乾燥豆と乾燥エンドウの育て方大全

 乾燥豆とエンドウ豆は、卵のようにたくさんタンパク質があり、しかも繊維や各種ミネラルの恩恵も。簡単に保存出来るマメ科の植物を育てる基本を学ぼう。

 

乾燥豆や乾燥エンドウは、タンパク質の発電所として知られる卵やカッテージチーズに匹敵するほど、一食当たりのタンパク質量が多く、食物繊維と多くのミネラルという付加価値もつく。青い豆やサヤエンドウはどれも、乾燥させた種子を食べられるが、風味豊かで栄養豊富な種子をより多く収穫するために栽培された特定の種類の豆やサヤエンドウは、菜園の空きスペースのよい活用法になる。一般的な気候で乾燥豆や乾燥エンドウを栽培する場合、乾燥した秋季に熟すよう春作物の後に植えるといい。マメ科の花々には益虫が集まるが、マメ科の植物が土壌に棲むバクテリアと協力し、多量の窒素を取り入れる能力があるおかげで、豆やサヤエンドウは他のほとんどの作物に比べて、土壌から栄養価を取り除きにくい。

 

栽培できる豆の種類

地元の気候に合った種類を選ぶことが、乾燥豆や乾燥エンドウを育てる手がかりとなる。乾燥豆類はすべて、種子の成熟途中で収穫し、新鮮なうちに調理できるが、乾燥させて保管しやすい状態になるよう、熟すまでそのままにしてもよいことを覚えておこう。

スープ豆 【エンドウ/学名:Pisum sativum は、グリーンピースのように涼しい気候で育つ作物だが、でんぷん質のスープ豆はしわがなく、すべすべしている。これらの耐寒性エンドウは、涼しい春先のごく早い時期に植えたい。「ゴールド・ハーベスト」のような株立ちタイプを広い苗床で育てる場合は、自立型のブロック塀を建てるが、「紫エンドウ」や他の丈の高い種類の場合は、頑丈な格子垣が必要だろう。スープ豆は、涼しい北部の気候で、pH5.57.0 の弱酸性から中性の土壌が栽培に最適だ。

伝統的な乾燥豆(インゲン豆/学名:Phaseolus vulgaris)は、見た目も育ち方もエンドウに似ているが、サヤがすぐに硬くなりすぎて、食べるには筋が多すぎる。株立ちタイプのニューイングランド原産の豆といえば、「ケナリー・イエロー・アイ」や「ジェイコブズ・キャトル」があるが、これらは冷涼な土壌に耐えるので、夏が短く涼しい場所で育てるのに最適な豆だ。もっと温暖な地域では、株立ちで白黒の「インヤン・ビーン」(「カリプソ」 としても知られるが、たくさん採れて頼れる。「Dwarf Horticultural」 豆は、夏が長い地域で、春の作物が終わると蒔くことができる。これらや他の純乾燥豆は、pH6.57.0 の中性に近い土壌で最もよく育つ。

多くの園芸家は支柱タイプの豆の栽培を好むが、これは格子棚をつたって成長させるか、膝までの高さのトウモロコシかヒマワリの間に種をまく。つるの長い在来種には、複雑な模様のある茶色と白の 「ヒダーツァ・シールド」 や、えび茶色と白の 「グッド・マザー・スタラード」 があるが、これらは多くの気候で、枯れ行くトウモロコシの茎を伝ってどんどん伸びてゆく。夏の夜が暖かく湿度が高い場所では、乾燥した秋に完熟すると、「ターキー・クロウ」 や 「メイフラワー」 がトウモロコシ畑に実る豆として素晴らしい。

ラナービーン(紅花インゲン/学名:Phaseolus coccineus)は、他の乾燥豆に比べて、より甘みのある未成熟なサヤを実らせ、印象的な花々にはマルハナバチが寄ってくる。ラナービーンは涼しい夜に順応するため、穏やかな気候で育つライマメよりも育ちやすい。その乾燥した種子は大きく、カラフルで肉付きがよくライマメに似ているが、風味はより甘みがある。「スカーレット・エンペラー」 は紫色と黒の種子を実らせる。桃色の花を咲かせる 「サンセット」 の種子はほぼ真っ黒である一方、「ストリームライン」 の種子は、黒と茶色の斑点がある。ラナービーンは pH6.07.0 の中性に近い土壌を好む。

 ライマメ(学名:Phaseolus lunatus)は、温暖で湿気の多い気候の中でよく育ち、普通の豆が悩まされる害虫にも耐性があることが多い。支柱タイプの種類には、「クリスマス (ラージ・スペックルド・キャリコ)」 や、白色の種子を持つ 「キング・オブ・ザ・ガーデン」 があり、頑丈な格子柵を使えば大収穫の見返りがある。株立ちの 「ジャクソン・ワンダー」 も乾燥豆として栽培できる。乾燥したライマメは、やわらかい青豆よりもサヤから出しやすい。ライマメは pH5.86.5 の弱酸性土壌を好む。

ササゲまたはクローダー(大角豆/学名:Vigna unguiculata)は、「南部豆」 あるいは 「フィールドピー」 と総称され、アフリカ原産で、温暖な気候にずっと必要とされてきた。

光沢のあるササゲの葉にはよくいる害虫はまったく寄り付かず、その紫色の花は高温多湿の中でさえ果実を実らせ、暑く湿度の高い夏となる地域に理想的な作物。「アーリー・スカーレット」 や他の株立ち種は高いところにサヤが生るので、摘み取りやすいが、1平方フィート (0.09あたりの収穫量がもっと多いのは、「ピンクアイ・パープル・ハル」 や茶色ササゲの 「ミシシッピ・シルバー」、「北京黒ササゲ」 など。小ぶりな種子でほぼ白色の 「ジッパー・クリーム」 は、クリーミーで料理用として非常に好まれ、株立ち状に育つ。ササゲは、pH5.56.5の弱酸性土壌で最も良く育つ。

 テパリー・ビーン(学名:Phaseolus acutifolius)はアメリカ南西部とメキシコを原産とし、数千年前からずっと伝統的な食材のひとつだった。テパリー・ビーンは、夏の雨季の間に植えられる。普通の豆より葉が小さく、多くの乾燥地帯に見られるアルカリ性の土壌によくなじむ。暑さと日照りに耐性のあるテパリー・ビーンは、残暑が厳しく湿度が限られた気候でもよく実る。白い種子をつける 「白色トホノ・オオダム」 や、よりカラフルな 「青斑豆」 は、夏に暑くなる地域でもあまり手間のかからない作物。テパリー・ビーンは、中性のpH7.0に近いアルカリ性土壌で最も良く育つ。

 

乾燥豆と乾燥エンドウをいつ植えるか

 早春の頃、終霜前の46週の間に肥えた植床にスープ豆を植えよう。その他の乾燥豆や乾燥エンドウはすべて、温暖な気候に育つ作物なので、晩春または夏に種まきをするのが最適。これらの種は、終霜日から2週間以上経ってから肥えた植床へまき始めよう。

 

夏が長い地域では、雨が少なくサヤが腐る可能性が減るので、6月に行われる晩植は、典型的な早秋の乾燥気候のあいだに成熟するという利点がある。どんな気候でも、低木性の伝統的な乾燥豆は、秋の初霜日より90日前までなら植えられる。。。

 

和訳全文は、5月末発行予定。

 

ステキな英文誌に和訳付 ~ 購読登録はこちら。

 

All About Growing Dry Beans and Peas

By Barbara Pleasant