ベストなコンポスト選び

土に埋めて堆肥を作っているけど、腐敗してる残さを見るのがいやなら、市販のコンポストの中へ隠してみようよ。買う前に、読者のおすすめをチェックして、自分の状況に一番見合ったコンポストを見つけよう。たくさんある据置のコンポスト、攪拌型のコンポスト、ミミズコンポストなどの中から見つけよう。

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ガーデナーたちは、良質で肥沃な苗床を作るには、コンポスト(堆肥)で栄養を与えることが重要だと知っている。そうした豊かな「スーパー土壌」は、作物を病気や日照りから守り、大事な養分を与え、土壌のpH値を整えるなど、さまざまな恩恵をもたらす。

ガーデニング顧問グループにて最近実施した調査によると、回答者2000人中95%以上がすでに堆肥を作っており、70%2山以上を持っているという。屋外に積み上げて野ざらしにしておくのが最も一般的な方法だが、動物が近寄るのを防ぐと同時に農園を整頓された状態に保っておくため、読者の3分の1以上がこの「畑の石油」を市販のコンポスト容器で保管している。皆さんが最適な自宅用コンポスト容器を選べるように、1つあるいはいくつかの種類を試した読者に話を聞いた。ニーズを満たす100点満点のコンポスト容器を見つけるには、「コンポスター比較(Comparing Composters)チャート」を閲覧するか、「市販のコンポスト容器: タンブラー、ミミズコンポストなど(Composting Bins on the Market: Tumbles, Worm Bins and More)」を参照

 

据置型コンポスト容器

据置型コンポスト容器は一般的に最も容量が大きく、283424リットル入るものが多い。ほとんどが再利用プラスチックでできており、熱を保つために暗色で塗装されている。湿気を保ち、生き物の侵入を防ぐため、蓋が付いているものが多い。据置型コンポスト容器は通常、底の部分が開いていて、虫や有益な微生物が中に入って発酵・分解のプロセスを早められるようになっている。完成した堆肥を取りだせるように12箇所の開口部が設けてあるものも多い。開口部のない場合は、ただ容器を持ちあげてどかし、まだ分解が終わっていない部分を山から掻き出して容器に戻し、完成した堆肥を取り出す。

 どれくらい早く堆肥が完成するかは、気候、季節のほか、発酵・分解という堆肥化プロセスにどれくらい手をかけるかに左右される。コンポスト容器の中身をかき混ぜるのは大変な作業だ。これは複数の読者が指摘したマイナス面でもある。ただしかき混ぜる工程を飛ばしても問題はなく、少しだけ長く待てばよいだけだ。大変な思いをしなくても、ほとんどの読者が、生ゴミなど堆肥の材料を最後に入れてから4カ月以内で容器一杯の堆肥ができると報告している。

 バーモント州ウェイツフィールド郊外に住む堆肥作り名人、キティ・ウェルナーKitty Werner は、大量の生ゴミを大き目の紙袋に入れ、冬の間中ポーチに出しておくという。「凍てつくような寒さが、分解を速めるの。春になって容器に移す頃には、大変なことになっているわ!1カ月もしないうちに堆肥ができるのだから」ウェルナーは、鋤でかき混ぜたりひっくり返したりという作業に煩わされることなく、工程を迅速化している。

 ノースカロライナ州ラレーのドナ・ベイツDonna Batesのお気に入りは、フリーガーデン・アース(FreeGarden Earth)のコンポスト容器だ。「蓋がねじ式でしっかり締まるので、動物が入り込んで腐りかけの生ゴミが撒き散らされることがない」という。「下の方にある開口部から、完成した堆肥を少しだけ取り出すこともできるし、コンポスターは軽量なので、容器を持ち上げて完成した堆肥を空け、シャベルですくって台車に積んで農園に運ぶこともできる」と語るドナは、多忙なためコンポストに手をかける時間がないが、同時に2つの容器で作ることで、利用可能な状態のコンポストがいつでも手元にある。多くの読者と同様、彼女はコンポスト容器を市の土壌・廃棄物部門から割引価格で購入したという。(ベイツは、1本たった45ドルで買ったそうだ!)

