家庭菜園の典型的な失敗を避けるには

これから説明する点に気を付けることで、家庭菜園で移植ごてを泥まみれにしているだけの人々は、農作物への施肥、苗の間隔、害虫防除などに関する、食糧を栽培する際の典型的な6つの失敗を避けることができる。

  あなたは家庭菜園初心者だろうか?1年目は、手入れの行き届いた管理しやすい菜園を創ることに焦点を当て、手を広げすぎるという家庭菜園の典型的な失敗に陥らないようにしよう。

  完璧な家庭菜園などというものが存在しないのと同様、完璧な家庭菜園を創れる人も存在しない。私たちはみな失敗する。だがその際に二度と繰り返さない失敗は何かを学び、その過程で家庭菜園の日々の作業に加える抜け目のない方策を発見する。では、家庭菜園を行う上で最大の大失敗とは何だろうか?私は以下の家庭菜園の典型的な6つの失敗をいずれも経験したが、有機栽培で野菜を育てる多くの人々と話をして、失敗は私1人ではないことを知っている。私たちの失敗から学ぶことで、悪戦苦闘せずに幸先のよいスタートを切ってほしい。

 

1. 手を広げすぎる

  春先になると、家庭菜園をする人々はわくわくして大きな夢を抱いてしまう。そして作付けた一つ一つの植物に、その後のお手入れが必要であることを容易に忘れてしまう。それに気付く前に、あなたの春の野心は手に負えない夏の現実に代わるだろう。草取り、水やり、間引き、種まき/植え付け、剪定、支柱立て、収穫、、、これらが一度にやってきて何週間も続くのだ!

  もしあなたが家庭菜園初心者なら、2、3畝と小さく始めれば、育てている個々の作物に集中し、そのニーズをよりよく理解することができるので、成功する確率が大いに高まるだろう。10種類の珍しいトマトやありとあらゆる唐辛子を試すのではなく、それぞれ1つか2つを選び、植物の世話をする自信をつけるのだ。

  もう1つの賢いアイデアは、生育期間の各時期(ほとんどの気候では春、夏、秋)に世話をする種類の異なる野菜の数を制限することだ。野菜苗は菜園で最初の1か月に最も手間がかかる。そこで、一度に育てる幼苗を3、4種類に絞ることで、遅れずに手入れをすることができる。例えば、早春にジャガイモとサラダグリーン、スナップエンドウ、晩春から夏にかけて唐辛子、カボチャ、トマト、そして夏の終わりから秋にかけてキャベツ、ニンジン、ホウレンソウを育てるのだ。

  手を広げすぎるのを避けるために、鉢や容器だけで菜園を始める人もいる。そのほうが簡単だと思ってそうするのだが、多くの場合それは正しくない。容器は根が広がるのを制限し、植物は容易に水ストレス状態になり、暑い日にはかなり暖かくなってしまうのだ。一方、肥沃でマルチを敷いた畝で育つ同じ植物は、一貫して根を涼しく保つ。容器の中でよく育つ作物は、ナス、唐辛子、トマトなど暑さに強い植物である。これらは、大きな鉢で十分な水がある限りは、根の温度が暖かくなっても耐えることができる。それでもなお夏の最も暑い期間は、容器で育てる作物には1日2回水やりをする必要があるかもしれないが、これが主な仕事である。それと比べて菜園の植物には週に2、3回水やりをすればよい。

  即席の「袋の菜園」の方法では、袋の底に切れ目を入れることで根が下の土の中に入っていくことができるため、掘らない選択肢として容器よりも良い。さらに、土の湿度を保つのを助けるために袋にマルチを敷くこともできる。

 

2. 天気を甘く見る

  どんな気候も、ある野菜にはよい気候で、別の野菜には過酷な気候となる。そのため高温を好むオクラはメンフィスでは伸び放題だが、ミネアポリスでは成長しづらい。自分の地域に適応する作物を育てることを選ぶことは、とても素晴らしい最初の一歩だ。それでも、荒天から植物を守るためのさらなる対策が必要になるだろう。

  春は、すがすがしい晴れの日と寒い日や風の強い日(もしくは寒くて風の強い日)が交互にやってくるため、特に危険な季節となることがある。春の幼苗に牛乳ボトルや畝を覆うトンネルをかけると、苗のストレスを抑えることができる。また、もし嵐の起こりやすい地域に住んでいる場合は、ヒョウに打たれるのも防ぐことができる。作物によっては、畝を覆うことは害虫防除の重要な対策でもある。つまり、畝を覆うことであなたが家庭菜園の経験を積むのと同時に、覆いは2つの役目を果たしてくれるのである。

  暖かい季節の作物に共通する失敗は、早く植えすぎることだ。暖かい季節の植物は冷たい土の中では育たないため、早すぎる時期に始めようとするより、暖かい季節が安定し土が温まるのを待った方がよい。暖かい土と天気が必要な植物には豆類、コーン、キュウリ、ナス、メロン、唐辛子、トマトなどがある。待っている間に、低めの温度の土で育ち、少々の霜に耐えられるブロッコリー、キャベツ、カラードグリーン【ケールの一種】、ケール、ニラネギ、エンドウ豆、ラディッシュ、ホウレンソウのいずれかの作物を植えればよい。

 

3. 土の解釈を誤る

 特に初心者にとって、土は家庭菜園の難問の中で元も不可解なものかもしれない。植物の根にとって快適な住まいを提供する(風通しがよく、砕けやすく、湿度を保つことができる)だけでなく、 土は作物に栄養を与える必要がある。

