野菜と花の最適な組み合わせ

花粉や花蜜をたっぷりつける花を食用植物と一緒に植えると、殺虫剤を使わずに害虫駆除ができ、授粉率はアップし、しかも畑の色彩が華やかに。ここでご紹介するのは、野菜と組み合わせるのにうってつけの花たちです。菜園を演出するヒントもあわせてどうぞ。


(写真)カリフォルニア州中部。著者がプロデュースした食用植物菜園。野菜畑で花を植えるなら、こんなふうに色・触感で遊んでみよう。

1970年代、私は、畑に植えるのにぴったりの花の選定という、新たな試みに夢中でした。ある日、私が手掛けたお客様の菜園のお披露目会場でのことでした。ワイングラスを片手に散策していた私の耳に、来場者の声が次々に飛び込んできました。「見た?畑にお花よ!」

アメリカでは、花と野菜は別植えが鉄則、みたいになってしまっているので、菜園設計の講座でお話しする時は、まず、こう言うようにしています。「さっき、憲法をチェックしてきましたけれど、野菜畑に花を植えるべからず、なんて書いてありませんからね」 植えていい、というより、植えるべき、なのです。

かくいう私も1970年代当時は、郊外の自宅の前庭で野菜と花を一緒に植えていたので、近所の方の目に留まりませんよう、何も言われませんよう、びくびくしていました。が間もなく、このほうが害虫が減り、鳥が訪れるようになり、作物もよく採れることを発見しました。

健全な畑作りに、花は欠かせない存在だったのです。花は益虫や鳥たちを呼び込み、さらに害虫の発生を抑え、受粉を促します。このことをある程度知っている方は多く、花粉や花蜜は虫のエサに、種になる部分は鳥のエサになることまでご存じのことも。しかし、芝生や食用にならない低木を何エーカーも植えたり、業務用の単一作物栽培に傾いていく一方で、自然なままの草地や植物がどんどん姿を消し、家畜の栄養源が減っていることを、ご存知ない方もいるのでは。農薬による環境悪化に伴い、花粉を運ぶミツバチなどの動物の個体数が激減しています。無農薬のエサや棲家を、彼らになんとしても確保してあげなければなりません。また、花粉や花蜜に代わるエサを益虫にやることで、益虫が留まり、害虫が現れても対応できるのです。

 

一歩進んだ食用菜園

食用菜園に欠かせないのは、収穫物もさることながら、見た目の美しさです。菜園の設計上、どちらも欠かせない存在になるような、相性のいい花と野菜を混植するのもポイントです。たとえば、裏庭が日陰なので、日当たりのいい前庭で野菜を育てるとします。よく見られるのは、長方形のプランターや木箱を置いて、長い畝で野菜を育て、四隅にマリーゴールドを少し植える、あるいは花で縁取りをする、という手法。いずれも、大量に必要な花粉や花蜜のプチ補給になるでしょう。

ですが、野菜の株と株の間に花をたっぷり植えると、見た目に優雅な上、益虫がさらに力を発揮します。豊富なエサに恵まれた虫たちは、すくすくと子を増やします。ほとんどの幼虫は、あまり動き回れません。メスのカブトムシやミドリクサカゲロウが、スミレについたアブラムシのそばに卵を産みつけたとしましょう。動きの鈍い食虫性のこの幼虫は、同じ庭といっても遥か彼方に植わっているブロッコリーについているアブラムシを、はるばる退治しに行かなくて済むのです。

花は、害虫を食べてくれる「いい虫さん」を呼び込むだけでなく、花自体が壁となって役に立ってくれます。人工的に作られる農薬のバリアとは全く異なる、天然の壁です。たとえばトマトにつくイモムシ。隣の株との間に「嫌な匂いの」背の高いマリーゴールドが立ちはだかっていたら、イモムシは、簡単には移動できないでしょう。

 

花と野菜の名コンビを作ろう

食用菜園を作るには、まず、花の色、質感、大きさ、形のバリエーションを取り入れ、全体の美観を考えます。「花と野菜は別々にしないと」などという考えはもう捨てましょう。やがてごく自然に、作物も花も驚くほど増えていきます。ただし、次の6つの点に気を付けます。

