ハーブの抗生物質|超細菌(耐性菌)に有効

抗生物質に耐性があるバクテリア「超細菌」が、より甚大になり、より毒性が高くなっているので、ハーブ治療が、益々無力になる薬剤の代替品になっている。

超細菌として知られる抗生物質耐性のあるバクテリアは、抗生物質の使い過ぎのために、ますます増加し毒性も強くなっている。生薬はこのような役に立たなくなりつつある抗生物質の代替になる。

以下の文は、「生薬の抗生物質:薬剤耐性のあるバクテリアに対する自然の代替策」という本からの引用である(ストーリー出版(Storey Publishing)の許可による転載)その中で、薬草の専門家ステファン・ハラッド・ビューナーは、薬草は病害に対する最初に取るべきものだとする注目すべき証拠を提出している。彼は薬剤耐性の起源と、なぜ薬草が薬剤より効果があるのか説明している。

膨大な科学的調査を引用して、ビューナーの本は詳細な図表と、命に関わるMRSA【抗生物質メチシリンに対する薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌】などの感染症はもちろん、傷、尿路感染症、扁桃腺炎などのありふれた病気への処方箋も提供している。

マザー

 

  1942年にはペニシリンの世界全体の生産量は僅か29kg64ポンド)だった。2009年までにアメリカ合衆国だけで年間約2700kg6千万ポンド)の抗生物質が使用されており、そのうち約1360kgが家畜の成長促進と病気予防のために工場式農場で使用されている。

  この数字は1年間の値であり、これが毎年行われている。

  ほとんどの人は認識していないが、これらの抗生物質はどこにも行かない。抗生物質は、純粋な状態でも化学変化した状態でも、病院の排水の大きな位置を占める。それらは数百万人もの患者から数百万kgも排泄され浄水場へ行き、ほとんど処理されずに通過して水道に流れ込む。

  我々は北米と世界の多くの地域が抗生物質で溢れることを許してきた。短期的には、病原体や抗生物質耐性バクテリアが農産物、動物、人間集団の中に出現することを意味する。長期的には、人類史上最も感染症や伝染病が致命的になることを意味する。

 

奇跡の薬が色褪せる

  ペニシリンは1929年に発見され、第2次世界大戦中に商業的に生産されたが、日常的に使用されるようになったのは戦後である。良き時代だった。科学が万能に見えた。毎日のように新たな抗生物質が発見され、薬の蓄えは圧倒的に見えた。

  抗生物質の商業生産が始まって54年後の1999年までに、全ての治療用抗生物質に耐性を持つブドウ球菌がはじめて3名の人間に感染した。はじめは病院の患者だけだったが、現在ではMRSAのような耐性をもつ変種は世界中の人々の中に存在する。

  抗生物質耐性の増加の割合は信じがたいことだった。進化生物学者は、バクテリアの進化は(全ての種同様に)自然発生的であり、各世代において極端に低い頻度で発生する有益な突然変異によって起こるものだと主張していた。35年でバクテリアが重大な抗生物質耐性を持つことは不可能と考えられた。人類は抗生物質の使用中止に直面するかもしれない。それは愚かな使用開始のたった60年後のことだ。

  多くの人が、地上の全ての生命は高度に知的で信じられないほど柔軟であることを見逃している。バクテリアは地球上で最古の生命体で、快適な状態への脅威に対する反応をすばらしく学んできたのだ。

  抗菌性物質は世界中に存在し、殆どは菌類や植物から作られるのと同様に他のバクテリアからも作られる。生き延びるために、バクテリアは大昔にこれらの物質への対応方法を身につけた。バクテリアは抗生物質への対抗方法を身につけるとすぐに、他のバクテリアに極めて速く組織的に情報を伝達し始める。実際、バクテリアは種族を越えて連絡し合っている。それは商業用の抗生物質が現れる以前は知られていなかった。彼らは重要な耐性に関する情報を、他のバクテリアが受取るために周囲に放出して伝達している。

  抗生物質は、結局、残念なことに、バクテリアを引き寄せる誘引物質の振舞いをする。抗生物質の存在は、バクテリアの学習速度を直ちに何桁もの倍数で速めてしまう。

  最新の発見では、全ての先進工業国の(人や家畜が使う)水道は微量の抗生物質によって汚染されている。水に排出される抗生物質が多ければ多いほど、バクテリアはより速く学習する。進化論が予言したように、彼らは互いに競争しているのではなく、情報を共有することで無差別的に協力している。多数の事例の中の一つとして、抗菌圧(antimicrobial pressure)は大腸菌を発生させるそれは通常病原体ではないが、致命的な大腸菌O157E. coli O157:H7)のような予期せぬ毒性が現れる可能性がある。今では疫学者は、遺伝マーカー【遺伝学的解析で標識として用いられる遺伝子】の研究によって、その毒性が、異なる属である赤痢菌によって伝えられたことを知っている。

 

耐性の統治

  莫大な量の抗菌性石鹸、洗口剤、手洗い用殺菌剤などの製品は、結局水道に流れ込み、同時にたくさんの種類のバクテリアの耐性を刺激する。たとえ抗菌性石鹸が市場に出る前に耐性の力学がよく理解されたとしても、依然として企業の圧力によってそれらの製品がアメリカ合衆国に流通している。そして他の全ての抗菌性物質と同様に、石鹸は独特な耐性の形式を地球上のバクテリアに与えはじめた。広告によってすっかり影響された我々の病原菌への恐怖、結局、耐性を早めてしまった。

  工場式農場や獣医による抗菌性製品の広範な使用は同様のバクテリアの進化を加速させた。このような抗菌性製品の使い過ぎは、一連の多くのバクテリアに強力かつ迅速な耐性を発生させる。科学ジャーナリストのブランドン・ケイム(Brandon Keim)は2010年に次のように書いている。「農場は超細菌の巨大なペトリ皿【微生物の培養実験で用いられるガラス製の平皿】になっており、特にMRSAは毎年2万人のアメリカ人を殺しており、それはAIDS以上だ。」

 

  サルモネラ菌は遺伝的に鶏の卵が産まれる卵巣に宿り、冷やしても、茹でても、あぶっても、揚げても生きている。サルモネラ菌を殺すには、卵をよく揚げるか9分以上茹でなければならない。持ち帰り用飲食店の肉の中にいるリステリア (Listeria)は冷やしても生きている。赤痢菌は今ではオレンジジュースでもリンゴジュースの中でも生きているが、かつてはジュースの酸が殺菌していた。フェニックスにあるNPO法人ゲノム翻訳研究所(Translational Genomics Research Institute)から出版された2011年の調査では、店舗で売られている肉や鶏肉の全検査対象の約50%がブドウ球菌に汚染されており、検出されたバクテリアの半分以上は、ひとつかそれ以上の抗生物質耐性をもつ変種だった。 

 

Herbal Antibiotics: An Effective Defense Against Drug-Resistant ‘Superbugs’

By Stephen Harrod Buhner 

December 2013/January 2014


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