正しいリサイクルとは

マザーアースニューズ  環境 社会

資源物用の青いゴミ箱[米国では資源ゴミ容器は青色]に捨てた ものがすべて廃物利用されるわけではない。努力する価 値のあるものを選び、家庭でのリサイクルを最大限にす る方法を学ぼう。

 

文: スパイク・カールセン(Spike Carlsen)

翻訳: 向井 真珠

 

隔週の月曜日、私は 64 ガロン(242L)の牛乳瓶、細断された紙、インゲン豆ディップの缶などがごちゃごちゃに 入ったゴミ箱をゴミ捨て場に運び、地球を救うために自分の役割を果たしたことを実感しながら、偉そうに両手をは たきます。A+ 評価の成果です。私はゴミ箱の中身が、魔法のようにダンボール箱やメンテナンス不要の公園のベン チ、新しい都市を建設するための鉄筋として生まれ変わることを知っています。しかし、私のゴミ箱をリサイクル施設 まで追跡してみて、私は自分の成果がせいぜい D だということを知りました。私はビル・キーガンと一緒にいます。 彼は、ミネアポリス・セントポールで 1960 年代から続く 3 代目の家族経営の廃棄物リサイクル管理会社、デムコン (Dem-Con)の社長です。コミュニティ・アウトリーチ・コーディネーターのジェニファー・ポッターも合流しました。 デムコンは毎年何千人もの来所者を迎えます。同社は、学校やフェスティバルに運搬する相互交流できるトレーラー や、子供も大人もリサイクルのプロセスにバーチャル体験できる VR メガネを所有しています。同社の目標は、自然に 自動的にリサイクルする文化を構築し、人々がリサイクルをしないことに不安感を抱くきっかけを作ることです。

 

舞台裏

 

キーガン、ポッター、私の 3 人は、炎のような黄色のベスト、ヘルメット、安全眼鏡を身につけて、施設に向かいま す。30 段の階段を登り、ゴミ収集車が次から次へと山のような雑多な資源ゴミを吐き出す、処理場を見下ろすプラッ トフォームへ。収集車と機械のガラガラとした音に負けない大声でキーガンはこう叫びます。「このような混合つまり一括回収(すべての資源ゴミを一つの容器にまとめて回収する)リサイクルだと、自分のゴミ箱に選別して入れる時 よりも 2 倍の量のものをリサイクルしていることになるんです」

 

デムコンでは 1 時間に 50,000 ポンド(23 トン)以上の混ざった資源ゴミを処理していますが、そのうち 8 ~ 10% は本来ならばゴミとして捨てられるべきだったものだとポッターは言います。「人々は、物をゴミ箱に捨てたらリサイ クルされる可能性がゼロになってしまうと考えています。これを『ウィッシュ・サイクリング』と呼びます」。しかし、 こうした間違った物は他の材料を汚染したり、機械を動かなくさせたりしてしまうこともあり、まさに致命的です。 キーガンによれば、「疑わしい時は捨てろ」とのこと。

 

数分おきに、鉄の車輪のホイールローダーが、高さ 25 フィート(7.6 m)の資源ゴミの山をかじり、ホッパーに投入 しています。ホッパーはローラーの上で材料を振って、ローラーは幅広のコンベアベルトの上に均一に広げます。袋に入った資源ゴミは、手作業で開封する必要があります。作業者にそれをする時 間がない場合、袋ごとゴミの流れに流されてしまいます。さらに、袋は機械の 目詰まりを起こし、工場ではリサイクルできません。

 

毎年、世界中で 5 兆枚のレジ袋が生産されていますが、そのうちリサイクルされているのはわずか 1% です。使い捨てのレジ袋の平均寿命は 12 分ですが、分解するまでには 100 年以上かかることが実験で明らかになっています。 リサイクルの統計の迷路に迷い込むのは簡単です。ビニール袋 1 枚を作るのに 必要な石油はわずか少量ですが、紙袋を森から店まで運ぶにはその 4 倍の石油が必要です。また、綿花栽培は農薬や 灌漑を多用するため、布製の袋は 173 回も再利用しないと元が取れません。「環境に優しい」選択肢を見つけるの は、衝撃的に難しいのです。

 

人間の要素

 

キーガン、ポッター、私の 3 人は、4 フィート(120cm)幅のコンベアベルトを辿って坂道を登り、選別小屋へと向 かいます。そこでは、6 人の手先の器用な作業者が資源ゴミの仕分けを行っています。彼らは粗大なもの、危険なも の、リサイクルできないものを選別します。選別プロセスは機械によるものが 80 %、人間の手によるものが 20 %で すが、処理場を通るものは、文字通り、すべて人間の目で見ています。 不合格品の容器の中を覗き込むと、ランプのベース、粉々になった電球、古い蛇口を見つけました。キーガンは轟 音の中で叫びました。「最悪のものをリサイクルする発明家のコンペがあったとしたら、その最悪のものはおむつで しょう。一部たりともリサイクルできないのです」 ポッターは言います。「鋭利なもの、注射器、医療廃棄物は常に問題です。ラインに入っている全員が操作用引き紐 を持っていて、ラインを止めることができます。ライン全体が止まって、安全に物を取り除けるのです。」 デムコンのチームは絶えず警戒してリチウムイオン電池を探します。リチウム電池は、電子タバコから携帯電話、 コードレスドリルにまで何にでも使われています。昨年、デムコンの転送ステーションの 1 つが焼失しましたが、その 原因は粉砕された 1 つのリチウム電池でした。私たちが見学している工場では、年に十数回の火災が発生することは 珍しくありません。進んでいくと、細断された紙の袋がローラーに巻き込まれ、紙吹雪の大砲のように爆発しまし た。何千もの裁断された紙くずが、人や機材、資源ゴミの上に降り注いできます。私の事務所はシュレッダーを使うの で、私も有罪です。巨大なベルトコンベアから、連なって回転する円盤に移動して、その円盤が段ボールパネルと平ら になった箱を巨大な容器に投入します。他のものはすべて先へと落ちていきます。この工場は、2 次元のもの(主にダ ンボールや紙)と 3 次元のもの(主に容器)を分別するように設計されています。丸く膨らんだ紙は 3 次元の容器のよ うに振る舞うので、仕分けがより難しくなります。同様に、平らな牛乳パックも 2 次元の物体のように振る舞うので、 仕分けがもっと難しくなるのです。ポッターは、容器は大まかに元の形のままにしておくのがベストだと言います。 容器はガラス瓶を粉砕する機械を通過します。砕かれた破片は、汚染物質を除去する会社に送られ、光学スキャ ナーを使って色別に選別されます。砕かれた破片は、ボトルや研磨剤、道路の塗料用とテープ用の反射ビーズとして生 まれ変わります。それ以外のものはすべて、次の工程に進みます。「リサイクルすべき唯一のガラス容器は、元々食べ 物や飲み物を入れていたものだけです」とポッターは説明します。「鏡、窓ガラス、耐熱容器などは、成分や融解温。。。

 

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