太陽光発電インバータを選ぶ

マザーアースニューズ 自然 自給 DIY

太陽光発電システムの可能性を最大限に引き出すために、適切なインバータに資金をかけよう。

文:ダン・チラス(Dan Chiras)

翻訳: 沓名 輝政

 

 インバータは、ほとんどの太陽光発電システムに欠かせない構成部品です。太陽光発電システムで発電された直流電力を、家庭や企業で使われる交流電力に変換するために、長時間にわたって働きます。蓄電システムでは、さらにさまざまな役立つ機能を持つ回路が搭載されています。

 今回は、3つのタイプのインバータと、購入時に求めるべき機能についてご紹介します。その前に、インバータは本当に必要なのでしょうか?

 

インバータは必要なのか?

 バカげた質問だと思われるかもしれませんが、太陽光発電の適用例の中には、直流電力のみで動作し、結果的にインバータを必要としないものがあります。例えば、人里離れた田舎の小屋や山荘、RV車、ヨットなどに搭載されている数個の直流回路に電力を供給する小型の太陽光発電システムがこれに該当します。また、直流(DC)電力を生成して、家畜用などのDC水ポンプを駆動するシステムも含まれます。私が使っているDC池用太陽光発電エアーポンプや中国の温室のDCファンは、太陽光発電パネルから直接電力を得ています。しかし、その他の再生可能エネルギーシステムには、ほとんどすべてインバータが必要です。インバータの種類は、システムの種類によって異なります。

 インバータには、さまざまな形、サイズ、価格のものがあります。「ポケットインバータ」と呼ばれる最小のインバータは、50~200W程度。パソコンやラジオ、テレビなどの小さな負荷に供給するのに適しています。しかし、一般家庭や中小企業では、2,500~12,000W程度のインバータが必要になります。では、どのインバータを選べばよいのでしょうか?

 

インバータの種類

 インバータには、蓄電池のない系統連系型(オングリッドシステム)用、単独型(オフグリッドシステム)専用、蓄電池バックアップ付きの系統連系型(ハイブリッド型)用の3つの基本タイプがあります。後述の「太陽光発電システムとインバータの用語」では、あなたが目にするであろうインバータや太陽光発電システムの別称をご紹介しています。

 専門業者にシステムを設置してもらう場合は、設置業者がインバータを指定します。設置業者は通常、地元の販売業者から太陽光発電設備を購入しますが、販売業者は通常、1社または2社のメーカーのインバータを取り扱っています。設置業者は、おそらく好みのインバータを選ぶでしょう。

 自分で設置する場合は、システムに合った信頼できるインバータを選ぶ必要があります。太陽光発電システムの設計と設置は、非常に難しく、知らなければならないことがたくさんあります。電気配線や太陽光発電システムの知識を持った人が行うのがベストです。もしDIYで行う場合は、事前にいくつかの太陽光発電設置ワークショップを受講することをお勧めします。

 太陽光発電キットは、Northern Arizona Wind & Sun(www.Solar-Electric.com)など、多くの会社か らオンラインで購入できます。キットには、システムを設置するのに必要な部品がすべて含まれており、配線図も含まれているはずです。キットは素晴らしい選択肢ですが、機器、特にインバータは必ずチェックしてください。どこで製造されているのか、保証はどうなっているのかなどを確認しましょう。また、キットを購入する前に、機器の修理をどこで受けられるかを確認しましょう。地域外でしかサービスを受けられないインバータを購入するのは避けたいものです。そのためには、サービスセンターが近くにある大手太陽光発電メーカーの機器が付属したキットを購入しましょう。 

 インバータを購入する際には、まず設置するシステムの種類を考えます。蓄電池を使用しない系統連系システムを導入する場合は、そのシステム用に設計されたインバータが必要になります。オフグリッドシステムを導入する場合は、オフグリッド用のインバータ・充電器が必要です。蓄電池バックアップ付きの系統連系システムを設置する場合は、系統連系と蓄電池の両方に対応した(マルチモード)インバータを購入する必要があります。また、マルチモードインバータは、後に電力会社に接続することを想定したオフグリッドシステムにも適しています。

 地元の業者やオンラインの業者の助けで、あなたの環境に合ったものをお選びいただけますが、知識が豊富であ ればあるほど、業者のアドバイスが腑に落ちるでしょう。

 

太陽の力を利用しよう

 ご自宅や農場に最適なシステム、システム構成品、設置方法の選び方など、太陽エネルギーを利用する方法をご紹介します。また、投資回収率や生涯エネルギーコストについてもご紹介します。ダン・チラスによる「Energy Self- Sufficiency: Solar Electricity(エネルギーの自給自足:太陽光発電)」は「DIY Skills(DIYスキル)」コースの一環として行われるオンラインワークショップです。online.MotherEarthNewsFair.comをご覧になり登録ください。

 

系統連系型インバータ

 系統連系インバータの購入は比較的簡単です。太陽光発電のアレイ[太陽光パネルを複数枚結線し設置したもの]のサイズに合ったインバータが必要です。例えば、電力需要を満たすために5kWのアレイが必要な場合は、5kWの蓄電池のない系統連系インバータが必要です(このインバータは4.8~5.2kWのシステムに対応しています)。

 その後、多くの人は効率を重視して購入します。最近の系統連系型インバータの効率は約96%です。オプティマイザーを追加すれば、さらに効率がアップします。ス トリングインバータではなく、マイクロインバータを設置すれば、さらに効率が上がります。

 インバータがUL1741規格に適合していることを確認してください。これは、インバータが系統連系保護機能を備えていることを電力会社に保証するものです。また、保証についても確認しておきましょう。ほとんどのインバータは5年保証ですが、最近は10年保証が一般的になっています。場合によっては、ストリングインバータの延長保証を購入できるかもしれません。私はそれを強くお勧めします。マイクロインバータとオプティマイザーは25年保証です。私はマイクロインバータしか設置しません。

 インバータの出力電圧を確認します。家庭では一般的に240V[日本は100V]で配線されているので、240Vのインバータが必要になるでしょう。商業施設では、208、480、または600Vで配線されています。インバータが用途の電圧に合っていることを確認してください。

 インバータを購入する際には、直流電圧の入力範囲を調べ、そのインバータに配線する直列ストリングの長さ(パネル数)を決定します。パネルの数は、各直列ストリングの電圧に影響します。ほとんどのストリングインバータは、10~12個のパネルを直列に配線することができます。詳しくは、後述の「太陽光発電アレイの電圧とストリングサイズ」をご覧ください。

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