この剪定方法で小さな果樹を作る

この革命的な剪定方法は、もっと多くの果実を育てる選択肢となるだろう。なぜなら、だいたいどんな落葉果樹の品種でも小さいままに仕立てることができるから。小さな庭でも丈夫に育つような、剪定の方法と時期を学ぼう。

 半矮性も含む多くの果樹は、簡単に4m以上に育つ。裏庭で大きな木を育てようとした人なら誰でも、小さな果樹の価値がすぐに分かる。スペースをほとんど必要とせず、世話が容易で、扱いやすい量の果実が採れる。小さな木を栽培することは、庭の隅もしくは小さな果樹園に、より多くの種類の果樹を押し込むことができるし、木の大きさよりも味や気候適応性で品種を選べることを意味する。標準や半矮性のほぼどんな木でも(梨や桃や梅からリンゴやアンズまで)、かなり小さなままでいるように仕立てることができる。

 本稿で概説する剪定処置は、矮性樹木くらい小さな、普通よりかなりコンパクトな果樹を作る(「なぜ矮性果樹を選ばないのか?」をご参照)。「剪定に対する果樹の反応は、切られた季節による。」ここに、ほとんど知られていない技術の鍵がある。木が活発に成長している(春)か、栄養分を集めている(初夏)か、休眠の準備をしている(晩夏)か、完全に休止している(秋冬)かどうかで、木の反応は決まる。剪定を行う時、このサイクルを覚えておこう。

 

休眠と最初の切り込み

 小さな果樹を育てる第一段階は、植える時、先端をよく刈ること。(葉芽を取り去る剪定をする。)そのような切り方は、極端に見えるかもしれないが、新しい木の先端の3分の2を切り取ったら作業は完了する。この剪定で低い主枝(樹冠を作る骨組みとなる)ができるので重要。休眠時のこの剪定は、木を強くし、たくさん実をつける核果【桃や梅のように中心に硬い核がある果実】には特に重要な回復力を与える。何より、手の届く範囲内に成熟した木の樹冠を保つのを助ける。

 初めての剪定の仕方。冬が終わり、種蒔きができるような地面になったら、根がむき出しになっただいたい親指の太さぐらいの苗木を買う。出来るだけ早く木を植えよう。芽が膝丈のもの(地表から約46cm)を選び、芽から離して斜め45度で綺麗に切る(写真1参照)。芽自体を切り取るほど近くではないが、芽のごく近くを切ると、自然の流れで綺麗に修復ができる。芽はいくつか、切り口と接ぎ木 — 幹の低くコブのある節(果実の種類を決める接ぎ木)と台木の境目の場所 — の間に残らなければならない。

 膝丈剪定は小さな庭のほぼ全ての果樹に適しているが、平行枝(nurse limb: 木の春のエネルギーを吸収して、発芽を促すために残った枝)のちょうど上を切ると、桃とネクタリンはより確実に発芽する。幼木は、種苗園でだいたい1.5~1.8mまですっと伸びるだろう。だから、ほとんどの場合、切取る部分のほうが残る部分よりも多い。すると、あなたの美しい苗木は、膝丈の棒状になる。

 その通り。この切り方は残酷に聞こえる。いずれにしてもやってください。未来の木のコンパクトな主枝が、結果として発達し始める。まだ休眠中の木の先端は、根に蓄えた栄養分を利用する。そして活発な成長と分枝は、残っている芽に植物が栄養を向ける春に起こる。小さな果樹が好スタートを切る条件の完璧な組合せ。最初の剪定は下の芽を目覚めさせ、それぞれ独自の生長点でやがて新しい枝に育つ。行き着く開心形は、より背が低く、より強く、より世話がしやすく、はるかに有効な豊作をもたらすだろう。

 

春:バランス良く開始

 最初の芽が早春に開き始めたあと、枝の間隔を調べて、一番上の芽の配列が好みかどうか見定める。もしそうでなければ、単純により低く、葉芽の形状があなたにとって好都合な場所を剪定する。やがてこの場所は、枝の付け根になる。木を小さくしておくためには、付け根が低ければ低いほど簡単。この剪定をより季節の早い時期にすればするほど、より活発に新しい枝が成長する。

 2cmより太い幹の苗木は、芽を出すのに苦労するかもしれない。この場合は、最初の休眠中にノギスで(幹の幅)が親指サイズの所を剪定する。次に、芽が成長し始めたらすぐに、低く2回目の剪定をする。芽が活動を始めた後、好みの低さの主枝に剪定することができる。 

 木質の枝ができ始める前、芽の長さがちょうど3cmか5cmに達する初春にもう一度木を見直してみる。一つの節で複数の芽が育つ場合、ひとつではなく全てをそっと摘み取ること。

 

初夏:主枝を作る

 春と初夏には、花が咲き、葉を出して、落葉性の果樹は蓄えたエネルギーを積極的に使う。これは、木が成長モードの時期で、時には大変な速度で成長する。

 6月下旬の夏至のころには、木の栄養は、根と幹から移動して、主に葉に保存される。夏至の剪定は、それらの栄養の一部を取り除いて、季節遅れの根の成長を減らす。言い換えれば、夏の剪定は、木を遅くする(小さい果樹には望ましい結果)。一方、桃、梅、アンズの秋と冬の剪定(伝統的な剪定のシーズン)だと、次の春、2.5mも成長することができ、夏に行う同じ剪定は、わずか30cmほどの成長だ。木が活発に成長する期間にされた剪定は、修復も速い。

