オーガニックな雑草管理

ここで紹介するオーガニックな雑草管理を試してみよう。あなたの菜園は雑草にやられずに生き残れるはずだ。

 

文:Barbara Pleasant

翻訳:浅野 綾子

 

菜園で私たちがすることのほとんどは、雑草を育ててしまうことにもなる。どんな形であれ土が裸になっていれば、雑草を招くことになる。というのも、雑草は自然界のご都合主義者なのだ。ほとんどの雑草は作物よりも早く育つため、あなたの小さな苗を保護してあげなければ、雑草の陰になったり栄養を奪い取られたりして育たなくなってしまうだろう。手作業での除草や浅めに鍬で耕やすこと、土を覆うというような基本的な雑草管理方法に加えて、「除草堀 (weed moats) 」のような革新的な技術も、ギョウギシバやハマビシのようなお馴染みの菜園の雑草や他の困った植物を抑えるために役立ってくれる。

 

雑草管理の基本

 

雑草予防には一定のパターンがある。作物を植えつけて10日を過ぎたら、植床もしくは畝を手作業で慎重に除草する必要がある。次の除草は10日後だ。ゆっくりと育ち直立する人参や玉ねぎのような作物は、雑草を抑えるのに3回か4回の除草が必要だが、それは例外だ。1ヶ月気をつけて除草をした後は、ほとんどの野菜は成長を競い合っていた雑草を陰にしてしまう程大きくなる。それに、トマトやとうがらしなど広く場所をとる作物の間には、マルチを使って雑草の成長を遮ることができる。

 

パンチのある除草道具

 

ニュージャージー州ランバートビルにある、ノース・スロープ・ファーム (North Slope Farm) では、3つの除草計画(1回目、2回目はスカッフル・ホー 【scuffle hoe : 長い柄の先に、中抜きの金属がついた草削り】 で、3回目は手作業で)が、オーガニックな雑草予防プログラムの中に入っている。この雑草プログラムはオーナーのマイケル・ラスワイラー (Michael Rassweiler) が考案したものだ。「作物が発芽した直後と、育ち具合を見て1、2週間後にもう一度、スカッフル・ホーを畝間の溝に行き来させて除草するやり方がいいんだよね」。手作業の除草はたいてい2回目の草削りを使った作業の後にする必要があるが簡単に済むとラスワイラーは言う。植床と植床の間に草削りを入れることでほとんどの雑草が既に除かれているからだ。

 

スカッフル・ホーには、柄の先の金属があぶみ形のものと丸いものがある。金属の縁の両側には互いに反対向きの刃がついており、押すときと引くときの両方で草を切る。作業区画がたくさんあるほとんどの菜園家は、スカッフル・ホーを欠かす事ができない道具と評価している。けれども、マザーのフェイスブックのフォロワーに欠かせない除草道具は何かと質問したところ、よく「ホリホリ (hori-hori) 」と呼ばれる丈夫な除草ナイフ【日本ではレジャーナイフの名で販売されている】が断トツの一位だった。除草ナイフには雑草を刈り込む長く鋭い刃がある。先端は尖って、なかなか抜けないギシギシやタンポポの根のような直根を掘り出すために使われる。多くの読者は、土にマルチをかける前の段階での手作業による除草について、効果的で成果を感じられるとしている。

 

ほとんどのオーガニック菜園家は、土へのマルチをかなり多用している。特に、草きれや、枯葉、わらを載せた新聞紙やボール紙のマルチを、最も厄介な雑草を抑えるためにさえ使っている。知っておいて欲しい。早すぎる時期に土を覆ってしまうと、春の時期に地温上昇が遅れかねない。また、ナメクジ発生を助けることにもなり得る。土を覆うのは、春の終わりか、初夏の除草の後にしよう。

 