 

1. 成長後の大きさを計算に入れる。 花と食用植物が最終的にどんな高さと幅になるか、考えて植えます(種の袋や苗のタグに載っています)。高さのあるプランツを植えるなら奥の方に。それでもしっかり見えますし、他のプランツを隠すこともなく、日光も遮りません。この手のプランツは北・東側に、低めのプランツは南・西側と覚えておくことをお勧めします。

 

2. バランスを考慮する。 180センチを超えるヒマワリが、たかだか45センチのキャベツの隣にあったら妙ですね。背の高いものから低いものまで、高さを徐々に変えて植えれば、目線は自然に移動します。

 

3. 補色を試す。 手始めに、野菜がもっている色(赤いトマト、トウガラシ、カボチャの黄色い花、紫色のキャベツやバジルなど)から入ってみます。そこに、色合いの異なる花、たとえば淡い黄色や紫色の花をもってきて明るく演出したり、逆に正反対の色で意外性を出してみてもいいですね。 葉の色にも凝って、様々な色合いの緑を組み合わせると、表情豊かな菜園になります。 

 

4. 手触りと形にこだわる。 四方八方に伸びるカボチャと、上に向かってまっすぐ伸びるバジル。肉厚の葉をつける植物のそばには、デリケートな手触りの植物を。整然と並んだサヤマメのまわりには、マリーゴールドのかわいい丸いお花の畝を。

 

5. 四季折々のプランツを植える。 春先から晩秋まで、いつでもお花が絶えないよう、咲く季節を考えて育てます。菜園は一年中華やかになり、実は、この点が大事ですが、花粉や花蜜を益虫に絶やさずにあげることにもなります。

 

6. 全体を見る。 人は菜園のどこに惹きつけられるのでしょう。多様性と、もう一つは模様です。プランツの種類、形、プランター・花壇の形、色の取り合わせ、触感など、何でも構いません。ガーデニング雑誌、本、ウェブサイトなどで「これ」というものがあったら、部分的に、ご自分のお気に入りの野菜で置き換えてみます。葉物の記事でよく見かけるのは、鑑賞用コリウスのプランターですが、真紅のチャードや明るい黄緑色のケールの縮れた葉っぱでも、同じ景色が作れるのです。満開のブドウの木を見て「サヤマメの紫色がアクセントになるわ」なんて思いつく方もいるかもしれません。

 

ベストな花を選ぶ

自分の菜園に合ったお花を選ぶのは、簡単そうで実は難しい。鳥やミツバチや蝶や益虫を呼び込む花については、いろいろ研究されていて参考になります。ただ、該当する花が何10種類もあるので、気候に合い、一緒に植える野菜や菜園全体の設計に合うものを見つけ出すには、多少時間がかかるでしょう。

花といっても、色、香り、花の形が違えば、寄ってくる虫は異なります。花の種類が豊富であればあるほど、棲みつく虫も多様になります。たとえば、キク科(学名 Asteraceae)のブラックアイド スーザン (オオハンゴウソウ)、コーンフラワー、コスモス、マリーゴールド、ジニア (百日草)。セリ科(学名 Apiaceae)ではニンジン、コリアンダー、ディル、パセリ。アブラナ科(学名 Brassicaceae)のナスタチウム (キンレンカ)やニワナズナなど。シソ科(学名 Lamiaceae)のバジル、セージ、サルビアビクトリアブルー、そしてもちろんミント。「The Best Plants to Attract Beneficial Insects and Bees」では、もっと充実したお花のリストを掲載中です。

その土地に自生するプランツは、生態系が必要とする虫や鳥たちを自然に呼び込むので、お勧めです。代々そこにある花には、花蜜や花粉をたくさんつけることが多く、香り豊かな種類もあります。最近の改良種をチェックする時にも、これと同じ性質のものを探しましょう。お花の選び方についてはこちら。「野菜と植えたい花、お勧め10選」。