 完璧な世界では、苗木は、幹の周りに等間隔をあけて3つか4つの枝がある。現実の世界では、枝は好きなようにどこでも、どのようにでも成長する。剪定の鍵は、未来を想像すること:成長した枝同士の位置関係をよく考えること。あなたには、あまりに多くの選択肢があるのかもしれない。分枝なしで、開いた領域があるかもしれない。自然の成り行きに任せたくなるかもしれない。しかし、あまりに多くの枝を放っておくことは、日光が木の内部に届くのを妨げる。空間を作るために、競合する枝を取り除くこと。理想的な枝は、上向き45度になる。垂直な枝を残したければ、横成長を促すために先端の剪定をよく考えるか、下方向へ成長するように枝におもりを掛けること。

 無関係な枝を取り去った後、残りの小枝は少なくとも半分を(写真5ご参照)、枝が育って欲しい方向を向く芽のところまで切り詰めること。アンズやスモモの木のような、成長著しい木の場合、気兼ねなく3分の2を剪定する。木の幹または根元の最も低い部分から成長している、ひこばえ【地下の茎から出た枝】はどれでも取り除くこと。

 果樹の剪定が夏至の近くであるほど、サイズを抑える効果が大。晩夏までには、葉によって集められる栄養分は、すでに幹と根に移動し始めている。木は、7月という早い時期に休眠状態へと転換し始める。

 

冬:構造

 冬は、木が裸だから樹形を作って美しさを決める最高の時だ。休眠中の季節は適期で、しっくりしないどんな枝でも取り除ける(水平すぎるか、壁状になるか、もしくは枝が歩道の上に広がるか)。オレゴン州ポートランドの庭師、ジョン・ロット (John Iott) が言う「3大D」 — Dead(枯れて)、Diseased(病気で)、Disoriented(バラバラな)枝 — を取り除きたくなるはずだ。よく考えた数カ所の剪定で内側の空間を空けること。木の成長パターンを観察して、自然な優美さを高める剪定をしよう。

 もし、劇的な反応を望む(最初の低い主枝を開発しようとしている、または年月を経た木を若返らせようとしている)場合に限り、冬に先端の剪定をしよう。木の勢いが止まった場合か、剪定を忘れて修正を必要とする場合、もしくは前回あまりに消極的で、今回は多少良くなる選択をしたい場合に限り、冬にたくさん剪定をする。木は自分が蓄えた最大限の力で剪定を上回る成長をする。

 以降の年、ただ剪定し続けること:冬に構造上の決定をして、夏至のころに高さを止める。果物が親指サイズ程のとき、房は一つの果実に間引く。種類によっては、3年目までに数個の果実を4年目には数ダースの果実を収獲できるかもしれない。 

 残すものと切るものをどのように選ぶべきか?何がベストか自分自身に問い、直感に耳を傾け、切取る。木は新しい選択肢をつくり、そして、あなたはいつでも次のシーズンで修正することができる。

 

最初の年のまとめ

・晩冬に植えるとき、休眠中で親指の太さの苗木を、膝丈ほど、地面から46cmで剪定。

・春に芽吹きが始まったあと、主枝を選ぶ。無関係な芽を全て摘み取るか、葉芽の仕立て具合として都合の良い高さの少し低い所を剪定。

・夏至に近づくころ、成長を遅くさせ、主枝の形作りを始めるために剪定。余分な枝はどれでも取り去り、先端剪定。

・冬、木の内側の空間を空け、バランスの良い形にするために剪定。枯れたものや、病気のものは除去。 

 

なぜ遺伝的矮性樹を選ばないのか?

遺伝的矮性果樹は、短い背丈に育つ遺伝的構造を持っている。遺伝的矮性は、接ぎ木ではない。自身の根で育っている。平均して、1.8~2.4mの間で背丈は止まるが、あまり強健でなく、より寿命が短いことが知られている。ある品質の為に(たとえばサイズ)育てられるとき、他の特徴(たとえば、果実の味、気候適応性や全体的な生命力)は、必然的に2番目になる。サイズにこだわることによって、最もおいしい品種を逃すだろう。

 超矮化台木に接ぎ木をした果樹いくつかは入手可能だ。これらの木はかなり小さいまま(小ぶりな1.2m~1.8m)だが、極めて小さい根系なので、超矮化台木は、遺伝的矮性がもつ短い寿命と全体的な植物の健康に関する同じ問題の多くを示す。

 大部分の種苗園は、半矮化台木に接ぎ木した果樹を提供する。人々は、小さめの木だと期待してこれらを捜しだすが、半矮性植物は「標準より小さい」ということを意味するだけだ。標準サイズの果樹の高さが10mなら、半矮性植物は8mくらいに高くなるかもしれない。

 もし、選択肢を広くしたいのなら、標準もしくは半矮性の品種を選ぶこと。本稿で記された定期的かつ戦略的な剪定は、果樹のサイズを制限するのに最高の方法だ。

 

自分でやる人の愉しい実践例。

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Create Small Fruit Trees with This Pruning Method

By Ann Ralph 

October/November 2015