土の表面を覆うことは、雑草の種から光を奪い、コオロギ、オサムシ、その他の種を食べる生きものに棲みかを与えることにもなって自然界における捕食関係を後押しすることになる。マルチの下の、ひんやりとした湿気の多い状態は、多くの雑草の種を腐らせることにもなる。土の表面を適切に覆うことで、手間取るように思える雑草問題を予防することも解決することも両方できるのだ。

 

「ボール紙でたくさんの仕事の手間が省ける。」とオハイオ州セーラムのJ.C.シエンビーダ (J.C. Siembida) は言う。「ボール紙を一年中取っておき、幅によって分けておく。えんどう豆や大豆などの豆、とうもろこしなどの株と株の間には、幅の狭いものを敷く。幅広のものはかぼちゃやウリ類の株と株の間に敷く。それから枯葉を上に載せて層にしておくのよ」。オクラホマ州セミノールのロビン・ランバート (Robin Lambert) は、レッド・スカイ・ファーム (Red Sky Farm) で、わらを上に載せたボール紙の覆いをした野菜を、高さのあるビニールトンネルの中いっぱいに育てている。この状態がミミズは大好きで、彼女曰く、このテクニックで雑草を管理できているという。

 

手に負えない夏の雑草管理

 

元気なメヒシバ一本で、15万個の種をつけることがある。もしくは、30センチ四方に2万個の種を落とし得るのだから、除草が追いつかないのも無理はない。アオゲイトウは、良く育った時には100万個の種を地面に落とすことができる。だから、雑草が種を落とす程に成長する前に、切ったり、刈ったり、草刈機をかけたり、もしくはそれ以外の方法で雑草をやっつけたりしてしまうことが大事なのだ。作物の間に生えた雑草がかなり大きくなったら、作物を駄目にしないで掘ったり引き抜いたりすることは大抵できない。だから、丁度地面に出てきたうちに取り除いてしまうのがより適切な除草方法なのだ。

 

最悪のことが起こり、雑草の強い種があなたの菜園を占拠して何百万もの種が土を覆ってしまったとしよう。この場合、最後の手段は種を土中深くに入れるように土を耕すことだ。日の光と暖かさが発芽を誘うまで、何年も種は冬眠するかもしれない。そうではなく、種を表面にそのままにしておこう。そのままでできることがある。手始めに、土に覆いをかけるか枯れた植物の束を敷き、オサムシやコオロギなど種を食べる生き物の棲みかを作って冬中そのままにしておくことだ。

 

春の初め、マルチを外し植床を乾燥させてから、硬いほうきを使って枯れた植物などの残骸を植床の端に寄せる。集めた残骸は、日陰の雑草が育たない場所に捨てる。次に、植床を被覆資材のトンネルで覆って地温を上げ、雑草の種がシーズンよりも2週間早く発芽するようにする。雑草が約5センチの高さになったら、鋭利な鍬を使って刈り倒す。けれども、土中約2.5センチ以上深くまで刈り入れないようにしよう。次の雑草が一斉に発芽する時期まで2週間待って、また鍬で刈り倒そう。土にある雑草の種の量は通常の状態に戻っているはずだ。種が表面に取り残されるようにして、種を食べる生き物の捕食を促し、残りの種の発芽を誘発することによって、雑草の種の雨が豪雨に変わった時のダメージをほぼ元通りに戻すことができる。

 

繁殖力の強い草を抑える堀作り

 

耐寒性の多年草は管理の最も難しい雑草の類だ。というのも、その理由の一つとして、その多年草は種を作るのに加えて走出枝やランナーと呼ばれる横に伸びる茎でも増えていくからだ。北アメリカのどの気候帯でも、こうした独特の生存能力をもった雑草を抱えているようだ。冬が寒い場所ではシバムギやつる性の植物、冬の穏やかな場所ではギョウギシバ、西部ではハマビシのようなクリノイガ属だ。

 

