牛かヤギか?あなたの農地に合う家畜を正しく選ぶ

多くの人々は、自作農地の酪農動物から新鮮な牛乳を絞るのが夢。その理由は、動物との作業の喜び、得られる乳製品の健康上の利点、自給への熱い思い、と様々。しかし、どうしたら酪農があなたにとって達成可能な目標であるかどうかを判断できるのか?そして、牛や小さなヤギの群れのどちらが、あなたの農場に見合うのか?一緒に考えてみよう。


牧草地へ出る

 最高品質のミルクは、牧草地で飼育される動物と生産を高めるための補足飼料から生まれる。牛とヤギ両方とも歩き回るスペースが必要で、小さな囲い内に閉じ込めるべきではない。牧草地に年間を通じて十分な飼料がない場合があることに注意。草が瘦せている時季に酪農動物に干し草を与える必要がある。

 牛と育ち盛りの子牛のために、多様な、よく管理された牧草地が8千〜2万平米は必須。利用できるスペースが2エーカーほどなら、小型の品種を選択する。ヤギは、はるかに少ないスペースを必要とする。品種によるが、ヤギ4、5匹を1エーカーの土地で育てることができる。ヤギは、何でも食べ、牧草地だけでなく、低木や木も喜んで食べまわる。

 

保護対策

 牛は温暖地では、最小限のカバーで良いが、暑さが厳しければ日陰が必要。布カバーをした両面出入口の小屋が適切であり、約$ 600かかる。冬が厳しい地域では、3 x 3mの3面壁囲いの藁置き小屋(Loafing shed)が突風や極寒から牛を保護するのに適している。この3面小屋を新しい資材で作るための費用は約$ 700から。農場オークションでよく売っている — 無償提供もある — のが、小さな小屋や廃棄木材で、新しいものに比べてほんのわずかな費用。また、簡単に衛生的にでき、搾乳のために囲った空間が個別に必要になる。

 ヤギは、濡れるのを嫌うので、すきまのない小屋が必要。気候、群れの大きさや実際の様子に応じて、1匹あたり1〜2平米の小屋を必要とする。穏やかな気候なら、小屋内で長く過ごさないので、それほどスペースを与える必要はない。しかし、寒い気候では、できるだけスペースを多く与える必要がある。約$ 1,000で、何匹か分の簡単​​な小屋や搾乳場を作ることができる。

 分娩の間に、母親には、子供を生むための静かでプライベートな空間が必要。まだ緊張して

いたり、やんちゃだったりする子供をじっとさせるために搾乳スタンドの使用を検討しよう。オンラインで誰でも利用可能な図案を使い、簡単で安価なスタンドを作ることができる。 (Build a Homeade Goat Milking Stand で基本的な計画案をご参照。 — マザー)

 砂は、床が土の小屋の優れた寝床になるが、15〜20cmの深さにして、週に何回かは掃除しなければならない。深く敷いた、細かく刻んだ藁や松の削りくずを、セメント床で使用しても良いが、毎週交換する必要がある。

 牛の柵の材料にかかる費用は、フィート(30cm)当たり70セント(高張力の電気柵用で)から$ 1.40(金網で)。ヤギの柵は、ヤギが牛よりも柵に挑むので、より高価。逃げ道があれば、ヤギは見つけます!ヤギの常設の柵は、少なくとも高さ1.2mにして、すきま15cm以下に抑える必要があります。金網柵には、登るのを阻止するために、上部と底部に一本ずつ高張力電線が必要です。電気柵は、移動放牧でヤギを管理するのに効果的だと証明されているが、常設の牧草地には使用しないこと。電気柵はフィートあたり約$ 1.50(電気充電器を含まず)の支払になるだろう。農場の柵囲いの詳細は「Farm Fencing: Horse High, Chicken Tight and Bull Strong」をご参照。


乳牛とヤギの取り扱い

 大型動物が扱いにくいと感じているなら、いくら穏やかな牛でも困難なことがあり得る。デクスター、ケリーやジャージーのようなより小さい乳牛の品種なら、まさに足を突っ込んだばかりの人たちには、より親しみやすいかもしれない。気質は品種や個体間で大きく異なる。家族用の牛を買う際、ふるまいが穏やかなものを探す。動物が年齢の早い段階から世話されていれば、良い気質が育まれている可能性が高い。今まで牛を育てたことがなければ、基本を教えてくれる経験豊富な人の手を借りて一緒にやろう。

 牛よりも移動や取り扱いが容易な小型のヤギは、初心者にとってより魅力的かもしれない。気質はまだ変わるので、酪農が望まれる家畜の態度に注意を払おう。人のそばにいることに慣れていない場合、ヤギは、多くの場合、神経質、気まぐれ。幼い頃から人と頻繁に関わった動物を探そう。


酪農動物の繁殖と若い家畜の育成

 食肉用の動物を育てたくないので、酪農に足を踏み入れたいと言う人もいます。牛などはミルクを生産する前に赤ちゃんを産まなければなりません。現実には、子孫のない酪農動物を育てられないということ。覚えておこう。半分の子牛がオスになり、すべてのメスが素晴らしい乳牛に育つ訳ではないのだ。あなたの年老いた酪農動物にメスの子孫が取って代わることもあるだろう。何頭かはペットになることもあるかもしれない。無限のスペースを持たない限り、ほとんどは、食肉用に屠畜されるか、売られるかに違いない。この余ったものたちを販売することで生産コストが相殺される。

