堆肥の作り方(その2)

Illustration By Melanie Powell
Illustration By Melanie Powell

堆肥作りの技術

 

庭作りをする人の多くは、屋外の積み肥えに残飯や庭のゴミを混ぜて、それが分解するのを待って堆肥を作る。特別な活性剤や接種剤など買う必要はない。なぜなら、堆肥用に加えられた枯れ草や大量の残飯には、それぞれ異なる微生物の活性作用があり、その微生物が自然発生して分解を促してくれるからだ。

 コーヒーのカスでぐしゃっとつぶれたフィルターやそれに類するものは見苦しいし、古い残飯は時として、えさを探す害獣や害虫を寄せ付ける。こうした理由から、堆肥作りをする人の多くは、自宅の生ゴミをフタ付のコンポスターか鶏舎小屋の空き地に移し変えてから、かさばる雑草や脱穀した作物にくわえ、ゆっくり堆肥化する積み肥えに溜めた他の裏庭や花壇のゴミを混ぜるのだ。

 「害獣や害虫に食われてしまわぬよう、自宅の生ゴミは真っ先に3つの黒いコンポスターに入れ、形がなくなるまで置いておく。それから、庭のゴミ捨て用に囲いで作った大型の箱にそれを入れる。この方法で大量の堆肥を作ったよ」とネブラスカ州オマハ市の読者Mary Conleyは語る。

 自宅でも同じ方法を採用している。家畜の糞尿をコンポスターに入れてから、堆肥化の準備が整った生ゴミを年に23回、庭の積み肥に混ぜる。「去るものは日々に疎し」の利点を生かした、開かずのコンポスターはお気に入りの逸品だ。二つあって、一つは庭に鎮座している黒のプラスチック容器、もう一つは空気穴を散りばめたゴミ箱で、冬は縁台の隅に置いてあり、凍結、雪、泥の心配など多くの手間が省ける(堆肥作り用のゴミ箱の挿絵を参照)。

 別の意見もある。ガルフ海岸に住むJohn Burrisは台所の生ゴミを堆肥にするための特別な樽を持っている。ただし、裏庭や花壇、牧草地などのゴミから堆肥を作る際は、屋外に溜めたゴミの山を使う。カリフォルニアのNell Wadeは、残飯や細かく切った手紙などはミミズ・コンポスターに入れ、庭のゴミは荷運び台で作った二つの囲いの中に入れて、ゆっくり時間をかけて堆肥を作る(木製の荷運び台を使った堆肥置き場の挿絵を参照)。

 2段階方式の設備を造るのにお金はかからない。改良したプラスチック製の保存容器の中に、恵まれた堆肥用ミミズを飼っており、我が家では底に錆ついた穴の開いたゴミバケツは、コンポスターに早代わりすることになる。一方、状況によっては、大型のコンポスター(ふた付が理想だが)を作る、または購入する費用を確保しておく。カミアリの重圧や、ラクーン、ネズミ、ヘビなど歓迎しない動物の再来を考慮してのことだ。厄介な動物が敷地のそばで暮らすようになった場合、問題を回避する最善の方法は、安全なコンテナの中に堆肥を入れて、地面より高いところに置いておくことだ。

 「わたしは断熱性のあるドラム缶のコンポスターを持っているので、かなり高温の発酵熱が生じることになり、肉や魚の生ゴミでも堆肥にすることができるんだよ。容器の中が2層に分かれているので、つねに堆肥を作り続けている。郊外から離れたところに住んでいるけど、コンポスターを置いてあるので、げっ歯動物が近寄って来ない。」とカリフォルニアのJan Tuckerは語る。既製品でもお手製のものでも、地面から浮かせてある樽型コンポスター(コンポスター・タンブラーとも呼ぶ)は、堆肥化生物の動きが活発になるのに23ヶ月かかる。容器の内壁や溝が微生物の格好のすみかになると、コンポスター・タンブラーはとても効率的なものになる。

 このようにコンポスター作りに手間をかける人たちの対極にいるのは、いとも簡単に堆肥を確保している園芸家だ。そう、土に仕事をさせるのである。「冷凍庫にコーヒーの缶を一つ入れておき、堆肥になりそうな物はなんでも詰め込む。缶が満タンになったら取り出して、庭に穴を掘り、そこに中身を全部投げ入れ、泥を元通りにかぶせる。〈ダイレクト堆肥〉と呼んで、私にはこうすると都合がいい。自分の指と同じ大きさのミミズを飼ってるよ。」とセントルイスのRoberta Lottは語る。

 私も、果物の生ゴミが出る秋に、ダイレクト堆肥(「トレンチ堆肥」とも呼ばれる)を行う。さもないとスズメバチの気を引いてしまうのだ。9月に、常用している花壇にゴミを埋めると、土が温まる春までには、果物のゴミは土に返ってなくなる。

 マザーアース・ニュースの編集長・Cheryl Longは、〈シート堆肥〉の方がお好みだ。「古いワラ俵をただで持ってきてくれる地元の農家の方がいる。おまけに職場の同僚は、刈り取った草を袋詰めにして持ってきてくれる。」と語る。「庭に張り巡らされた通路に敷き詰めるためにそれを使う。翌春になると、ワラと干草は分解されているから、通路から腐葉土の表層をすくって苗床に入れ、また通路の上に別のワラをのせておくの。」

 屋外の入れ物については、できのいい手作り容器でも、使い古しの荷運び台で作った入れ物でも、針金で囲っただけの鉄柵でも、堆肥のできに変わりはない。十分な時間と湿度があれば、その入れ物に何を入れても分解は進む。とはいえ、最低でも壁を一枚入れておくと、保湿に大いに役立つ。その壁は、木製のものかコンクリート製のブロックか土嚢でよい。荷運び台の容器が普及している一つの理由は、山積みのままよりも保湿性が高く、堆肥作りの場所に不要ながれきが入らない為だ。

 多くの園芸家は、積み上がった堆肥の下の方にある受動的な土壌の改良を活用して、この先の庭園の準備をする。「私は、次に苗床にしたい場所で庭のゴミを堆肥にする。ただ上にゴミを載せていくだけで、ゴミが自分で堆肥になってくれる。」とRoberta Lottは言う。バージニア州のチェサピーク湾地域に住むJulie Patrick Clarkは、堆肥を作り続けて27年後にようやく賢くなったと語る。「9つの苗床それぞれの脇に堆肥の山を作るようにしたんだ。あちこちに堆肥を運ぶことも無くなったよ。」

園芸家はみんな、危険を伴うものを混入させずに、より多くの堆肥を作りたいと思うものだ(コンポスター作りを邪魔するものから庭を守るには、堆肥専用の殺虫剤が必要になる)。堆肥のかさを増やす一つの方法は、庭で被覆作物を育ててしまうことだ。手入れのよい庭では、被覆作物は生やしておかず引き抜かれるが、ひと抱えもあるベッチや穀物類、あるいはソバの実が、眠れるゴミの山に煙をくすぶらせるのだ。地元の市場や自然食レストランで、熟れすぎた農産物が手に入るかどうかも確認しておこう。堆肥にできる予備の材料があると、動物が入り込んできたとき、さらに有効な資源となる。

 

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