気候変動の闘いでの炭素市場の役割

二酸化炭素は気候変動の主な原因。温室効果ガスは、耕作、森林伐採や化石燃料を燃やすことを含む様々な人間活動をとおして、長期の蓄えから放出される。

 ガスは地球の植物、海と大気の間を自然に循環しているが、人間活動で自然体系が隔離できるのを超えて二酸化炭素を出し、太陽の熱を大気中に閉じ込める原因となっている。さまざまな生態系への気候変化の悪影響のために、環境保護庁は2009年に大気浄化法 (Clean Air Act) で、化石燃料を燃やすことで生じる二酸化炭素を大気汚染物質として分類した。それ以来、市民、政府機関と私企業は汚染者に炭素放出に対して支払うよう強いている。二酸化炭素を減らす「汚染者負担の原則」という切り口一つで、炭素市場も確立している。

 炭素売買に関与する政府機関は、州、地方または製造業が出せる二酸化炭素の総量を決める。化石燃料を燃やすことに頼っている製造業(電気、自動車、セメント製造部門を含む)は、1年間でどれだけ燃料を燃やすか合計を量り、各燃料毎にどれだけ炭素を固定するか見積もって排出量を報告する。炭素の単位は普通、1メートルトンまたは中型車をソルトレイク市からニューヨーク市まで運転して出る炭素量で示される。政府機関は、炭素1トンにつき価格を割り当て、年間の約定済み限度までの許可書を交付する。そして、会社や政府機関は各々が年間に放出する必要のある二酸化炭素量に基づいて、互いに許可書を売買して交換する。このようにして炭素市場は、他の型の市場と同様に機能する。しかし炭素価格が増えると、政府機関は各年許可書を少なく交付して、時が経つにつれて総炭素排出量を減らしていく。

 40か国近く、20以上の市、州と地方が、ある種の炭素価格システムを使っている。世界的に炭素排出の1/4が今、炭素市場機構のもとに値付けされ、増えると予想されている。この概念は去年、パリでの国連締約国会議、COP21の後、はずみがついた。そこでは世界中からの政府機関が、気候変化に対して行動を起こすことを誓った。

 パリ協定は、私的部門は温室効果ガスを減らすのに重要な役割を果たすべきだとしている。許可書を買う以上に企業は、木を植えたり、太陽光パネルを取り付けたりするうな炭素排出を減らす炭素削減プロジェクトに支払い、売るための「炭素クレジット」を受け取ればよい。ここに行くまでに、大会社は最大の削減努力のいくつかの先頭に立つことになる。

 ひとつの企業の成功物語、ゼネラル・モーターズのシボレー炭素削減イニシアティブ(Chevrolet Carbon-Reduction Initiative) は、 気候変化に関心のある消費者と関わりあう手段としての炭素クレジットを買って辞退した。2010年に始まった自発的なイニシアティブの一環として、シボレーは29州で38の炭素削減プロジェクトを支援。自動車や企業活動による排出を相殺するために使う代わりに、発生した全炭素クレジットを辞退して、気候変動対策に役立てた。

 「当時は、このイニシアティブは最大の自発的な炭素削減プログラムだった。これは政策順守としての反応ではなく、消費者の習慣を変える手助けができるという認識だった。」とゼネラル・モーターズの持続可能管理者、デビッド・トゥロースカスは言う。プロジェクトには、風力発電所建設、森林と草原の保全支援と大学構内のエネルギー効率を増すプログラムの立ち上げがありました。「私たちはアメリカの11の大学と、その温室効果ガス削減イニシアティブを支援するために、協働した。」とトゥロースカスは言う。

 炭素価格付けだけでは気候変化を中止させないだろうが、その考えは支持を得ているので、解決策の不可欠な要素になっている。COP 21の初日に始まった炭素価格のリーダーシップ連合 (Carbon Pricing Leadership Coalition) は、90以上の世界的な企業、非営利団体と共に政府機関をまとめて、炭素価格付けを世界中に広げるように仕向けている。炭素市場について詳しく知るには、Carbon Pricing Leadershipのサイトをご参照。

 

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The Carbon Market’s Role in Combating Climate Change

By Kale Roberts

 

June/July 2016