 

コンポスト・タンブラー

据置型容器と比べると、ほとんどのコンポスト・タンブラーは容量が小さく(141339リットル)、容量当たりのコストも高いが、中身をかき混ぜやすい設計になっている。刈った草や落ち葉その他の有機廃棄物を詰め込み、湿らせて、タンブラーを回転させる。そうして混ぜることで分解プロセスが早まると考えられているが、読者の感想はさまざまだ。

 コンポスト・タンブラーを気に入っている読者は、そのスピードと使いやすさを評価している。ジョイス・マクナリーJoyce McNallyはこれまでミミズコンポストや野ざらしなどを試してきたが、彼女が最も優秀なコンポスターに挙げたのは、5年間使っているタンブラー「コンポスト名人(Compost Wizard)」だ。彼女は毎日どころか週に1度も回転させないこともあるが、それでも数カ月で堆肥が完成する。「このタンブラーだと、据置型容器よりも均一な堆肥ができるみたい。内側に、かき混ぜるための「ヒレ」がついているの」ペンシルベニア州エリー郊外在住の彼女は、ねじ式で蓋がしっかり締められ、ラクーンなどの小動物が中に入り込まない点も評価している。

 カンザス州トピカのルネ・ホールRené Hallは、タンブラー「カマキリ(Mantis)」について、毎日回転させて水分量を正しく調節すれば、1カ月程で2つの樽型容器のそれぞれに、台車3杯分たっぷりの堆肥ができると話した。「容器が両方とも一杯になったら回転させるのは大変だけど、鋤でひっくり返すよりはいい。年を取るにつれて、便利さに進んでお金を払うようになった」という。

 コンポスト・タンブラーは、中身を空けるのが大変で、水がたまって困ると漏らす読者もいる。「うちのタンブラーは天水桶のように水がたまる」と話すのは、雨の多いアラバマ州センターに住むクリスティー・メーラーChristi Moeller。「穴の部分から雨が入ってきて、排水されない」という彼女にとっては、据置型容器の方がずっと都合がいいようだ。

 

ミミズコンポスト

調査に回答を寄せた読者たちは、機能面で見るとミミズコンポストが最も優れたものだと考えている。ミミズコンポストで使われる食用ミミズのレッドウィグラー(学名エイセニア・フェティーダ)は、生ゴミや紙を分解する。この虫は、1324℃くらいの穏やかな気温を好む。ミミズコンポストは屋内に置かれることが多い。積み重ね可能な40センチ四方程度の小型トレーが付いているものが一般的で、ミミズがトレーの中で食べ物を分解したら、その上に別のトレーを置く。時間がたつにつれミミズたちは上に移動して行くが、彼らが残す肥料、つまり完成したミミズ堆肥(ミミズのふん)は下にたまって行く。3カ月もすれば、利用可能な状態の堆肥ができあがる。ミミズコンポストの中には、液肥を排出するための栓が付いたものもある。

 「だいたい3カ月おきに3つのトレーの一番下を取り出すと、しっかり分解されている」と話すのは、ワシントン州ベリアンに住むジョン・フィーニーJohn Feenyだ。「分解されたものは屋外のパレット容器に移して、薄めた液肥は作物に与えるんだ」レッドウィグラーは、ジョンの住む地域の寒さに耐えられないため、冬の間は地下室に置いておくという。

 ニュージャージー州オーデュボン郊外のエリザベス・クローズElizabeth Closeは「ジムおじさんのミミズ農園」(Uncle Jim's Worm Farm)で買ったミミズコンポストで作る堆肥の品質に大満足だ。「コンポスト容器やタンブラーで作る堆肥に比べて、ずっと栄養豊富できめが細かい。大量には作れないので、使う場所を選んでいる。ミミズが多くなり過ぎたら、おやつとしてニワトリにやっているわ」

 

屋内コンポスター

屋内用コンポスターは、体裁の良いバケツになるだけでなく、生ゴミをどんどん分解してくれる。電動コンポスター「ネイチャー・ミル」(NatureMill)は、生ゴミを加熱して空気を混入させる。木質ペレット、おがくず、ココヤシ皮の繊維などを炭素源として加えれば、高濃度の窒素を含んだ生ゴミの分解を助け、数週間で堆肥が完成する。電気消費量は、常夜灯とほぼ同じだ。

