菜園家の応急処置:効くもの、その理由

 堆肥を運び、植床を掘起こし、気の短い家畜の世話をするのは、農場や菜園の作業のほんの一例だが、体にこたえる。健康なぢきゅう人(自給農的に暮らす人)でも、虫刺されや日焼けにはなりやすい。幸い、たぶんご自宅には、ちょっとした病気用のシンプルな治癒薬が常備されていることだろう。

以下の治癒薬は、Barbara Seeber、Barbara Brownell Grogan と私の共著「500 Time-Tested Home Remedies and the Science Behind Them」からの転載で、虫刺されや向こうずねの打ち身から、水ぶくれ、火傷や腰痛まで何でも和らげるものだ。

 

有毒な植物:アイビー、オーク、ウルシ

 予防:痒みや水膨れを起こすこの3種類の植物から身を守る最適な方法は、この植物が生えている可能性のある場所で作業する時に、ズボン、長袖、手袋などの防御服を着ることだ。あなたの皮膚または服が、これらの葉に触れたと思ったら、直ちに服を脱ぎ、服を

熱いお湯で洗い、シャワーを浴びる。もし、手や腕が葉に触れたら、出来るだけ早くその部分をTecnu などの肌用洗剤で洗う。この洗剤は、植物が出す水膨れを起こすウルシオールを取除くように作られている。人によっては、これらの植物に対して、深刻なアレルギー反応があるが、完全に抵抗力を持つ人もいる。もしも、アレルギーがあると分かっているなら外で作業する前に、Ivy X Pre-Contact Skin Solution 等の予防用保護クリームを塗ったほうが良いだろう。

 治療:もし水膨れと共に酷い発疹が出たら、痒みを抑えるため、このオートミール風呂とオートミールペーストの応急処置の手法に従おう。オーツ麦(学名:Avena sativa)は 抗酸化と消炎効果の特質を持つ。肌に塗ると、潤いを与え、痒みを抑える。オートミール風呂を沸かすには、掃除が楽になるように、2、3カップのロールオーツかコロイド状のオーツ麦を靴下、布、袋またはバンダナに詰める。(コロイド状のオーツ麦を作るには、オーツ麦をフードプロセッサーにかけて粉状に。)靴下を湯の入った湯船に入れる。湯船に15分間以上浸かる。石鹸の使用は、肌を乾燥させ、さらに痒みを増すので避ける。

 オートミールペーストを作るには、コロイド状のオーツ麦大さじ1をベーキングソーダ小さじ1に混ぜる。ペースト状になるのに十分な量の水をゆっくりと加え、よく混ぜる。痒い部分に塗る。乾いたら、温水でペーストを洗い流す。

虫咬まれ、虫刺され

 治療:ラベンダー(学名: Lavandula angustifolia)には消炎、鎮痛(痛み止め)、鎮静効果がある。ラベンダーを染込ませて冷凍した布か、ラベンダーとベーキンソーダの簡単なペーストをすぐ使えるよう常備し、毒のある変な受粉媒介者と次に会う時に備える。

 ラベンダーを染込ませて冷凍した布を作るには、お手拭きの大きさのタオルを濡らし、絞って余分な水を切る。ラベンダーエッセンシャルオイルを濡らしたタオルに5滴垂らし、口を閉じられるビニール袋に入れ冷凍庫に保管。刺されたら、タオルを袋から出し、炎症した部分に直接当てる。腫れを抑え、痛みを和らげる。

 ラベンダー3滴と重曹小さじ1を試しても良い。これは、蜂とファイアーアントの毒が持つ酸を中和するのに役立つことで知られている。ペースト状にするのに十分な水を混ぜ、刺された場所に塗る。30分後またはペーストが乾いたら取除く。必要に応じてまた塗る。

 オオバコPlantain(学名: Plantago)はよくある雑草(バナナ似の果物 Plantainと混同しないように)で、痛み止め、収れん性、程よく抗菌性のある物質を含み、この3つの特性が虫刺されや軽い擦り傷を治すのに有益。2012年の研究では、ネズミの肌細胞はオオバコが塗られた時、塗られないグループと比べて早く治ったという。

 次に、虫刺されや、小さい傷を作った時は、5〜10のオオバコの葉を集め、有効成分のタンニンを出すために指でよく揉む。水っぽくなった繊維を30秒間患部にあてる。必要に応じて繰返す。

 

火傷の緩和

 予防:庭いじりが好きな人にとって、火傷の一番の原因は紫外線(日焼け)と摩擦(水膨れ)だ。前者は、防御する服を着ること、つばの大きい帽子をかぶること、サンスクリーンを塗ることで防げる。後者は、良い手袋を使うこと、取組んでいる仕事と自分の手に合う道具を使うこと、長時間繰り返す動きを避けることで防ぐ。予防対策が効かなかった時は下記の応急手当を試そう。

 治療:科学的な調査では蜂蜜(古代の傷の手当て)は抗菌性があり、スルファジアジン銀を含む火傷手当用の包帯よりも、治癒を早める。清潔なバターナイフを使い、オーガニックで質の良い蜂蜜を、消毒済みのガーゼに患部が十分に隠れるまで塗る。包帯がなじむ様にガーゼの端にテープを張る。6時間後に、ガーゼを取り、肌をやさしく洗い、蜂蜜を塗った新しいガーゼを再びあてる。

