。胸やけと消化不良が最も一般的な副作用です。上記のように希釈するか、少量の蜂蜜またはメープルシロップを足してみてください。症状が続くようならば、酢の使用をやめてください。

 リンゴ酢は、胃潰瘍を刺激する可能性があるため、患者にはお勧めしません。リンゴ酢は、酵母菌による膣感染症など、酵母菌の異常増殖を経験している人には役立ちますが、症状が悪化した場合は使用を中止する必要があります。 

  

 最近のいくつかの研究では、リンゴ酢が感染症と戦う能力も検証されています。リンゴ酢の、大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンスに対する抗菌作用に焦点をあてたものもあります。この研究の著者らが査読付き論文誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」で述べているように、「抗生物質耐性の事例が世界的に増加していると言うことは、代替の抗菌薬が不可欠であると言うことです」。彼らは、被験者に様々な希釈度のリンゴ酢を与え、それが「臨床の治療で意味を持つ複数の抗菌薬の可能性」を実証したと報告しました。

 他の研究では、減量を助けるというリンゴ酢の能力を実証しています。なぜなら、リンゴ酢の主成分である酢酸で、満腹感を得られるからです。175 人の肥満者を対象にしたある研究では、3 ヶ月の期間にわたり、毎日大さじ 12 杯ほど飲むことで、お腹の脂肪が減り、体重が減った(平均で 23 ポンド (0.91.4))ことを明らかにしました。

 ある別の研究は、「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry(生物科学、生物技術、生物化学)」の中でこのように報告しています。太りすぎの人の体脂肪量を減らすリンゴ酢の能力に焦点を当て、 3 つのテストグループの被験者が、15 ミリリットルの酢、30 ミリリットルの酢、または偽薬のいずれかを含む飲料を毎日 500 ミリリットル摂取したところ、「体重、BMI、内臓脂肪面積、ウエスト周り、血清トリグリセリド値は、両酢摂取群で偽薬群よりもかなり低かった」と。もちろん、リンゴ酢は、脂肪を溶かす魔法のトリックではありません。しかし、健康的な食事や運動と組み合わせれば、体重の減少を助けられるのです。

 

有名な調合法

 1980 年代初頭、私とカリフォルニア・スクール・オブ・ハーバル・スタディーズ (California School of Herbal Studies) の学生のグループは、冬の健康のためにリンゴ酢を使った調合法を生み出しました。以来、「ファイヤーサイダー」は独自の生命を発展させ、まるで私が旅行したり教えたりしたように世界中に広まっていきました。長年にわたり、新しい組み合わせが出るたびに元の式が更新されていきました。人々はハーブを調整し、蜂蜜をもっと追加しました。何人かは、抗炎症作用のために新鮮なすり下ろしたウコン、免疫向上のためにエキナセアや、ビタミン C のために新鮮なレモンスライスを追加しました。有名なファイヤーサイダーの多数のバージョンが今日使われています。ここでは、オリジナルのレシピと、ハーブコミュニティの友人による他の 2 つのバージョンをお伝えしましょう。 

 

エルダーベリーファイヤーエリクサーレシピ

 2004 年にローズマリー・グラッドスターのハーブ見習いコースを受講していた時に、私は初めてファイヤーサイダーを味わいました。以来ずっと、私は自分のオリジナルバージョンを調合してきました。西洋ワサビの収穫後である秋に毎年作っています。一般的な強壮剤として冬の間使うためです。風邪やインフルエンザの症状がある時は、1 日に数回、ショットグラスでゆっくり、ちびちび飲みます。免疫力を向上したいなら、8 週間の抽出時間を待たずにファイヤーサイダーを使ってもいいでしょう。

 私はローズマリーの基本的なファイヤーサイダーのレシピにエルダーベリーを追加して、免疫力をさらに高めます。そうするとエリキシル[万能薬]の色が暗くなります。可能な限り、地元の有機食材を使ってくださいね。

 作り方:半ガロン (1.9 L) の瓶に、西洋わさび、 玉ねぎ、ニンニク、ショウガ、唐辛子、エルダーベリー、そしてレモンを入れ、十分な量のリンゴ酢を材料にかぶるまで入れます。非金属性の蓋で密閉します。浸かるように脇に置いて、瓶を毎日ふります。8 週間後、そのリンゴ酢をきれいな瓶に濾して入れます。必要に応じて、蜂蜜を加えて風味をつけます。私はクォート (0.95L) あたり 1/2 カップ (120ml) の蜂蜜を追加しますが、1 カップ (240ml) ほどを好む人もいます。しっかりとカバーして、瓶にラベルを付けます。

スーザン・ベルシンガー (Susan Belsinger)、メリーランド州ブルックビル

 

材料

  • 新鮮な西洋ワサビの根(すり下ろす)・・・1/2 カップ (120ml)
  • 玉ねぎ(みじん切り)・・・1 カップ (240ml) 
  • ニンニク(鱗片をバラし、皮をむき、みじん切り)・・・1
  • 新鮮なショウガ(すり下ろす)・・・1/2 カップ(120ml)
  • カイエンペッパーまたはその他のホットチリ(新鮮もしくは乾燥したものをみじん切り)・・・12 個(またはカイエンを粉砕したもの・・・小さじ 1
  • 乾燥エルダーベリー・・・1⁄2 カップ (120ml) 、または新鮮なエルダーベリー・・・1 カップ (240ml) 
  • 新鮮なレモン(縦半分に切って、横向きにスライスする)・・・1
  • リンゴ酢(材料を浸けるため)・・・111⁄2 クォート (0.951.43L)
  • 生蜂蜜・・・1/2 1 カップ (120240ml) (お好みで)

 

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