 繁殖には2つのやり方がある。人工授精か動物による繁殖だ。在来品種で、精液を得難いものもがあるのは、両者共通。オスは、柵などおかまい無しで、メスのそばにいようとするので、管理が大変だ。牛や小さなヤギの群れ一つだけを育てている場合に、オスを飼うことは、通常は非現実的。最善のアプローチは、オスを借りたり、近くの飼育農場にあなたのメスを送ること。ただし、寄生虫や病気を連れて戻ってくると危険なので、農場がよく保たれ、動物が健康であることを確認する。人工授精は、小さな自作農地の酪農には最も現実的な選択肢であり、獣医さんが、このサービスを提供するか、助言することができる。

 若い動物が生まれる前に、管理方法をいくつか検討する必要がある。四六時中、母親を赤ちゃんと一緒のままにすると、ほとんどすべてのミルクが赤ちゃんのものに。子供には晩にミルクを飲ませ、昼間は母親から分離している場合は、夜だけ乳搾りする必要があり、約半分の生産量が集まる。親子を完全に分離して、赤ちゃんに母乳または代わりのミルクのいずれかを瓶で与えている場合は、1日2回搾乳する必要がある。小規模な酪農場は、最初の2つの選択肢になりがち。どのやり方に従うのか早めに決めて、機器やインフラの準備を整える。


乳牛やヤギの搾乳機器のコスト

 良い乳牛やヤギは、年のうち10ヶ月まで、10歳代にかかるまでミルクが出る。良い酪農血統を注意深く選ぶと報われる。実績のある乳牛やヤギは、より多くの費用がかかるが、トレーニング時間が節約でき、追加費用分の価値があるだう。動物の品種、年齢、妊娠の段階、あなたの住む地域によるが、信頼できる牛に$ 1,200 から$ 2,500、質の高いヤギに$ 250から $ 350支払うことになるだろう。「お値打ち」には注意が必要。購入する前に、動物の健康状態と生産履歴を確実に知ること。すでに出産を終えて授乳している動物を購入する場合、所有者は動物の将来の生産について信頼できる見込みを立てられる。

 酪農用機器の初期費用は、手搾乳か搾乳機械を使うかで変わる。手搾乳は、より多くの時間がかかるが、搾乳機器は高価。Udderly EZのような手動搾乳器のタイプがいくつかあるが、価格は約$ 190から。 新しい手搾乳キットで、3ガロンのステンレス製バケツ、ステンレス製貯蔵容器、使い捨てフィルター付ろ過器、初乳チェック用薄板金属カップを含むものが、約$ 350で販売されている。新しい電動真空ポンプは、約$ 1,000の費用がかかり、それに要する機械設備は、値札を倍増させる。オンライン、案内広告、農場オークションで、中古機器を探そう。


酪農品の種類

 牛とヤギのミルクの最大の違いは、そのボリューム。授乳のピークでは、雌牛を子牛から離すと、毎日約23Lのミルクを産み出すが、対してヤギは3〜4Lだ。これは、牛1頭でヤギ8匹分生産することを意味する。ボリュームは、品種や個体差があり、また、生産は出産後の最初の数ヶ月で最高であるように、各動物のミルク分泌サイクルの段階に依存する。

 牛乳を生で消費するか、シンプルな二重のヤカンに入れてゆっくりと63℃に加熱し、30分間温度を保持することで、コンロの上で低温殺菌することができる。 (「How Do I Pasteurize Raw Milk at Home?」を読むと、オンラインで詳細な手順が分かる。)生乳には断固たる支持者がいるが、低温殺菌を促進する者も同じように断固だ。用心して生乳での消費を判断しよう。そのため、確実に汚染の可能性がないようにする。余った牛乳を販売するかもしれないと思うなら、生乳販売について、あなたの住む州の法令を学び、自分自身と農場を責任から保護するよう注意すること。

 クリームとバター作りでは、牛乳はヤギのミルクとは異なり、クリームが簡単に分離する。ヤギのミルクは、脂肪球が自然に分離するには小さすぎて、機械的クリームセパレーターが必要。両者とも、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズを作りに適す。

甘い乳製品と言えばキャラメル生産で、余ったミルクを使用するのに最適な方法。伝統的に、加糖練乳dulce de lecheやcajetaは、牛やヤギのミルクキャラメルで、甘くしたミルクを煮詰めて作る。よく、フルーツ用ディップやデザート用トッピングとして使用され、冷蔵庫でいつまでも保存できる。まだ他のアイデアが必要?リッチな石鹸を作るのに、余った牛乳をいくらか使おう。ボリュームを多くなくて良く、特別な用途に応じた材料(例えば、コロイドオート麦、剥離剤、ハーブエキス、エッセンシャルオイルなど)を使用し、小さな塊を複数作ることができる。自作農の酪農に関する詳細情報については、「The Small-Scale Dairy」をご参照。ヤギの詳細については「Storey’s Guide to Raising Dairy Goats」を読み込もう。

 あなたが牛かヤギのどちらを選んでも、思慮深く計画すると、あなたと酪農動物にとって確実に楽しい経験をするのに役立つ。

 

まねできる工夫がたくさん

マザーアースニューズ

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Homestead Dairy Animals: The Pros and Cons of Cows and Goats

August/September 2015

 

By Jeannette Beranger