 より良質な土への確実な道は、堆肥積みから始まる。これが、家庭菜園初心者が家庭菜園の世界に飛び込むのと同じ年、もしくはその1年前にコンポストを始めるとよい理由だ。植物を植える時、毎回熟成した堆肥を3センチ程度土の中に混ぜることができれば、土の質は着実に向上する。こうして有機物質を頻繁に入れることは、土のpHを中和する効果があり、さらに、特にミミズや菌根菌などの有益な土壌生物を助ける。

 最高の土を創るもう一つの大きなカギ、それは絶対にマルチを欠かさないことだ。刈草、藁、細断した葉、その他の生分解性物質のマルチをたっぷり敷くことで、時間をかけてさらに多くの有機物質を土に施すことができる。さらに、厚く敷いたマルチは生育期間を通じて雑草を抑え、湿度を保ち、土の温度を調整するのを助けてくれる。

 もし、ニワトリやウサギ、その他の家畜を飼っているなら、その糞尿を使って、有機の土壌改良を行うこともできる。糞尿を完全に堆肥化するためには、十分な水分と高炭素有機物質(枯れ葉やおがくずなど)を加え、腐り易くすればよい。堆肥化した糞尿は雨でろ過されることがなければより多くの窒素を保持するため、完成した堆肥を容器や袋、防水シートの下などに保管できるよう準備することを覚えておいて欲しい。

 

4. 肥料の必要性の判断を誤る

 植物は日光が主要なエネルギー源であるため、動物と比べ植物は食欲旺盛ではない。とはいえ、植物が効率的な光合成工場として機能するには3つの重要な栄養素(窒素、リン、カリウム)が必要だ。乾燥した有機肥料はこれらの栄養素と、カルシウムやマグネシウムなどその他の重要な栄養素を提供するが、これらは傷のないトマトや甘くて実の厚いピーマンを作るのに欠かせない。 

 だが、肥料のやり過ぎは禁物だ。土壌の試験所によれば、家庭菜園で私たちは肥料をやり過ぎていることの方が、少なすぎる場合よりはるかに多いという。一般に、表示で推奨されている割合で有機肥料を入れ、作物を植えつける直前に土と混ぜる。生育期間が進むに連れさらに2、3回肥料を施すが、特に期間の長い作物では、最初に実がなった時、さらに最初に収穫する時の施肥が理想的だ。これは単に、刈り取った草や完熟堆肥などの有機肥料を作物のすぐ横に一列に施せばよい。この方法を「側状施肥」という。

 

5. 作物が混み過ぎている

 若苗は太陽をエネルギー源とする存在であり、新しい1枚1枚の葉が増えていく太陽光アレイの一部だ。植物を密植し過ぎたり、雑草でいっぱいになったりすると、日光が届きにくくなり、地下で水と栄養分を奪い合うことによって成長が大いに妨げられることがある。そのため、苗を植え付ける時に適切な株間で成長させ、ビーツやニンジンなど種から育てた作物を間引くことが重要だ。通常、種袋に適切な株間が記載されている。間引きは、作物の半分を殺しているような気がして少々痛々しい作業だ。けれども、小さな苗がすくすくと育つのに必要なスペースがあるため、最終的に収穫物は本当に一層大きくて良いものになる。

 同様に重要なのが、良い鍬を持つことだ。そうすれば、早い時期に頻繁に雑草を刈ることができ、作物の太陽や水、栄養分を不要な植物に奪われるのを避けることができる。その後、花が咲き実がなったら、マルチに雑草を抑制してもらうのが一番良い。草刈りをきちんとやり、あらゆる雑草が種を落とすのを防げれば、翌年、雑草はずっと少なくなるだろう。

 

6. 生き物を引き付けている

 どこに菜園があろうとも、野生生物は作業を見ていて、大好物ができるのを待っている。どの生物がやってきそうかを知るには、どんな野生生物が自分の地域でよく見られるか、彼らが何を食べるのが好きかを近所の人に聞くことだ。

 中西部のある地域では、家庭菜園でスイートコーンを避けるのだが、これはスイートコーンがタヌキを引き付け、タヌキはカンタロープ【マスクメロンの一種】もかすめ取ってしまうからだ。私が住むバージニア州では、 マーモットは一夜にして菜園を破壊することで知られているし、鹿はスナップエンドウをキャンディとでも思っている。こそ泥動物をフェンスで締め出せないなら、ニワトリ用の針金ケージや、畝を覆うトンネル、黄麻布やその他の布を木の杭に留めた囲いなどで作物を守ることができる。動物が貪りつきたい植物を見ることができなければ、放っておいてくれる可能性が高い。もし全て失敗したら、水を吹き付けて侵入者を驚かすスプリンクラーを作動させれば、菜園を守るのに役立つかもしれない。

 害虫は時に大きな動物より厄介だ。植物に害虫被害の兆候がないかをよく見て、植物の葉を持ち上げて裏面の害虫の卵を見つけてみよう。それから、何か花を植えよう!大多数の家庭菜園初心者は野菜を育てる旅を始めることに夢中で、花を植えるのを省略してしまうか、美しい花々を庭の「観賞用」エリアに追いやってしまう。それより、最初から花を菜園計画に組み込もう。花が咲く植物は益虫を引き付けるが、彼らは受粉を強化してくれるだけでなく、実際に作物をむしゃむしゃ食べる害虫を食べてくれるのだ。

 本記事の原作は、姉妹誌 Mother Earth Living の「6 Common Gardening Mistakes to Avoid(避けるべき家庭菜園の典型的な6つの失敗)」 

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受賞歴のあるガーデンライターのBarbara Pleasant(バーバラ・プレザント)はバージニア州フロイドで果物や野菜、ハーブの恵みを育て、保存している。家庭菜園初心者には、彼女の「Starter Vegetable Gardens(菜園入門)」がお薦め。

 

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Avoid Common Gardening Mistakes

By Barbara Pleasant 

June/July 2015