食べられる植物の 10 の魅力的な事実

 植物の育種家、種会社、農家、そしてベテランの菜園家は、一般の菜園家に大いに利益になる特別な知識を持っている。私は造園デザイナーとして30年以上もそうした専門家と数え切れないほどの時間、共に仕事をしてきた。そして自分のお試し菜園で数々の食用植物を育ててきた。この調査のおかげで、読者の植物栽培のノウハウを強化する、「食用植物の事実のトップ10リスト」が出来た。植物の基本もあれば、科学的な専門事項、作物特有の事柄も含まれるが、どれも翌年より良い菜園を創るのに役立つだろう。


1.植物の窒素不足に気を付ける

 動物にとってのタンパク質と同様、植物にとって窒素は重要だ。窒素不足の植物は、普通のものより色が薄く、下の方の葉が黄色くなり始める。これは特にカボチャ、ペッパー、ブロッコリー、その他の肥料食いの一年生植物に見られる。植物には窒素が必要だと菜園家に言うと、「でも私は肥料袋の指示通りにしているんだ!」というのをよく耳にする。けれども袋に記載されている量は単に平均で、実際どのくらい窒素を入れるべきかについては様々な要素が影響する。畑の土が砂質で栄養分が素早く浸出してしまうこともある。その場合、有機質を加えることで、土質を高めるように努めるべきだろう。あるいは、使う鶏糞の袋が種苗店に長いこと置きっぱなしで、購入する前に窒素が空気中に揮発してしまっているかもしれない。また、特定の植物品種が特に肥料食いということも考えられる。

 とは言え、中には肥料をやりすぎる菜園家もいて、これは十分に肥料をやらないのと同じくらい有害となることがある。自分の目を手引きとして使い、作物の健康状態を判断しよう。肥料袋の指示は起点として留意するが固定された規則ではない。

 

2. 種から始める作物×移植苗を使う作物

 どの園芸用品店でも菜園家は植物に誘惑されて、膨大な移植の手間を持ち帰る気になってしまう。けれどもエンドウ豆やディル、キュウリの移植苗を買えるから、もしくは家の室内で始められるからと言って、それが必要というわけではない。大半の植物の種は畑に直接蒔くことができる。例えばディルの苗を買う3ドルで、50粒入りのディルの種を買う方が良い。

 移植苗にお金を支払ったり、室内で早い時期に育苗したりするのに時間を費やすのは、その気候で特定の作物を早く始めるか、株間を調整しやすくする時だけにすることをお勧めする。ほとんどの地域で、追加の栽培期間が本当に必要な植物はトマトを含む期間の長い作物だけだ。ブロッコリーなどのアブラナ科の植物も、冷涼な気候の期間をうまく利用するために、移植を選ぶことができる。その他の作物の大半は直接室外に蒔いても栽培に成功するだろう。実際、多くの作物は直接蒔いた方が良く育つ。根菜類は特にそうだ。最高の結果を得るには、種袋の蒔き時に従うこと。

 移植苗を購入することにしたら、苗が入っているポットより大きくなり過ぎていない強い苗を選ぼう。園芸用品店はより大きな苗を高く売るのが好きだが、ストレスが多い上に根づまりしており、通常、移植後は小さくて若い苗ほどには育たない。

 

3. 短日植物を成功させる

 食用植物の中には「昼の長さに反応する」と言われるものがある。これらの植物は、実際のところ暗い時間の長さに反応するので、昼の長さというのは間違いであるが。作物には、主に春と秋に栽培される短日植物と、花が咲くのに12時間以上の光が必要な長日植物がある。中日植物は昼間の長さに関わらず花を咲かせる。昼の長さが様々な植物にどのように影響するか、また菜園の緯度の日照時間を確認するための一般的な情報はJohnny's Selected Seedsをご参照。 

 良い例:ほとんどの菜園家はコリアンダーを春に植え、わずか6週間後に種を付けようとするのを見てがっかりする。コリアンダーは冷涼な天候を要する短日植物だ。日の長い夏の栽培を続ける代わりに(コリアンダーシード用に栽培しているのでなければ)、夏の終わりに植えれば、強い霜で倒れるまで育つだろう。コリアンダー風味の夏のハーブとしては、風味の似ているメキシコの温暖な季節の一年草、「papalo」を試してみよう。

 

