放牧が気候変動に影響するしくみ

牧場管理と炭素隔離: 健全、多様な牧場は自然な「炭素吸収源

健全な土壌で炭素隔離を増やすために、牧場は管理のキーポイント2点に従おう: 多様な原生牧草を育て移動放牧のしくみを活用。

移動放牧の手法は、牧草の食べさせ過ぎを防ぎ、土壌でより多くの炭素を吸着できる。ひいては、地球温暖化を和らげる役に立つ。

  合衆国の科学アカデミーと英国の王立協会により招集された一流の気象学者たちによる2014年のレポートによると、大気中の二酸化炭素濃度は、工業化以前の時代から40%増加。その半分以上が1970年以降の増加で、全ての温室効果ガスの内で、二酸化炭素が地球温暖化の最大の要因。気候変動の危機を抑えるために、政策立案者や憂慮する市民団体が解決策を提唱している。例えば、再生可能エネルギーの開発、資源効率の向上、より環境を汚さない車など。農地管理も解決策に挙げられて然るべき。自作農家や牧場主が、いかに家畜を管理するか、いかに家畜が草を食べる牧場を管理するかということが、大気の炭素汚染について重要な役割を担っている。

  主流の牧場管理手法は、世界中の牧場地を深刻に劣化させている。劣化させる流れとしてあるのは、一年生作物を植えるために非常に耐侵食性がある地面と斜面にある牧草地を耕すこと、栽培植物化した牧草の単一種の植付けで自然な草地の多様な植生を壊すこと、牧草を食べさせ過ぎること、草を食べる家畜の適切な移動放牧を怠ること。これらの手法は全て、土壌内の炭素を減らし、よって土壌の生産性を下げ、気候変動を悪化させる。

  土壌の炭素は、光合成の主要な産物で、健全な土壌の重要な成分。牧草地や土壌は、それ故重要な「二酸化炭素吸収源」。科学的にはこのようなしくみ: 植物が大気中から気体(二酸化炭素)として炭素を取込み、水素と酸素と化合して炭水化物を生成し、これを植物が根を通じて土壌へ送り、菌類が食べて、ミネラルと栄養素を植物へ返す。この植物と菌類との目に見えない協力関係が、地球の炭素循環の基礎で、植物は地表面の上下で、大気中の二酸化炭素からの炭素を炭水化物という生物資源にする。(植物の生物体量の平均はなんと炭素47%。)

 

和訳全文は6月末発行予定。

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Pasture Management and Carbon Sequestration: Healthy, Diverse Pastures Are Natural ‘Carbon Sinks’

By Wayne A. White 

 

June/July 2014