 茶(学名: Camellia sinensis)の湿布薬は、昔ながらの日焼けの治療法。茶は抗炎症、抗酸化、抗菌性のある収れん剤だ。緑茶はブラックティーに比べると、抗酸化と抗菌効果がより強い。もしハーブ茶を使いたければ、ドイツのカモミールには、抗酸化、抗炎症、抗微生物作用、そして傷の治療力がある。

 お茶の湿布薬を作るには、まずカップ半分の水を沸かす。コップにお湯を注ぎ、お好みのティーバッグ(緑茶、ブラック、またはカモミール)を沈める。室温まで冷まし、きれいな布をお茶に浸し、痛みが引くまでその布を患部にあてておく。

 アロエ (Aloe vera) は抗炎症剤で、循環を良くし、細菌とカビを抑制する。ほとんどの研究では、アロエは火傷と傷の回復を早めると示している。いつも窓辺にアロエの鉢を置いて、葉から新鮮なジェルを絞り摂る。または、純粋なアロエが90%以上入った製品を見つける。純粋なアロエのジェルを火傷に塗るか、大さじ1のアロエジェルにラベンダーのエッセンシャルオイルを10滴たらしても良い。

 水膨れ、、、潰すべきか、潰さぬべきか?:水膨れの上部の皮膚とその下の液体は、下にある繊細で新しい皮膚を守っている。液体は皮膚の中に自動的に吸収されるので、一般的な規則としては潰さない。一方で、もし水膨れが大きかったり不快で痛かったら、液体を出してしまいたいと思うだろう。そうするには、手を洗い、針を火で炙って殺菌する。針が冷めたら水膨れに刺し、優しくほぐして液体を出す。上の皮膚は取らない。殺菌クリームか軟膏を塗り、包帯で患部を覆う。もし、黄色い膿や、水膨れから赤い線が広がり化膿が進行している様なら医者に連絡する。

切り傷とかすり傷

 治療:コンフリー(学名: Symphytum officinale)の葉と根は、肌細胞の再生を助けるアラントインを含んでいる。研究では、プラシーボ(偽薬)の対照実験において、コンフリーを外用薬として使用した場合、擦り傷が早く治ると示されている。

 使用するには、まず傷口を完全に洗う。コンフリーの葉を採り、指で揉む。傷口にこの自家製ならぬ裏庭製バンドエイドをつける。清潔で濡れた布で押さえる。1時間ほどそのままにし、取り除く。

 傷口を石けんで殺菌する。簡単なすり傷や切り傷なら冷たい水で十分。強めの消毒液、過酸化水素やヨードなどはかえって傷を刺激し、細胞を傷つけ、治りを遅くする。

 

筋肉痛

 2012年の臨床試験で、バージンオリーブオイルを膝の関節炎に外用薬として塗った時、抗炎症薬であるピロキシカム (piroxicam) を含んだ軟膏よりも、優れた痛み止め効果があることが分かった。ターメリックと生姜はインドの伝統的な鎮痛、抗炎物質。赤唐辛子粉はカプサイシンを含み、刺激の抑制剤として働く(最初に軽い火傷の様な症状を起こすが、その後局部の痛みの神経を落ち着かせる)。いくつかの研究では、カプサイシンの外用薬としての使用は骨関節症やリウマチの痛みや背部や腰の痛みを和らげると示されている。

 治療:痛み止めの湿布を作るには、アロエジェルと濾過されていないエキストラバージンオリーブオイルをそれぞれ大さじ1、ターメリックとおろし生姜をそれぞれ小さじ2、赤唐辛子粉を小さじ1混ぜる。ペースト状にしたものを痛む患部に塗る。布かサランラップでカバーし、30分後に取る。ウコンは服にシミをつくり、一時的に肌に色をつける。赤唐辛子粉を扱った後は、手を洗い、目と敏感な部分を触らないように。

 

熱に関係する病気

 予防:夏、外で作業すると、熱射病と熱中症になる危険性が高い。ガーデニングは比較的涼しい、朝や夕方に行なう。薄くゆったりした明るい色の服を着て、つばの大きい帽子をかぶり、手袋をする。水をたっぷり飲む。めまい、虚弱、吐き気や嘔吐などの、熱中症の危険を知らせる兆候に注意。顔が赤くならず、むしろ青くなり、体が熱くなり、汗をかく。

 治療:症状が出始めたら、作業をすぐにやめ、日陰か屋内に移動し、服を脱いで水分を取るのが一番良い方法。無理をせず、また明日があると心得る。

 

リンダ・ホワイト医学博士は、土いじりに打ち込む時はいつでも、手袋を付けることを忘れない。彼女は、鉢植えのアロエとラベンダーのエッセンシャルオイルを軽い怪我用に常備している。

 

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First-Aid Tips for Gardeners and Farmers

By Linda B. White, M.D. 

April/May 2015