オフグリッドソーラーを最適化しよう

文：ホス・ボイド（Hoss Boyd）

翻訳校正：沓名 輝政

　私たち夫婦は、町外れにある広い庭とたくさんの木々に囲まれた、しっかりとした造りの家を満喫しています。電気は道路にある電柱から、水道は市の水道事業者から、天然ガスは天然ガス供給会社から供給されています。世界のエネルギーの中心であるテキサス州南部に住んでいるのだから、心配することはないのでは？2021年2月、テキサス州を壊滅的な冬の嵐が襲うまでは、多くの人がそう思っていました。多くの人が水も電気もガスもない状態に陥りました。井戸があってもポンプを動かす電気がなく、発電機を持っていても燃料が手に入りませんでした。どんなに立派な家でも室内の温度は危険なほど低くなっていました。幸いなことに、我が家は電気もガスも通っていました。しかし、たとえそうでなかったとしても、私たちは最悪の事態を覚悟していました。もし電気やガスが止まっていたら、不便な思いをしたかもしれませんが、事前の準備と私の自給自足スキルのおかげで、何とか乗り切ることができたと思います。

　そのような状況を乗り切るためのノウハウは、過酷で困難な環境で生き抜いてきた経験からきています。私はアーカンソー州の片田舎の農場で育ち、家族はほとんど自給自足の生活を送っていました。その後、アラスカのフェアバンクスで3年間暮らしましたが、そこでは電気を使わない生活が普通で、基本的なサバイバル術の熟知が必須でした。ですから、私たち夫婦は現在、電力供給を受けていますが、私はオフグリッド・エネルギーについて、また、主要な電力供給源に接続されていない状況で快適な生活を送るために必要なことについては、よく知っています。

　オフグリッド（独立型）生活を成功させるために最も重要なことは、エネルギーを意識した考え方を身につけることかもしれません。私は太陽光発電と蓄電を専門としていますので、オフグリッド生活を太陽光発電で補う場合、あるいはオングリッド（系統連系型）の住宅や建物をより省エネにする場合のポイントについてご紹介します。

　人間の基本的な欲求といえば、4つが必須で「住まい」「水」「食料」「エネルギー」（その順番でしょうか）。このうち、オフグリッド太陽光発電システムには、住まいとエネルギーの使い方が最も関係してきますので、ここではそれを中心に説明します。

シェルター（身を護る住処）を確保する 

　アラスカ先住民にとってシェルターは最優先事項であり、雪や氷、流木や鯨の骨などの自然素材を用いて、暖かく効果的な構造物を作っていました。この地域にやってきた入植者たちは、ありあわせのものを使って家を建てていました。最初は薪ストーブのある古いアーミーテントなどの一時的なシェルターから、ログキャビンなどの恒久的なシェルターへと移行していきました。使えるものは何でも使うというのが、一般的なルールでした。私は現地にいる間に、最近のシェルターの作り方の工夫をいくつか目にしました。中でもユニークだったのは、輸送用パレットを使い、外壁と屋根を古いナンバープレートで覆った構造です。

　電気が普及する以前、アラスカの人々は暖房や調理に火を使い、明かりはランタンやロウソクに頼っていました。現在、アラスカではオフグリッドの太陽光発電が一部で使用されていますが、6ヶ月間太陽の光が届かないため、太陽光発電システムではなく、発電機で時々電力を得るか、その2つを組み合わせて使用することが一般的になっています。

　アラスカでの体験から得たものは、オフグリッドでなお上手く暮らす方法をより深く理解できたことです。私が今住んでいるテキサス州南部では、かつてアラスカの基準で家を建てるのはやりすぎだと考えられていました。エネルギーが安価で豊富な時代でしたから。しかし今では、アラスカ基準の家に組み込まれた特別な省エネ機能は、オングリッドでもオフグリッドでも、すべての人にとってより理にかなったものとなっています。

　建物のエネルギー効率を高めるには、優れた断熱と適切な気密が最も効果的な方法です。屋根裏の断熱や窓まわりの雨漏り対策も重要ですが、それだけにとどまらないのが住まいの安全性です。例えば、アラスカの多くの家には、屋外と家の間の断熱材として、ポーチのような囲いのある構造物があります。我が家では、ガレージとキッチンの間に断熱性の高い土間を設け、同じような役割を持たせています。

　もし、あなたが家を設計するメリットがあるなら、省エネ機能を組み込んだ設計をしましょう。また、より太陽光発電に適した家にするための機能を追加することもできます。例えば、南向きの屋根を最適な太陽光発電の。。。

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