次々と明らかになる殺虫剤研究

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ネオニコチノイド(ネオニコ)のような浸透性殺虫剤は、植物に吸収されてその組織に移行し、その植物を餌とする昆虫を殺します。

 

 

広く使用されているこれらの農薬は、ハチやその他の益虫にもたらされる有害な亜致死影響とつながり、その意図しない影響について、さらに詳細な科学的根拠が立て続けに発表されています。2021 年 1 月に 『Scientific Reports』 誌に掲載された研究では、ネオニコはハチやチョウの記憶や睡眠パターンの障害となり、その摂食・授粉・繁殖能力を十分に発揮できなくする ことが明らかになっています。種子処理にもちいられたネオニコについても、その他生物の餌に入り込むことがあり、最近の研究では、ネオニコ殺虫剤は哺乳類・鳥類・魚類に有害な影響をもたらす可能性があることがわかっています。 ネオニコは広範におよぶ影響が理由で、一部の場所では規制されています。しかし禁止によって、安全性に全く改善のみられない、新たな製法の農薬が生まれています。2020 年 9 月、英国王立協会紀要に掲載された分析では、テキサス大学オースティン校の研究者らが、フルピラジフロン(シバントとしても販売)とスルホキサフロル(「Transform WG」 としても販売)という、販売数が増加している 2 つの殺虫剤について再調査しています。2016 年、アメリカ合衆国環境保護庁は、ハチを誘引する植物に対するスルホキサフロルの使用を禁止しましたが、2019 年にほとんどのケースにおける使用を承認し、元の状態に戻しました。

 こうした新しい殺虫剤はネオニコチノイドとは異なる種類の化学物質ですが、同じように浸透性であるため、研究者らはネオニコチノイドと同様の影響があるのではないかと疑いました。研究者らによる再調査の結果、これら二つの新しい殺虫剤には、益虫に対する亜致死影響を及ぼすおそれがあることが明らかになりました。農薬一般の規制を並行して行わなければ、ネオニコチノイドの禁止規制に効果はないことが裏付けられました。殺虫剤の明白な毒性を検証しただけでは、すべては分からないかもしれない。。。研究者らは、益虫の生存のためには、さらに捉えにくい長期的な影響も考慮しなければならないと言います。「規制プロセスを変更しなければ、益虫の減少が続き、世界の食糧生産が依存する生態系サービス[人間が生態系から受ける恩恵]の落ち込みは止まらないだろう」と結論付けています。

 

 

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