真に高品質な種子を手に入れる方法

野菜の有機栽培を始めて25年になるが、つい最近、立て続けにひどい不作に見舞われた。私がやらかしたヘマが原因か?それとも天気のせい?種子の選択を間違えたのか?そこで、私は複数の種子の専門家にインタビューして、その調査結果を自分のウェブサイト(AWaytoGarden.com)で公開することにした。そこには数々の驚くべき発見があった。 そして私自身、それまで思いもしていなかった見方に気づくことになった。それは、安定してうまくいっている菜園はどこも、その地の生育条件に適した品質の良い種子から始めているという事実だった。

種子は生きている

 考えてみよう。一般消費者向けの産業分野で、芽生えたばかりの生命を生きたまま郵送したり、店の棚に置いたりするものがほかにあるだろうか?種子は生き物で、絶えず周囲の環境に順応し続ける。最初に交配した時の環境とその後どのように世代を重ねていったか、その両方から受ける影響は極めて大きい。私たちが考える以上に周辺の環境に応じた進化を見せる。どのように適応していくかは、天候のような明らかな要因にるのはもちろんだが、栽培の仕方、例えば化学肥料を与えられたかどうか、なども関係してくる。その結果、10の異なる種子会社の同じ名前のパッケージの商品があっても中身は必ずしも同じでない、ということが起こる。「ブランディワイン(Brandywine)」のトマトは真の「ブランディワイン」とは限らないのだ

 そういうわけで、種子を買う時には「この子はうちの庭ですくすくと居心地よく育つだろうか?」と問うことが大事だ。つまり「この特定の種子が順応しやすい環境とは?」と。でもその種子の生い立ちがわからない限り、答えは得られない。売り手自身の手による種子は意外に少ないものだ。多くの企業は転売しているだけで、植物ブリーダーでも種子農家でもないのが現実だ。がどこでどのように種子を育てたかを知る必要がある。

 

自然受粉種子

 エアルーム品種(heirlooms【先祖伝来の家宝のように歴史を持って育てられてきた品種】)を含む、自然受粉(OPopen-pollinated)種子では、徹底した種子管理が極めて重要だ。多くの菜園家は毎年毎年同じ種子を維持したいと考え、そのため自然受粉を選ぶ。OP 種子は「呼吸する生物であり、ハイブリッド種とは違い、時間とともに進化していく」と、有機種子同盟(OSAOrganic Seed Alliance)の常任理事を務めるミカエラ・コリー(Micaela Colley)は言う。OSAは倫理的な種子管理と地域に根ざした交配の復活を推進している団体だ。同じ種の異なる品種間で花粉が交雑しない限り、自然受粉による種子は先代と同じ性質を保ち、次の世代にほぼそのまま受け継がれていく。

 一方、遺伝的に異なる、2種類のホモ接合体(極度な近親交配)間の計画的交配により作られるハイブリッド種の場合は話が違う。この種の交配では、例えば病気に強いなど、好まれる特質を持つ均一な植物を作ることができる。ハイブリッド植物の種子は純正種でなく、予想できない特質を持つ 次世代を生むことになる。そのため、ハイブリッド種では、毎年新たに種子を購入しなければならない(繰り返しになるが、ハイブリッド種では親の世代とは似ても似つかないものになり得るからだ)。1950年頃は、ハイブリッド種はその均一な性質などのため農業従事者の人気が高かった。玉ねぎ畑やブロッコリー畑で、一度に全量収穫できるなど、商業的に好都合で低コストで済む品種に初めて出会ったとなれば当然だろう。これらの好ましい特性を持つ品種は瞬く間に受け入れられかつてないほどの大規模な単一栽培につながった。。。



和訳全文は12月末発行予定。

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How to Source Truly High-Quality Seeds

By Margaret Roach 
December 2014/January 2015