バイオガス発生器を自作して、家で天然ガスを使う

家庭で出る多くの有機「廃棄物」から、料理や照明、暖房、給湯に使える自家製天然ガスを作ることができる。これは「バイオガス」と呼ばれ、化石燃料である天然ガスの代わりとして、エンジンやガス式冷蔵庫や冷凍庫などの吸収冷却システムの燃料にもなる。ガソリンエンジンの中には、天然ガスやプロパンガス、バイオガスに対応済みか改造して対応できるように設計されたものもある。ディーゼルエンジンでは80%までバイオガスを混合できる。

 そもそもバイオガスは複数の可燃性ガスの混合物で、そのほとんどがメタンだ。また、有機物が嫌気的に(酸素抜きで)分解される際に発生する二酸化炭素も含まれている。例えば、水の中や廃棄物埋立地の地下深く、あるいは人間を含む動物の内臓の内部などでこの嫌気性分解が起こる。

 

 こういった自家製バイオガスを作る装置のことを「発生器(generator)」と呼ぶのが良いと思う。いかにも何かを生み出す感じがするから。一家に一台、バイオガス発生器があれば、料理に必要なエネルギーくらいは自前で賄える。慎ましやかな家庭料理を作るのに、少なくとも760Lの発生器をフル稼働させる必要がある。これだけのバイオガスがあれば、毎日1時間のガスレンジ調理ができる。まずは、210L容器を一つだけ使った小型の発生器から始めてみて、バイオガスの理解を深めてはどうだろうか。The Homeowner’s Energy Handbookにいろんな案が載っている。

どのくらいの自家製バイオガスエネルギーが作れるか?

 管理の行き届いたメタン分解装置(digester)なら毎日容量いっぱいのバイオガスを生成できる。固形物の10%から60%が分解の過程でバイオガスになる。つまり、乾燥した原料1kgから190Lないし1,120Lのバイオガスエネルギーを取り出せる。

 バイオガスの実際の組成は分解装置に何を投入するかによる。バイオガスの主成分はメタンだ。メタン(化学式はCH4)は従来の天然ガスの主成分で、炊事や暖房の燃料としてよく使われる。ただし、バイオガスのエネルギー密度はそれほど高くなく、メタン構成比はおそらく50%から80%程度。企業が提供する天然ガスなら70%から90%に上る。この違いは、天然ガスはプロパンやブタン、エタンといった他の可燃性ガスを最大で20%含むが、バイオガスには含まれないためだ。バイオガスに含まれる不燃性成分は、主に二酸化炭素や水蒸気、窒素などで、微量の硫化水素が含まれることも。

 発生量と入手のしやすさの点で、おすすめの原料といえば刈ったばかりの草だ。1kg当たり90Lほどのバイオガスを生成できる。これは9kgほどの刈り草から1時間の調理に必要な燃料が得られる計算になる(サイロで発酵させた牧草ならさらに効率が良く、4.5kgで済む)。生ゴミは刈り草よりほんの少し重量当たりのバイオガス生成量が多いが、大量に調達することを考えると、ほとんどの人には刈り草の方がお手軽だろう(様々な素材を比較したスライドを参照のこと)。もし牛を飼っているなら、新しい牛糞は、乾燥した場合の重量比での発生量は劣るものの、牧場でメタンを作るのにはぴったりだ。1頭の牛は毎日約64kg(68L)分の排泄をするが、ここから最終的に平均2,400Lのバイオガスが生成でき、3時間ほどの料理に必要な燃料が得られる。(もっとも放牧場にいる牛の糞を集めるのは相当大変だけど)。

 

メタン分解装置でバイオガスを作る

 堆肥にできるなら、それは分解できるということ。バイオガスの原料としては、豊富にあり扱いやすく入手しやすいものであれば申し分なく、バイオガスを安定して実用に足る量を作ることができる。野菜であれ、残飯であれ、刈り草であれ、家畜の排泄物、肉、食品加工工場の廃棄物や脂身であれ、およそどんな組み合わせでも、炭素と窒素の配合を間違えない限り大丈夫。ただ、木片や藁などの木質のものは入れ過ぎないこと。これらはリグニン(植物細胞壁の一部として堆積し、微生物による分解から細胞を守る働きがある)を多く含み、分解プロセスの邪魔をする。

 一般的なメタン発生器は、メタン分解槽に原料を流し込むための供給管、分解済みの固形物や液体(「分解残渣」という)を取り出すための排出口、ガス取り出し口、発生したバイオガスを貯めておく集気タンクからなる。

 家庭でバイオガスを作るには、まず有機資材、すなわち「主原料」に水を混ぜる。バイオガス発生に最適な固形物の混合比は、2%から10%。つまり、発生器内部にある原料の90%から98%は水ということになる(有機資材にもともと含まれている水分を含む)。固形物は2、3cm以下に細かく砕いておくこと。表面積が増えるので、微生物による有機資材の分解がしやすくなる。繊維質のものは発生器に入れる前に数日置いておくと分解されやすくなる(その間に菌やバクテリアが繊維を分解し始める)。

 主原料を入れたら、水をたっぷり加えてどろどろにし、それからメタンを作ってくれる微生物の種培養を入れる。この微生物は「メタンガス生成細菌」と呼ばれ、ほとんどの動物の糞に生息しているので、排泄物を使う場合は別途加える必要はない。しかし、残飯や草だけを分解する場合には、微生物を注入してこの生物学的プロセスが起こるようにする必要がある(うまくいけば、はじめの一回だけで十分だ)。。。

 

みんなで暮らしを創る

マザーアースニューズ

購読はこちらからどうぞ。

 

 

Make a Biogas Generator to Produce Your Own Natural Gas

 

By Paul Scheckel

August/September 2014

 

< おすすめ記事 >