美しき鱗茎: フェンネルとシャロットの栽培と料理

フェンネルのすっきりするアニス風味とシャロットの精気を夏の食卓に招き入れてみよう。

フェンネルとシャロットはそれぞれ独特の風味を持つ2つの球根で、どちらも初夏にシーズンを迎える。この機会にこの独特の香りをあなたの菜園とキッチンに招き入れてみてはいかが?

 フェンネルは以前はグルメの野菜とみなされ特定の地中海料理にのみに使われていたが、近年の料理シーンでは重要な位置を占めるようになった。今ではフェンネルの球根はマーケットで売られていたり、庭に植わっていたりする。フェンネルの独特の風味はちょっとアニスや甘草、タラゴンのようで、これら共通の化合物によるものだ。

フェンネルの種類

 植物学的にフェンネルはセロリやディル、にんじんなど傘形の花房をもつセリ科の仲間。実際、葉や花や種をハーブとして用いる場合のフェンネルはシダような葉がディルに似ている。カリフォルニアのような地中海性気候のところでは特に、「ワイルドフェンネル」と呼ばれることもあるほど雑草のように繁殖する。花は益虫にとってすばらしい花蜜の供給源。

 もうひとつの種類のフェンネルは同じようにシダのような葉を持つが背は低く、フローレンスフェンネルや球根フェンネル、栽培品種のフェンネル、スイートフェンネルなどとして知られている。地面近くに、茎が広がり何層にも重なり合い、ぴったり包んでいる白くふくらんだ部分がある。

フェンネルの栽培と収穫

 フェンネルはよく秋野菜と分類されるが、人参やケールなどのより寒さに強い秋野菜より早く霜にやられてしまう。私たちのメイン州の農園では、そんな短い期間では満足できないので初夏にも収穫している。霜の降りる危険がなくなったらすぐに定植するようにすればそれが可能だ。平均的に最後に霜が降りる日から2~4週間前に室内で種を蒔き始めよう。

 春に植えた場合、時々予期しない急な寒気で球根が育つ前にとうが立ってしまうことがある。これは2年草であるフェンネルが一時的な寒波を最初の冬と、それに続く夏の始まりを2度目の春と解釈する為に起こる。これを避ける一番よい方法は「ゼファフィノ(Zefa Fino)」や「モントヴァーノ(Montovano)」など花が咲きにくい種類を植えること。(両品種の詳細はSeed and Plant Finder をご参照。)よく肥えた土壌と水やりを欠かさないことも出来の良さにつながる。

 結球し始めたらいつでも収穫でき、5cm幅の小さいものから12cmの大きいものまで楽しめる。時期を逃すと球根が硬くなってしまう。硬くなったり茶色い斑点のある外皮はキッチンで使うときに取り除く必要がある。スカスカになっている茎は切って捨ててしまう人も多いが、私はブイヨンの風味付け用に少し冷蔵庫にとっておく。葉はハーブとして、また料理の付け合せとしても重宝する。

フェンネルの調理法

 フェンネルの使い道は無限だ。スライスしてスカロップト・ポテト(scalloped potatoes)に混ぜたり、グラタンにしたりする。だしをとる、スープやシチュー、特にブイヤベースなどの魚のシチューに入れる。火を通すと味が丸くなるので、アニス的な強さを残したいなら、フェンネルシードや、ペルノー、ウーゾ、アニセット、サンブカなどアニス風味のリキュールや蒸留酒を入れてみると良い。

 フェンネルの球根は生のままスライス、みじん切り、荒く刻むなどしてサラダやコールスローで食べる。付け根が芯でつながっている個々の部分はちぎりとって生野菜の前菜風(crudités)として食べたりディップをすくうのに使ったり、それから濃い食事の後にやや甘みのある口直しや口内をスッキリさせるものとして出されたりもする。モンティチェロでフェンネルを育てているトーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)はフェンネルはデザートだと言う。ヤギのチーズをのせて少しのはちみつと共にお試しあれ。

 球根の底の硬いところは刻む前に取り除くこともできるが、縦に厚くスライスしてグリルする場合などは葉の層がバラバラにならず便利。グリルする前に軽く茹でると柔らかくなる。蒸し煮にするととろけるように柔らかくなり、アーティチョークのような風味がでてくる。

 数週間なら冷蔵庫や根菜貯蔵庫に保存できるが、それ以上になると茶色く変色する。冬に使うための長期保存はゆでてから冷凍庫で。

 葉をチキンに詰めたり、ぬらした葉を魚や肉や野菜の下に敷いてグリルする。炭の上に直接葉をのせて煙に香りをつけることもできる。

シャロットの栽培

 シャロットも年に2回以上旬をむかえる作物なので、育て方をを知っておくととても役立つ。初夏と秋に収穫する用に植えるが、温暖な地域なら冬と春にさえ収穫できる。「エバーグリーンハーディホワイト(Evergreen Hardy White)」という種類が寒さに強いのでお気に入りで、「ナベチャン(Nabechan)」という味の良い日本の種類もよく育つ。メイン州の農場では最低限に加温した温室で6月1日までにとれる。。。

 

和訳全文は、7月末発行予定。

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Beautiful Bulbs: Growing and Cooking Fennel and Scallions

By Barbara Damrosch 

June/July 2015