頑固な、増殖していく雑草の中で菜園をしなければならない時、最善策は菜園を細長い道で囲み、その道を3週間おきに切り返すことだ。もしくは、菜園の周りに溝を掘り、細かく切った木のチップやおがくずを満たして、やわらかい「堀」を作ることだ。堀は、鋭利な鋤や、手動の芝刈り機、被覆された堀を飛び越えてこようとする雑草を見つけ出すコブラヘッド・ウィーダー(Cobrahead weeder : コブラの頭のように鎌先が湾曲している長い柄の草削)のような小回りの利く草刈機具を使って刈り進んでいくことができる。夏のやや暑い気候では、堀が効果的に働くように覆った堀を2週間おきに切り刻むか切り入れていく必要がある。

 

同じようなやり方で、鶏の通る堀もしくは鶏用の幅広の通路を作って除草することができる。鶏が動き回ることで、鶏が避ける雑草を除いては土の表面から雑草がなくなる。残った草は後から手でとることが必要だ。一般的に、鶏はイラクサの類のようなとげの多い草を避ける。相当量食べると鶏にとっては毒になるヨウシュウヤマゴボウやゴボウ、アカザを食べるほど鶏も馬鹿ではない。あなたの鶏が食べない、もしくは掘らない雑草があったら、もっともな理由のあることが多い。

 

被覆作物を植える

 

土を覆う被覆作物を植えることも、オーガニックな雑草管理の賢い手段の1つになり得る。目標は、手に負えない雑草を、土を豊かにする管理可能な植物に置き換えてしまうことだ。土を覆う植物には大きな機具を使うことなく手入れすることができるものがあるから、雑草を抑えて土を豊かにしながら、裏庭の菜園に取り入れることも簡単だ。私の菜園では、春のまだ雑草がはびこっていない植床に、雑草を抑える強力なからし菜を植える。それから夏にはソバもしくはササゲを植える。夏の終わりはオーツ麦を植えるのにぴったりだ。ゾーン7【最低気温-17~-12℃の地域 : アメリカの気候区分に基づく】より北の地方では、オーツ麦は寒さで冬には枯れてしまう。枯れたオーツ麦の葉は冬のマルチになる。春にはかき集めて堆肥にすることも簡単だ。

 

大根もまた、雑草を抑え土質を向上させるという素晴らしい属性を持ち、育ち終えると独りでに堆肥になる被覆作物だ。夏の終わりに植えた大根は、寒さで枯れてしまうまでに約60センチ以上育つこともある。空気やミミズ、水の深くて大きな通り道を作りながら根はすぐに腐ってしまう。研究結果では、大根が植えてあった場所は、春になると水はけがよく地温が早く上がり、4月まで雑草を抑える効果が続くという。

 

あなたとあなたの菜園に一番あったオーガニックな雑草管理方法を組み合わせれば、有害な除草剤の使用を避けることができる。加えて、除草から雑草予防に対策をシフトすれば、最終的には、手間のかかる除草に費やす時間が少なくなり、栽培の成果をもっとゆっくり楽しめるようになるだろう。

 

鍬の技術を磨こう! 詳細な guide to garden hoes (菜園の鍬ガイド:あぶみ形や円形草削りからかまぼこ形の鍬先がついたスワン・ネック・ホーや、矢じり形の鍬先がついたワーレン・ホーまで) は、それぞれの作業にあった道具を選ぶのに役立つ。除草作業が向上すること請け合いだ。

 

寄稿編集者のバーバラ・プレザントは、30年間にわたり、作物を育て、寄稿・本・ワークショップやレクチャーを通して栽培知識を伝えている。バーバラの除草の知恵の詳細は、MOTHER EARTH NEWS ストアで購入できる「The Gardener’s Weed Book: Earth Safe Controls (菜園家の雑草の本 : 地球にやさしい管理の仕方)」 をご参照。

 

 

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Control Garden Weeds Organically

By Barbara Pleasant 
June/July 2016