種子交換にまつわる混乱

州によっては、ガーデニング友達と種子を交換することが違法とされていることを知っているだろうか。信じ難いけれど、本当のことなのだ。

  農家や家庭菜園家向けに売られる種子の品質を良好なものにするため、あらゆる州で、種子の販売は免許制で、種子の名前、発芽率、雑草種子が混じること、種子の供給者の名前・住所などの情報を表示することが義務付けられている。ここまでは何の不思議もない。でしょう?あなたがこれまで買ってきた種子の包装にもこれらの情報は全て載っていたことだろう。しかしいくつかの州では、種子の表示法の適用範囲である「販売」という定義に、譲渡や輸送、「譲渡や輸送の意図で所有すること」までも含んでいる。ここまで言えばもうお分かりだろう。種子を合法的に譲渡するのにも州の許可が必要ということだ。

  例えば、ミネソタ州の種子に関する法律は、適用範囲が非常に広範で、基本的に、種子を分け合ったり譲渡したりする際には、州から1年間の許可を購入して、種子のロット毎に発芽試験を実施し、詳細情報を種子の包装に表示しなければならない。この法律はミネソタ州農務省により施行され、最近、シード・ライブラリー(seed library: 種子の共有施設)に対して、たとえ無料であっても、州から許可を購入し、詳細な情報を種子の包装に記載しないと、種子を配布することはできないと通達した。(ちなみに罰金は1日あたり上限90万円だ!)

  シード・ライブラリーは、種子の共有を促進し、種子の多様性を保持するため、全米で広がっており、推計で300のライブラリーが活動しているとされている。その他いくつかの州の職員も、ライブラリーは、まず州から許可を購入し、種子の表示法上の数ある要件を満たさないと、譲渡や交換をできないとの見解を示している。言うまでもなく、このような行政の態度は、地域の生育条件に最適化された固定種の種子を保存し共有する意義をよく理解している多くの家庭菜園家の反発を買っている。種子の販売に対して規制することは一理あっても、そのような規制を交換や譲渡にも適用させることは非論理的であり、これまでの歴史や常識を無視している。

  「Sustainable Economies Law Center(SELC: 持続可能経済法律センター()」の顧問弁護士のニール・ターパー氏は、これまで約30州の法律を調査し、そのうち30%以上が免許なしの種子交換を違法としていると報告している。ニール氏は、それらの法律のほとんどが、曖昧な表現で記載してあり、商業的な種子の販売と、商業的でない種子の交換を明確に区分すべきであると主張している。

全米団体「Association of American Seed Control Officials(AASCO: アメリカ種子規制協会)」は、いわゆる「Recommended Uniform State Seed Law(種子の統一州法)」の雛形を作成した。この雛形でさえも、州内で種子を「輸送」する場合でも許可を必要とされている。 

  種子を保存し、共有することは長きにわたって行われてきた習慣であり、促進されるべきことだ。気候変動によって我々が直面している様々な課題を考えても、地方の特性を保持した固定種の種子を配布することは、規制するのでなく、今後一層促進するべきことだ。これは、種子を抑制する行政官には、たいしたことでは無いように見えるかもしれないが、何千という自家菜園家にとっては大問題だ。AASCOは、雛形をすぐに変更し、あらゆる形態の非商業的な種子の共有・配布への規制を撤廃し、各州へ州法の変更を働きかけるべきだ。加えて、他の州は、3,000ドル未満の農家間の種子の直販を州からの許可なしで行えることを明示しているアラバマ州の先例に従うべきだ。

  この種子交換にまつわる不遇な混乱を解決させようと奮闘している種子共有の愛好家や活動家に、脱帽だ。彼らがまとめている種子共有に関する嘆願書へ署名し、活動に協力いただきたい。本件に関するニュースについては、SELCのキャンペーンパートナー「Shearable」のウェブベージにアクセスすれば見ることができる。あなたが自分の州の種子に関する法律に働きかけを行っているならば、電子メールで状況を彼らと私たちと共有してほしい。


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マザーアースニューズ。


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Seed-Sharing Snafu

An editorial from MOTHER EARTH NEWS 

April/May 2015