4. 基本的な植物学用語

 多くの菜園家の間に困惑を招く、食用植物の重要な事実には、一般的な植物と遺伝子組み換え (GM)、交配種、放任受粉など種の用語定義がある。メディアも誤解していることが多い。ここでおさらいしておこう。

 種の主な種類には交配種と放任受粉品種の2つがある。放任受粉品種は自家受粉か他家受粉のいずれかだが、実際は多くの植物が両方を少しずつ行っている。トマトなどの自家受粉植物の花には、各花に雄しべと雌しべがあり、自分で受粉することができる。カボチャやキュウリなど他の植物には、雄花と雌花があり、他家受粉をする。作物を実らせるには、授粉昆虫や風、菜園家が雄花の花粉を雌花の雌しべに運ばなければならない。

 種を取るには、自らを複製することのできる(子孫が親と似ている)「純種の」放任受粉品種を栽培する必要がある。種子カタログでは「OP」と記されていることが多く、長期的な利点がある。何年も種を取れば、その品種は菜園の条件にさらに順化していくだろう。ジャガイモやリンゴなどいくつかの食用植物を除き、在来種は放任受粉だ。

 他家受粉作物の放任受粉品種を複数栽培する場合、品種ごとに距離をあけるか、仕切りをするなど離しておく必要がある。さもないと、花粉が混ざり、品種の混ざった種が取れることになる。2つの放任受粉 (OP) のズッキーニ品種を隣どうしに植えるとしよう。純種の子孫を作る種を取るには、別々に覆いを掛け、花を人工授粉する必要がある。種を取るつもりがなければ、こうした詳細については気にしなくて良い。

 交配種は2つの近縁の植物や動物の間で交配する(馬をロバと交配してラバを作るのを思い浮かべると良い)。育種家は特別な系統を選び意図的に交配させることで、2つの系統の最良の形質を組み合わせる。カタログでは「交配種」または「F1」と記されるこれらの品種は、耐病性や多収量、均一熟成など、有用な特徴を兼ね備えている。交配種の種は純種を育てないので、これらの植物の種を取ることはできない。

 遺伝子組み換え (GM) 品種は複雑な工程を経て実験室で作られる。そこでは望ましい形質を持った何らかの生物の選ばれた遺伝子を、近縁か否かに関わらず植物の中に加える。例えば、科学者は細菌のバチルス・チューリンゲンシス (BT;Bacillus thuringiensis) の遺伝子を取り出してコーンに組み込み、この品種が一般的なコーンの害虫に対し毒性を持つようにする。この植物のDNAは自然には起こりえない方法で変えられ、BTに対する農薬が植物の全ての細胞の中に作られる。これはコーンを食べる時に人間がそれを摂取することを意味する。開発のコストがかかるためGM植物は主に大規模農業に限られてきた。大部分の加工食品にはGM大豆やGMコーン、GM砂糖が含まれる。GMスイートコーン、GMパパイヤ、GM夏カボチャはスーパーマーケットに置かれ、USDA(米国農務省)はGMジャガイモやGMリンゴを承認した。

 

5. 温暖な気候の作物×冷涼な気候の作物

 食用植物は概して、暖かい季節の作物と涼しい季節の作物のいずれかに分類される。どの作物がどちらに属するかどうしたらわかるだろうか?ここに役立つ2つの単純化した規則性がある。塊茎、根、葉、つぼみを食べる野菜は普通冷涼な条件を好む。実や種を食べるものはよく実を付けるのに温暖な条件を必要とする。だからニンジン(根)、ホウレンソウ(葉)、ブロッコリー(つぼみ)は全て冷涼な季節の作物で、トマト(実)や豆(種)は温暖な季節の野菜だ。もちろん例外はある。エンドウ豆(種)は冷涼な気候の植物で、サツマイモ(塊茎)には温度が必要だ。それでもこの2つの規則性は目安になる。特に惑わされるような名前が付いているものには(例えば、冬カボチャ(実)には夏の長い栽培期間が必要)。

 

6. トマト栽培の気候条件

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7. インディターミネート・トマト品種は風味が豊か

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8. どんな時に接ぎ木野菜を使うか

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9.酸性土でブルーベリーを栽培

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10. ハーブフレーバーの系統

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 食用植物のこれらの10の事実のレパートリーがあれば、菜園はより一層豊作で、美しく、愉しくなるだろう。 さあ、召し上がれ!

 

翻訳全文は今月末発行予定

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10 Fascinating Edible-Plant Facts Gardeners Need to Learn

By Rosalind Creasy 

October/November 2015