ルネ・ホールは、250400ドル(約250004万円)という価格にも関わらず、ネイチャー・ミルのファンだ。「もしくたびれてきたら、すぐに新しいのを買うわ。これはだいたい1時間に1回、自動運転するの。音はうるさくないし、蓋を閉めておけば臭いもしない」ニュージャージー州スパルタのバーバラ・テイラーBarbara Taylorは、屋外のコンポスト容器から熊を遠ざけておくのは難しいと話す。5年間使っているネイチャー・ミルでは、10カップの生ゴミが約1週間で堆肥になるという。

「ぼかし」(Bokashi)バケツは、屋内で堆肥を作るもう一つの方法だ。日本の伝統的な方法に基づき、ぼかしでは微生物、ぬか(ふすま)、モラッセと呼ばれる砂岩をブレンドしたパックを使って生ゴミを発酵させ、分解する。キットに含まれるのは通常、栓としっかり閉まる蓋が付いたコンポスト容器と、ぼかしブレンドだ。生ゴミとぼかしブレンドを交互に重ねて容器に入れる。コンポスト液は栓から排出できる。供給元によると、ぼかしバケツ一杯分が、およそ数週間でほぼ完成に近い堆肥になるという。そうなれば、発酵している生ゴミを屋外の容器に移してもいいし、農園の土に撒いてもよい。

 

DYIで堆肥作り:ひと山じゃ足りない!

堆肥は、ただ有機廃棄物を集めて積んでおき、腐るのにまかせておけば簡単にできる。だが、手作り堆肥にぴったりの方法がいろいろある。

木製パレットリサイクル: 運送用の木製パレットは、荷積み業者のドックや倉庫から無料で入手できる。パレットは通常101×122cm程度で、コンポスト容器にちょうどいい。パレットをいくつか横につなげて、マルチ容器システムを作ることもできる。頑丈で小ぎれいで見栄えがよく、材料が無料で手に入るのが長所だが、動物を遠ざけておけず、多少の組み立て作業が必要なのが難点だ。

ワイヤー・コンポスト: 手造りのワイヤー製容器はシンプルで、高さ120cmほどのフェンス用ワイヤーを使って簡単に作れる。希望の直径になるよう調節し、端と端をつなぎ合わせる。あまりコストがかからず、野ざらし状態よりは見栄えもよく、移動もしやすいという利点があるが、動物が寄ってきてしまい、自分でかき混ぜないと分解に時間がかかってしまうのが欠点だ。

コンポスト囲い: バーバラは、直径約90cmのワイヤー・コンポストを花壇で囲ってしまうのが気に入っている。コンポストの外側でつる性の花や作物を育て、その手前に花や野菜を植える。秋になったらワイヤーを取り外し、完成した堆肥を撒く。長所は、一定期間作物を育てられること、見栄えが良いこと、手間がかからないこと。短所は、動物が寄ってくることだ。

シート・コンポスト: これは簡単な方法で、有機廃棄物を農園の植床や小道に撒き、その場で分解させる。巨大な敷き藁と考えればよい。クリスティは、オークの落ち葉や生ゴミ、土なし栽培用の混合物を重ねて撒くことによって、乾いた砂だらけの土壌をちょうど1年でみずみずしく生産性の高い苗床に変貌させた。簡単で、混ぜ合わせる手間もなく、新しい苗床を作るには優れた方法だが、廃棄物が完全に分解されるまでには1年かかる。

 

トレンチ(溝): 有機廃棄物を容器に入れたり積み上げたりするのではなく、溝を掘って土の中に埋める方法だ。見えないところで有益な微生物や虫が働いてくれ、地上のスペースを取ることもない。キティーは、ときどき未完成のコンポストを苗床の下に撒く。彼女は「あとは自然に堆肥化するし、作物は温かさと養分で喜ぶ」と話す。場所を節約でき、かき混ぜ作業もいらないが、穴を掘るのがなかなか大変だ。

 

Choose the Best Compost Bin

By Vicki Mattern 

February/March 2014

 

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