払う価値あるものを: 食料システムの影響

20146/7月号では、工業的食料生産の欠点を詳しく見ていく。

  環境ジャーナリストのリチャード・マニングは、「緑の革命の隠された欠点:生物多様性の喪失と文明の病害」で、20世紀半ばの緑の革命と呼ばれる農業が、いかに、高炭水化物で栄養価の乏しい食生活をもたらし、人間と家畜に慢性的な健康問題を引き起こしてきたかを概説。農業の大企業Big Ag)が主張するのに反して、工業的農業は世界に食べ物を供給するのでもなく、「持続可能」でもなく、化石燃料へ非常に依存する状況を作り出している。議論を発展させるため、食糧と農業活動家ヴァンダナ・シヴァへインタビューし、企業農業の発展に対抗する地域社会の反応について、「自由な農業:食料主権活動家ヴァンダナ・シヴァへのインタビュー」という記事にまとめた

  「フレキシタリアン(緩やかな菜食主義者になって、もっと健康に、もっと少ない食費を。」で、フードライターのキム・オドネルは巨大な密閉施設で生産された肉の否定的な状況を明らかにしている。オドネルは、なぜ、多くの人が、野菜を基本とした食生活に移行し、肉を少なめに食べ、工業的な食料システムの肉よりも質の高い肉を選ぶことで、「緩やかな菜食主義者」に切り替わっているかを説明している。

  より良い品質のグラス・フェッド(牧草で育てた)肉を食べるようにすると、健康を促進するだけでなく、地球温暖化防止に役立つ。気候変動研究、そして移動放牧牧場主のウェイン・ホワイトは「牧草管理と炭素隔離:健康的で多様な牧草地は自然の『炭素吸収源』となる」の中で、牧草地での放牧家畜の適切な管理は、実際、草の下の土壌を炭素吸収源に変えて、気候変動を引き起こす二酸化炭素を土に戻して地球温暖化を軽減するために貢献すると説明。

  上述の専門家たちは、工業的な農業が、文明を破壊的な道筋へ向かわせるがままにしてきたことを示す有力な証拠を提示。この方向を変更するのは我々次第だ。ジャンクフードを買う代わりに、もう少し多く放牧卵と肉、あるいは有機穀物、農産物、酪農品を乳製品を購入することを選ぶことで、3つのことを成し遂げられる。家族がより健康になり、家畜がより人道的に扱われ、土壌、水、その他の天然資源への負荷が減らせる。

  例えば、「有機牛乳のほうがよい?」というレポートの中でまとめているが、穀物と「農薬濃縮液」を中心に与えた牛の工業的な牛乳よりも牧草と飼料で育てられた牛の有機的な牛乳のほうが健康に良いということが新しい研究結果から示された。驚くべきことに有機牛乳には工業的製品よりもオメガ3脂肪酸が平均で62%も多く含まれていると分かった。

  古い格言「あなたが支払ったものを手に入れる」が当てはまる。とにかく安い食品を選んで購入すると、栄養的、環境的、倫理的に少ない価値しか得られない。高品質の食品と安い食品の違いを理解すると、生活を良くする良い食品を選んでもう少し多く支払うことだろう。

  個人によるシンプルな日々の選択は無数で、本当に世界を養い、地球を守ることができる持続可能な食料システムの出現を促す。

  この号の記事、皆さんが、もう少し肉ひとつにもお金をかける価値があると納得することを願っている。 

 

We Get What We Pay For

June/July 2014