土壌pHテスターはどれほど正確か:専門家に聞く

 

園芸専門家が家庭用検査キットの精度を評価 

 

電子メーターは、土に直接刺すのではなく、土に水を混ぜたもののpHを測定しなければなりませ ん。Getty Images/Atlantic.Adv 

翻訳:藤井 さわ

 

 春植えの準備に土壌の検査をしたいのですが、検査所にサンプルを送らずに行いたい。家庭用検査キットの検査結果はどれほど正確なのでしょうか?

 自宅で土壌を検査するには、3種類の土壌pHテスターがあります。化学染料、pH試験紙、そして電子pHメーター。いずれの場合も、土に水あるいは付属の緩衝液を混ぜなければなりません。それぞれ正確度が違います。

 化学染料は土と水の混合液に混ぜ合わせ、その結果生じた色をキット付属の表と比較してpH値を判定します。この種の検査は非常に扱いやすいのですが、不正確な結果が出やすいです。

 pH試験紙はリトマス紙の上位版です。リトマス紙よりも正確で、各試験紙に何色かの目安があります。正確度は測定可能域、目安となる色数の多さ、また、製品全体の質によって変わってきます。肝心の土のpH域は5.0から8.0なので、この範囲をカバーしている試験紙の方が、広い測定域のものよりもよいことになります。範囲が0.0から14.0の製品は、土壌の測定には適しません。色数の多いものは高価であれば精度が高く、質は値段に左右されるところが大きいです。

 そして、様々な電子pHメーターが売られています。土と水の混合液の中に付属の探針を刺しこむと、表示盤から直にpHを読み取ることができます。安価なものは探針が金属でできていて、取扱説明書には探針を直接土壌に差し込むよう指示されています。もちろんその方が手軽ですが、上述のように、まず土と水を混ぜた溶液を作らずして有用な測定値は得られないでしょう。

 pHとは、酸性度の測定単位であり、0.0から14.0の間の数値で示されます。7.0より小さければ酸性、7.0より大きければアルカリ性です。値7.0は中性です。pHは対数目盛りで測られますので、pH5.0はpH6.0より10倍酸性であることになります。このため、pHが小数点以下1桁まで測定できなければ、菜園家に有用な値とはなりません。この正確度は前述のどのpHテスターでも得ることはできません。

 やはり土壌のpHを正確に測る必要はありますか。その情報でもって何をしようとしているかによるでしょう。庭にどの植物を植えるかを決める手助けとしてpHを知りたいのであれば、正確な値である必要はありません。土壌が強い酸性か、酸性よりから中性か、あるいはアルカリ性であるかがわかれば良いのです。ほとんどの植物は広範囲のpH値で十分によく育ちます。植物のほとんどは、弱酸性から弱アルカリ性の土壌で育つのです。おおよそ6.0から7.5が範囲ということになり、大抵の土壌のpHがあてはまります。

 地域の菜園家と話すことでも土壌のpHに関する有用な手掛かりが得られます。アザレアやブルーベリーといった酸性土壌を好む植物で成功しているでしょうか。成功していれば、その地域の土壌はかなり酸性です。そうなければ、その地域の土壌は恐らく弱酸性かアルカリ性でしょう。どの植物にするかを決めるには、それ以上に正確である必要はないでしょう。

 正確度は、土壌のpHを変えたい時に重要になってきます。覚えておいてください、pHが1.0変わることで実際には酸性度が10変わりますので、正確なpHで取り掛からなければ、過剰になったり、過少となります。

 pHを調整した土壌を維持するのは容易ではなく、年間を通して注意が必要になります。目の前にある土壌は、何千もの他の植物に適していますので、その土壌で育つものを選んでみてはいかがでしょう。そうすれば労力は少なくて済みますし、植物にとってもその方がよいでしょう。さらには、土壌のpHを検査する必要もなくなります。

 

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How Accurate Are Soil pH Testers?

December 2017/January 2018

By Robert Pavlis