持続可能な農場作りの冒険

自身の食物を育て、自身のエネルギーを作り出すことで、実践的で、生産的な農場の達成に近づき、地球に前向きな影響を与える。

我が家では、食料自給、ソーラーパネル、太陽熱温水器の導入のほか、炭素隔離対策も積極的に取り入れることで、地球によい影響をもたらす持続可能な農場作りに少しずつ近づいている。

 

カンザスの農場。放牧羊からヘルシーな食肉を調達し、物置の屋根に設置したソ-ラーパネルで発電もしている。

昔、妻も私も20代前半で、初めての育児に家計が火の車だった頃、お金に困らない生活をするための秘訣は予算を決めて生活することだと教わった。そこで、それを実行してみた。

誰も医者にかからず、うちのポンコツ自家用車を一度も修理に出さずに済めば、可処分所得が月々11ドル浮くという計算に。そりゃそうだ、でもお金に困らない生活は見えてこない。ただ、菜園を持つことの価値の高さは明らかだった。食材のほとんどを自前で作り始めたら、節約できた金額は数百ドルに。あの夏の数百ドルは大きかった。そこで我が家では、その菜園を使い、効率的で、自立した生活スタイルを目指そうと決めた。

これまで目指してきたことを、目標として明確にしたのだ。


プラスに向かうための課題

最近は、食費のやり繰りから解放された。かわって、食材は効率的に生産することが可能で (これは我が家以外の人達のためでもある)、そういう我が家のライフスタイルが地球環境によい影響をもたらす可能性がある、という考え方に魅力を感じている。 

そう、「よい」影響だ。可能性はある。

カンザス州東部、高草植物 (tallgrass) が生い茂るプレーリー50エーカー (20ヘクタール) が、私たちの住まいだ。食肉用に羊、牛、ヤギ、ニワトリを飼育。管理型放牧で、土壌は年々豊かになっている。物置の屋根に設置した太陽光発電機で、消費電力を上回る電力を調達している。車移動のほとんどに電気自動車を使い、家の太陽光システムで充電する。シャワーのお湯は、太陽熱温水設備で十分まかなえる。これらを始める第一歩となった菜園は、今もそのままだ。

都市部の友人と話していると、私たちの田舎暮らしの生活力に感心される。そんなときは、嬉しさは控えめに、多少自慢話になりつつ、ニンニクの収穫の楽しさや、子羊のあばら肉の付け合せにルッコラが絶品だ、といったことを聞いてもらう。

とはいえ、農家仲間に比べれば、我が家は目も当てられないほどの素人。溶接もできないし、機械に大きな故障が起きたらお手上げ。配管工事も勘弁してほしい。

農場を経済的に自立させるには、こういったことをはじめ、他にもさまざまなスキルが必要だろう。とわかった上で、我が家では資金は別の事につぎ込み、機械、配管、溶接などは用のあるときに有料でやってもらっている。農家として、金銭的には自立していないと断言できる。

この農場のそろばん勘定よりも、むしろ力を入れて取り組んでいるのは、この家や農場やライフスタイルをどうすれば、この地球にプラスに働くか、という課題だ。近隣の人たちとともに、この土地に優しく、次の世代にとって持続可能なシステムを作っていくには、どうすればよいのだろう。


和訳全文は今月末発行予定。

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Our Quest to Create a Sustainable Farm

October/November 2015

By Bryan Welch