シロップの作り方:白樺、クルミ、 スズカケ

多分、最初に私有林を調査した時の最大の失望は、全農場に1本もサトウカエデの木がないと分かったことだった。とは言え、サトウカエデの木の樹液を取らせてくれる隣人がいて十分幸運だ。私は、森からより多くの食物を生む他の機会を探すことにした。アラスカ南東部に住んでいた時に初めて出会ったカバノキのシロップ作りを探究し始めた。カバノキのシロップの後すぐに、世界中の50種以上の木から得られる樹液とシロップの世界の全容を発見した。

文:ブレット・マクロード

翻訳:金広 まさみ

 

甘いか香りがよいか?

シロップを探究するにつれて、それが地域や作り手により様々なスタイルのあるクラフトビールとちょうど同じ、大きな熱中の対象だと分かるだろう。また、濃縮された樹液を説明するのに「シロップ」という言葉を使うが、全部のシロップが甘いのではないと発見するだろう。カバノキのシロップは例えば、香りが良く、殆ど香辛料のきいた風味があり、野生の狩猟鳥にかけるデミグラスソースやサラダドレッシングとして使うのに適している。けれどもクルミは、甘くてナッツの味がし、樹液取りシーズンの終わりごろに風味が強くなる。アメリカスズカケノキのシロップの最初の流出分は、普通とても淡色で見かけも味も蜂蜜に似ている。シーズン終わりには、アメリカスズカケノキのシロップは、独特なバタースコッチの風味がある。

 

樹液を取る方法:樹液取りするものを選ぶ

裏庭や植林地を歩くと、樹液を煮詰める可能性と限界について良い考えを得られる。シラカンバ (Betula papyrifera) は最も一般に樹液を取るカバノキだが、カバノキ (Betula)属の全カバノキはうまくいく。私の地所では、たまたまほとんどが小さくて短命だが、素晴らしいシロップができる灰色カバノキ (Betula populifolia) だ。

 

もしあなたが、中西部、北東部や南東部にいるなら、クルミ (Juglans spp.) かアメリカスズカケノキ (Platanus occidentalis) の木が近くにある見込みがある。選んだ種に関わらず、シロップを作るのはかなりの時間投入が要ることを理解しよう。ほんの1ガロン【3.8ℓ】のシロップを得るのに40ガロンのサトウカエデかクルミ樹液、または100ガロンのカバノキかアメリカスズカケノキの樹液を加工しなければならないだろう。

 

また樹液取りは木を痛める傷をつけ、木材生産のような他の目的の価値を下げることを忘れないで欲しい。クルミは価値の高い木なので特にそうだ。見かけが悪くて材木として使われそうにない木のみ樹液取りしたら良いかもしれない。もう一つの方法は、商用の木材を生まないが、素晴らしいシロップを作るのがわかっている2、3の樹液用の木から取ることだ。

 

傷付けることなく幾つ採取口を木に差し込めるか?比較的少しの研究しか、カエデでない種についてのこの疑問を述べていないが、商用生産者は用心に用心を重ねている。多くの人々は、最大の木を除いては、全部の木について地上140cmで、最小で直径20cmの採取口一つを推奨する。例外は灰色カバノキのような、元々小さく短命なカバノキだ。これらの木への私の採取口は直径13cmの小ささだ。それから雑木林の再生の仕組みに基づいて幹を切る。

 

樹液を取る方法:いつ取るか

カバノキ。カバノキの樹液取りは、その時期がカエデのシーズンのすぐ後なので、ある程度は人気がある。カエデでは、氷結・解氷周期が幹の圧力を生み樹液が流れ出すが、カバノキは雪がほとんど解けて地面が十分あたたかくなった後、根の圧力で樹液を汲み上げる。これが商用生産者のシーズンを最大6週間延ばす。これは国内の大部分の場所で、カバノキの樹の糖作りシーズンを3月半ばから4月終わりまで延ばすことを意味する。

 

クルミとアメリカスズカケノキ。サトウカエデのようにクルミとアメリカスズカケノキは樹液が流れ出るには、夜間の氷点下と日中の氷点以上の温度に依存している。この温度変動が木の幹に圧力を生み、それによって樹液を「流れ出」させる。中部大西洋岸と中西部のほとんどの場所で、この作用は2月初めから半ばに始まる。

