たくさん収穫できる野菜を保存しておけば、冬にもお気に入りの料理が楽しめる。
文:アンドレア・チェスマン (Andrea Chesman)
翻訳:松並 敦子
ズッキーニを栽培する人には 2 つのタイプがあります。 1 つは食べきれないほど実るのを恐れて、苗を 1 本だけ育てる人、もう 1 つは 1 本の苗がうまく育たない場合に備えて、余分に苗を育てる人です。後者の場合、必然的に収穫したズッキーニを保存するかしないかが問題になります。ズッキーニは水分をたっぷり含んでいるので、カリカリの酢漬けチップスにはできません。その代わり、私は柔らかい触感でも大丈夫なレリッシュ[甘酢漬け野菜]をよく作ります。でも、 1 年間に 1 家族が消費するレリッシュの量なんて知れたものですね。
もしズッキーニが大豊作で、レリッシュもたっぷり作ってしまったら、大きなズッキーニは四つ割りにして、種を捨てましょう。それから、実をすりおろして袋に詰めて、冷凍します。冷凍すると細胞が壊れて、解凍した時には水分が出てきます。通常サイズのズッキーニ (20~25cm) は四分割にして、スライスして、湯通して冷凍するか、ただすりおろして冷凍しても良いでしょう。ズッキーニの花床を切り落しておけば、実を成熟させ、完熟させ続ける酵素が取り除かれます。
ズッキーニの形を残したままで冷凍するには、まず四等分して、1 センチ弱の厚さにスライスします。ズッキーニの色や食感をとどめるために、沸騰したお湯で 1 分ほど湯通しします。それから、素早く氷水で冷やして、水を切り、厚手のタオルの上で乾かします。私は 6 カップ[ 1 カップは 235ml]分をひとまとめにして冷凍します。これは 1 クォート (0.95L) の袋に収まる分量(野菜は冷凍過程で多少容積が減ります)なので、皿に盛るのに最適な量だと思っています。すりおろしズッキーニは、冷凍してドロドロになっても気にならないので、湯通ししません。冷凍したすりおろし冷凍ズッキーニをケーキに混ぜ込むと、入れたことが分からなくなってしまいます。
ズッキーニの冷凍には、いくつか問題があります。ズッキーニには水分が豊富に含まれているため、スライスしたズッキーニの周囲には氷の結晶ができるのです。品質を保つために、冷凍ズッキーニは 4 カ月以内に使いましょう。また、冷凍した量がそのまま料理に使える量になるわけではありません。レシピで活用できるように、冷凍ズッキーニの分量を計算してみました。
- ズッキーニ 1 本(20~25cm の大きさの)= 細かく刻んだズッキーニ 21/2~3 カップあるいは四等分してスライスしたズッキーニ 31/2~4 カップ
- みじん切りしたズッキーニ 6 カップ(1 クォートのフリーザーバッグにぴったり収まる) = 解凍して水気を切ったズッキーニ 11/2 カップ
- 四等分してスライスしたズッキーニ 6 カップ = 湯通ししたズッキーニ 4 カップ(1 クォートのフリーザーバッグにぴったり収まる)
- 湯通しして冷凍したズッキーニ 4 カップ = 解凍したズッキーニ 3 カップ
冷凍ズッキーニは解凍した後に出る水分を計算に入れておかなければなりません。つまり、すりおろしズッキーニ 6 カップ分は、解凍して水気を切るとわずか 11/2カップになってしまいます。私はほとんどのレシピで、ズッキーニがほぼ 1 カップになるまで水気を絞ります。
私はズッキーニを冷凍するときは、袋詰めで冷凍ズッキーニがそのままレシピに使えるように準備しておきます。つまり、スープ、シチュー、パスタソースに入れる量のズッキーニを湯通しして冷凍するのです。また、すりおろしズッキーニはケーキ、クイックブレッド、フリッターに使えるように冷凍しています。
冷凍のすりおろしズッキーニをオーブン料理に使う場合は、ズッキーニを完全に解凍して、室温に戻しておくことが重要です。まだ氷粒が残っている状態でケーキの生地などに混ぜ込むと、ケーキがべちゃっとなり、焼き時間が大幅に長くなってしまいます。しかし、スライスしたものは解凍しないままでスープ、シチュー、パスタソース(私の大好物)に入れても大丈夫です。
チキンとズッキーニのプロバンス風
地中海の豊かな味が楽しめるこのチキンシチューは、夏を思い出させてくれる上品な一皿料理になります。カリカリのフランスパンを添えて、美味しいソースをたっぷり含ませても、また卵麺やご飯に乗せても美味しく食べられます。チキンはモモ肉を使うのが好きです。出来上がり分量:6 人分。
- 骨付きチキン・・・31⁄2 ポンド (1,580g)、またはチキン丸ごと(カットする)・・・1 羽
- 無漂白の中力粉・・・1/2 カップ
- 塩と挽きたての黒コショウ
- 乾燥タイム・・・小さじ 2
- エキストラバージンオリーブオイル・・・大さじ 3
- タマネギ(半分にして薄切り)・・・1 個
- マッシュルーム(傘の開いていないものをスライス)・・・4 オンス (113g)
- ニンニク(刻む)・・・3 片
- 赤ワインまたは鶏がらスープ・・・1/2カップ
- トマトの缶詰(汁も含めて)・・・2 カップ
- オレンジの皮・・・3 片
- ベイリーフ・・・2 枚
- 解凍して、水気をしっかり切った冷凍ズッキーニ・・・3 カップ
- 種抜きのカラマタオリーブ・・・1 カップ
- 種抜きのグリーンオリーブ・・・1 カップ
- ケッパー・・・大さじ 2
チキンの余分な脂身を取り除き、水ですすぎ、軽くたたいて水気を切る。浅いボウルに小麦粉を入れる。塩、コショウとタイム小さじ 1 で下味をつける。チキンに小麦粉をまぶして、余分な粉は振り落とす。
ダッチオーブンを中火にかけ、オイルを入れる。チキンが重ならないように並べ、ひっくり返しながら、きつね色になるまで 10 分ほど焼く。チキンを焦がさず、きれいなきつね色になるように注意して火加減を調整する。チキンがきつね色にならないと美味しそうに見えないので、焼き色をしっかり確認すること。こんがり焼けたチキンをボウルか皿に取り出して、冷めないようにしておく。この手順を繰り返し、全てのチキンを美味しそうなきつね色に焼き上げる。
ダッチオーブンに残った油でオニオン、マッシュルーム、ニンニクをマッシュルームから水気が出なくなるまで、中火で 5 分ほど炒める。
ダッチオーブンにワインを加え、鍋底から材料をほぐすようにかき混ぜる。チキンを鍋に戻し、缶詰トマトを汁ごと加え、残りのタイム小さじ 1 、オレンジの皮、ベイリーフを加え、チキンにソースを含ませる。
鍋に蓋をして、チキンがしっかり煮えるまで、およそ 15 分おきにチキンをひっくり返しながら、45 分ほど煮込む。
穴あきスプーンを使ってソースからチキンを取り出し、のけておく。鍋に残ったソースを煮立たせ、ソースの量が減って、とろみがつくまで 5 分ほど煮る。
オレンジの皮とベイリーフを取り出す。解凍して水切りしたズッキーニ、オリーブ、ケッパーを鍋に入れ、チキンも戻す。味見をして、味を調味料で調える。ズッキーニに完全に火が通るまで、5 分ほど煮る。温かいうちに食卓に出す。
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