地域エネルギー:人のパワー

使うエネルギーの支払いをすると、そのお金はどこに行くのだろうか。

可能性としては、町から流出し、州から出て、国内から外に行くことも。エネルギーのお金を家の近くに留めて、地域の雇用や事業を生み、エネルギー保障を高めて価格を安定させられるとしたら、素晴らしいと思いませんか?


そこで、地域発電が始まっている。地域にお金を留めて循環させる数々の恩恵に気づく人が増えている。地域発電に反映されている考え方は、地域で消費される電力の大半の発生元は(また所有や管理も)、地域自体であるべきだというものだ。

地域の再生可能な資源に基づく地域発電施策が国中で登場している。 プロジェクトには多様な形があるが、共通する要素としては、地域主導がある。地域発電では、資源と関わる新たな方法を奨励している。「Think local empowerment(エネルギーを地域へ)」。この傾向が特に顕著なのは、国の送電網)の在り方で、送電網が地域へ権限委譲する調整役になっている。今日の送電網は、中央に配された大規模発電が出力する一方向の流れから、双方向の流れへ移行しつつある。双方向の流れにおいて広く分散しているのは、多くの再生可能なエネルギー源で、風力、太陽光、水力、バイオガスなどがある。この再生可能への移行で、可能性が広がり、Harvard Solar Garden(ハーバード・ソーラー・ガーデン)、Piedmont Biofuel (ピードモント・バイオ燃料)協同組合などの地域発電構想が起こっている(この2つ事例のの詳細は後述)。

 

地域発電プロジェクトを始める

では、具体的にどのように地域発電プロジェクトを立ち上げるのか。

経済面と主導面で可能なたくさんの手法から選べば良いが、正しいものを選べるかは、広範囲にわたる地域事情による。特定の技術に力を入れているプロジェクトもある。太陽熱温水(ニューハンプシャー州の Plymouth Area Renewable Energy Initiative:プリマス地域再生可能エネルギー構想に見られるように)やバイオ燃料など。他には、風力基地や太陽電池(PV)の設置などの大事業もある。

「正しいやり方」はないが、ただ自分のグループにとって最も上手くいくやり方をすること。地域発電プロジェクトでは、ほぼあらゆる地域の再生可能エネルギー源を利用できるが、太陽光発電は最も急激に成長する分野の1つであり、有り難い事に、太陽電池パネルの価格がここ数年劇的に減少している。

他の要因としては、「group net metering(グループネットメータリング)」という法律がいくつかの州で制定されたこと。この法律で、同じ電力会社から供給を受けている顧客が、電力検針をまとめて、1枚の請求書が来るようにできる。これによりアパート居住者が地域発電プロジェクトに参加できるようになる。グループネットメータリングの他の利点は、良い設置場所を柔軟に見つけられる点で、例えば、大規模な太陽光アレイなどを設置できる。

ますます多くの生活共同体、学校、市町村、非営利団体が、経済、法律、技術面で成功しているグループネットメーターで行われた太陽光発電プロジェクトを参考にしている。最近の成功した事例としては、マサチューセッツ州ハーバードのものがある。

 

ハーバード・ソーラー・ガーデン

Solarize Mass プログラムに、2011年から参加した、マサチューセッツ州中部にある人口6,000人の街ハーバードは、400キロワットの太陽電池パネル(コミュニティー内の75家族分に電力供給)を導入した。ところが、わずかだが、参加できなかった居住者と企業があった。各所在地の制約からだ。

この障害から、生み出されたのが、共同所有する発電設備の分担という考え方、ハーバード ソーラー ガーデン(Harvard Solar Garden)だ。「3社の企業代表と35戸の居住者があり、コミュニティー太陽光発電設備を建てたら、入金できるよう準備してあります。」とプロジェクトのこーでぃねーたー広報担当のエリック・ブロードベント(Eric Broadbent)は言う。ブロードベントと他の居住者は、メンバーで所有するコミュニティー太陽光発電のプロジェクト(州で初)の立ち上げに挑戦することにした。連邦政府や州政府の補助金をいくつも申請し受領した。しかし前進するために多くの障害(都市計画や徴税に関わる法律や規制)を克服しなければならなかった。

幸運な事に、プロジェクトには強力な草の根運動の後押しがあった。「地域の人たちに望まれていたので、ハードルを超えなければならない時にはいつも、地域で支持者が集まったのです。」とブロードベントは言う。このプロジェクトでは、2段構造のLLC(計画者と出資者を法的に保護する有限会社)が組織され、州の税額控除を利用した。Commonwealth Solar II 助成金、Solar Renewable Energy Credits (SRECs)、Section 1603 Program連邦助成金((現在利用不可)、連邦投資税額控除など。

第1段階が稼働した2014年7月の時点では、ハーバード・ソーラー・ガーデンの参加者は47名まで増えて、発電量は294Kwに達した。第2段階はは最終局面にある。

 

ピードモント・バイオ燃料

このピッツボロを拠点とした共同組合は、ノースカロライナ州の草の根の持続可能性運動を牽引しており、動物油脂、機械油、調理廃油から作る地域産のバイオ燃料の使用を奨励している。ピードモント・バイオ燃料では、直接販売する先は、会員の所有者たちで、全員合わせて約450台のバイオ燃料車を所有。会員は、バイオディーゼル燃料を協同組合から購入するか、教育プログラムで作り方を学べる。この共同組合では、数10の小規模燃料プラントを建てており、また、とても評価の高い研究施設を運営している。ピードモント・バイオ燃料は運営全般のコンサルテーションを提供している。

2003年設立で、2006年には裏庭でのバイオディーゼル燃料製造者から小規模の産業製造者(新設の年産100万ガロンの施設を持つ)へと変遷をとげた。ピードモント・バイオ燃料の強みは、(バイオ燃料の販売、相談、小規模バイオ燃料反応装置の建設や設計といった)多角化と、地域に密着している点。

「次世代の燃料を独占することには興味がありません」と共同設立者のライル・エスティル(Lyle Estill)は言う。「ただ、コミュニティーを火をつけているのです。」


エネルギーもDIY。

マザーアースニューズ。 

購読登録はこちらからどうぞ。


Community Energy: Power from the People

By Greg Pahl 

February/March 2015