 

樹液を取る方法:工程

樹液取り:カバノキ、クルミとアメリカスズカケノキの樹液取りの基本的方法はカエデと同じだ。大きな樹冠をつけた健康な木を選ぶ。古い傷や、キノコや瘤ができているといった腐った兆候のものを避ける。樹液取りは新しい傷を作るので、樹液の質と木の健康の両方を損なう細菌や菌類を持ち込まないためドリルの刃や採取口が清潔なことを確かよう。標準的な採取口は11mmのドリルのビットが要る。近年は小さな採取口が開発されて (8mmと7.5mm)  木が早く癒えるようになった。選ぶ採取口にかかわらず確実に、鋭い刃を使いコードレスドリルの予備の電池を持とう。

 

成熟したクルミの木ついては、およそ5cmの深さの穴をあけた方がいい。カバノキとアメリカスズカケノキの樹皮は薄いので4cm弱で樹液が流れ出るのに十分な深さだ。少し上向きに斜めになるように(樹液が流れやすくするため)木に穴をあけ、差し管を差し込む。差し管にかけたフックに吊るしたバケツに集められるが、人によっては地面か荷車の上の容器に送り込む曲げやすい管を使う。

 

収穫:カバノキの樹液は一般的に1%かそれ以下のたいしたことない低い糖含有量だが、素晴らしい量の樹液(同じ大きさのカエデの2倍になることがよくある)を生む。一つのカバノキの採取口が1日に 4L 以上の樹液を生むとすれば、樹液を集めて煮る効果的な方式を開発する必要があるだろう。カバノキの樹液が流れ出るのが、気温の暖かい晩春なので、だめになる前に樹液を加工することが絶対必要だ。場合によっては、全部の収穫物を加工するのに2、3日かかるだろう。この理由で少数の木で始めるのを勧める。

 

クルミの糖含有量はサトウカエデと同様だが、1採取口あたりの樹液は普通、サトウカエデの約2/3にすぎない。アメリカスズカケノキはクルミと同程度の樹液を生むが、糖含有量はかなり少ない。

 

シロップを作る方法:煮る、ビン詰めにする、楽しむ

カバノキ、クルミ、アメリカスズカケノキのシロップを作るのにメイプルシロップ方式の蒸発器を使うことができるが、簡単に焦げ付きを防げるのでコンロの上で樹液を煮詰めることを勧める。十分に濃くなるまで樹液を煮詰める。カバノキ、クルミ、アメリカスズカケノキのどれを使おうと、できたシロップは液体比重計(液体の相対的な濃さを測る)で測ると、66~67ブリックス【糖度の単位】になるだろう。

 

無機物と不純物を取り除くために、熱いうちにシロップを濾す必要がある。少量なら無漂白のコーヒーフィルターを使い、大量なら円錐形のフェルトのフィルターを試す。フィルタープレスは不純物を取り除く最も効果的な手段だが、多くの家庭規模の生産者にはひどく高い。

 

濾した後、シロップは82~88℃の適切なビン詰温度にするため再加熱がいるかもしれない。上部に6mm隙間をあけて殺菌済みガラス広口瓶に詰め、殺菌済み蓋とバンドで密封して涼しい場所か冷蔵庫に保管する。長期保存には、冷凍庫の密閉容器に入れる。シロップのどれも容器詰めした後2年間もつ。その前に食べないと仮定すれば!

 

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How to Tap Trees: Birch, Walnut, and Sycamore

By Brett McLeod 

February/March 2017

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コメント: 2
  • #1

    kosabara (水曜日, 20 3月 2024 12:02)

    数年前から庭や畑のカエデから樹液を集めてはストーブで煮詰めて遊んでいましたが、今年は5リットルほどしか採取できませんでした。この記事でクルミからも採取できると知り試したところ2月2日から3月15日の間にンナト200㍑採取できて何日もストーブの火の番をすることとなりました。自然の甘さをヨーグルトやパンケーキにかけていただいています。この記事に出会えたことを感謝いたします。ありがとうございました。

  • #2

    沓名 輝政 (水曜日, 20 3月 2024)

    kosabaraさん、嬉しいご報告に感謝します。試して素晴らしいです。そんなに採取できたとは、おめでとうございます。
    慈愛と調和と感謝\(^o^)/