たくさんの益虫や鳥たちを菜園に招き入れることができたら、今度は棲みついて欲しいですね。まず、鳥が水浴びできるような、小さな水場を作ってあげましょう。2番目に、成長したら日陰を作れるように、花を伸ばしてあげましょう。3番目に、若いうちにすぐ切ったり抜いたりしないでください。バジルやパセリなどのハーブ類、ブロッコリーやレタスなどの野菜類は、花を咲かせて虫が寄ってくるまで育てます。そして最後に、自然の力で生態系のバランスが保たれると信じる。化学薬品に安易に頼らないことです。じっとがまんして、花と虫と作物の自然な関わり合いに、存分に時間をとってあげるのです。

実は私は、この3つが絶妙な効果を発揮した、まさに「アハ!体験」の瞬間を味わったことがあります。花について、私たち人間が「食用」「観賞用」と分けて考えているだけで、花自身は生態系の一部。花だけを取り除いてしまえば、生態系の大切な一部を取り除いてしまうことになる。ずいぶんたってから、ようやくこのことに気づきました。花と野菜を組み合わせて一緒に育てることは、菜園作りを楽しむためだけでなく、菜園には必要なことなのです。

 

野菜と植えたい花、お勧め10選

昔ながらの1年草は、万能で、菜園の植物に存在感と高さが加わるので、私はよく使います。人気の新しい花は高さのないものが多く、囲いの手前側にしか植えられません。最近の品種 (ひまわりを例にとりましょう) は、家のテーブルクロスを汚さないよう、花粉を減らす改良がされてきています。(ミツバチからすれば、あるまじき品種改良です!) 昔ながらの花は食用菜園で存分に役に立ってくれるのですが、大型ストアで手に入るとは限りません。でもご安心を。取り扱っている通信販売があります(Flower Seed Sources)。 種から育てても、あまり手がかからないものが多いです。

さあ、何から始めましょうか?食用菜園に合う植物の組み合わせを考え、見極めてかれこれ40年以上。お薦めするのは、手に入りやすく、益虫のために花粉や花蜜をつけてくれる花、さらに相性のよい野菜も併せてご紹介します。

ニワナズナ。地面をはうように成長し、無数の小さな花をオールシーズン咲かせます。紫色とピンクのニワナズナを、紫色の野菜類、たとえばナスや、バジル、インゲンマメ、レタス、ブロッコリースプラウトなどの紫色の品種と組み合わせます。白の二ワナズナは、堅く暗い印象のケール、チャード、チンゲンサイ、葉の赤いビーツなどに、フリルのようなかわいらしさを添えてくれます。チャイブ、ネギ、タマネギ、エシャロットの隙間に植えてもよいでしょう。

キンセンカ。キンセンカのオレンジ、黄色、杏色の花々は、冬季のビーツ、ブロッコリー、ブッシュピー (エンドウマメ)、キャベツ、ニンジン、コラード、レタス、ケール、パースニップ (サトウニンジン) などの家庭菜園を明るく彩ります。在来品種は45センチを超える高さに育ち、15センチ程度の小さなタイプに比べてうどん粉病にかかりにくいのが特徴です。 【お得情報】 キンセンカの花びらはお茶に入れてフレーバーを楽しんだり、天然の化粧品作りに使えたりします。

ハルシャギク。愛らしい花で知られる多年草で、北アメリカ大草原が原産。暖かい季節の間中、先端に黄金色の花が咲きます。私は、マメ類、キュウリ、トマト用に立てた格子枠の端のほうを、この花の定位置にしています。また、ホソバハルシャギクの名前でお店に並んでいる背の高い自生種はお気に入りで、ついつい買い求めてしまいます。小型の品種は、バジル、エイダイブ、ナス、ケール、トウガラシなど、背の低い野菜類のそばに少し場所を作ってあげると、いい感じです。。。

 

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Wise Pairings: Best Flowers to Plant with Vegetables

By Rosalind Creasy 

February/March 2015

 

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