脂肪と健康:科学を理解する

「低脂肪を摂ろう」という助言は、40年以上も間違ってきた。新たな証拠が明らかにしている重要な役割は、健全な脂肪はより良く生きるために役立つということ。

 

読者のみなさんは今まで低脂肪食は良くないというニュースを聞いたことがあるかもしない。本稿で述べるのは、重要なオメガ6とオメガ3の比率、DHA、アルファリノレン酸、健康脂肪の欠かせない利点を取り入れることについて知っておくべきこと。

 

平飼い卵、牧畜のバター、グラスフェド肉の調理は、工業型農場のものよりもオメガ3脂肪酸が高い。

オメガ3脂肪は、昨今注目を多く集めているが、万能薬ではない。奇跡の治療法は、私たちの不振の解決策ために存在しない。それにもかかわらず、オメガ3は、何を食べるべきかという盛んな議論でユニークな立場にある。脂肪入門としてオメガ3を考える(一般に、より大きく、より完全で、より豊かな脂肪の物語の入り口として)。

 脂肪は複雑というのは、私たちが受け入れるべき事実。結局、過去40年間、自己納得した専門家が、議論を避けるよう誘導して単純化し過ぎていた。例えば、よくある決まり文句「脂肪を摂るから太る」と現代医学の礎「血中コレステロールは、特定の脂肪を摂ることから派生して、死に至る心臓病を引き起こす。」との関係について考えてみよう。

 

 

これのどれも真実ではない。メアリー・G・イニグ博士(Mary Enig)、ゲイリー・タウビズ(Gary Taubes)、ニナ・テイチョルツ(Nina Teicholz)などの著述者による過去10年間の顕著な批判にもかかわらず、抗脂肪信仰のこれらの記事が、よく口のすべる脂肪の小うるさい話、コレステロールスクリーニング、皮膚を剥がした鶏の胸肉、卵泡立て器、マーガリンを無数に生み出した。これら全てが間違っていた。それでも尚、最近まで、医療業界はそういった低脂肪の号砲に囚われてきた。

記事一覧:

・キッチンにある脂肪(Fats in Your Kitchen

・グラスフェッドがベターな理由(Why Grass-Fed Is Better

•小さな変化、大きな結果:食生活の変化でオメガ3とオメガ6の比率を改善(Small Changes, Big Results: Dietary Changes to Improve Omega-6 to Omega-3 Ratio

 

いかに悪いアドバイスが健康に悪かったか

長い間推奨されてきた健康指導では、全ての脂肪を悪としていて、最終的に私たちの食生活に勧められた炭水化物の量が増加した。脂肪とは異なり、炭水化物は簡単。炭水化物には「複合体」と呼ばれるものもあり(全粒小麦粉やジャガイモ澱粉など)、炭水化物は全て、最終的には、糖に還元し、その後、糖はグリコーゲンに還元する。炭水化物の過剰摂取は、インスリン抵抗性に最終的につながる、メタボリックシンドロームに関連するマーカーの一つで、肥満、糖尿病、心臓疾患、関連する炎症の基となる。

 私たちの体は燃焼で動くので、グリコーゲンが命の燃料だと確信して炭水化物を食べている。しかし、脂肪も燃料。脂肪もよく燃焼する。ただ1つの単純な分子に還元するのではない。体は、種類豊富な脂肪(モノ不飽和、多価不飽和、飽和など)を全て使用。

 脂肪は体内で多くの役割をする。エネルギーとなり、脳神経細胞を結びつけ、骨にカルシウムを吸収させ、血液凝固を防ぎ、炎症を収め、神経系の応答を早めるなど、これらはほんの数例。同時に、脂肪はさまざまな微量栄養素の媒体となり、各々の特殊な役割を実行させる。つまり、脂肪は生物学的利用能を補助する。

 例えば、多くの場合、ただビタミンや栄養素が1つ足りない人は、ビタミンサプリメントを摂っても、欠陥を修正できない。基本的な輸送や化学反応のための成分が他に存在せず、体にビタミンを使用させられない場合、その人はビタミンを吸収しない。脂肪は、様々な栄養素(カロテノイド、脂溶性のビタミンA、D、E、Kなど)の生物学的利用能を有効にする。

 脂肪に関連した問題のいくつかでは、主流のコンセンサスが、実際の良し悪しについて現れている。例えば、トランス脂肪は、今では、元祖フランケンフード(遺伝子組み換え食品などの人造食)だと理解される。トランス脂肪の名前の由来は、分子構造上の単純な移動で、進化の前例に構わず、その構造を再調整している。いくつかのトランス脂肪は、天然に存在しているが、人工的なトランス脂肪は、工業加工の水素化植物油の中にある。 20世紀初頭にラードの安価な代替として手早く作られた、人工トランス脂肪はショートニングやマーガリンの主成分。両方とも薄っぺらな偽装で、有害だと嫌疑をかけられた動物性脂肪の健康的な代替として、以前もてはやされた植物油だ。

 錠前に合う鍵のように、受容体に分子の形状を組み合わせることで、体の働きの中で、多くの生化学が処理されている。体が分子形状を認識しない場合には、侵入者として未知のものを扱い、炎症の免疫応答で対抗する。トランス脂肪は認識できない形状を有し、それが、米国食品医薬品局(FDA)が現在正式に食べると安全ではないとして、トランス脂肪をリストに載せた理由だ。しかし、ファーストフードや加工食品の多くに潤滑剤として含まれたままだ。

 連邦政府の栄養政策を導く諮問委員会は、2015年2月にさらに大きな転換を指し示した。卵のようなコレステロールの高いもの、バターやラードなどの飽和脂肪の高い食品を避けるという長年のアドバイスを反転させたのだ。

 

オメガ3とオメガ6

「必須脂肪酸」と表示されている脂肪の多くが、体を維持するために、特定の固有な、そして、そう、本質的な、役割をしている。これらの脂肪酸には代替するものがなく、その大半は体内で生成できない。必須脂肪酸の独演会は、化学者のみが愛する多音節の学問用語体系の文字列で、読者のみなさんは要約できない。私たちの健康と知性は、リスト上の用語の食い違いが解消されるかどうか次第だ。

 オメガ3はここで物語に入ってくる:体からそれらを除去することによる損傷は、見つけることが容易で、よく研究されていて、恐ろしいものだ。特定のオメガ3(ドコサヘキサエン酸、またはDHA)の不足で、脳の機能を損なう。英国のジャーナリストのグラハム・ローズ(Graham Rose)が書いた有名な話にあるように、私たちは、現代の食事におけるオメガ3不足が理由で「低能な人種」を作り出す危険にさらされている。研究は明確だ。ここで怖いニュース:現代の食事を食べている私たちのほとんどは、これらの重要なオメガ3脂肪を十分に摂取していない。

 オメガ3は、脂肪分子一種類の名前ではなく、同様な5つの脂肪分子のセットの包括的な用語。

 オメガ3と同様に、オメガ6は、数ある脂肪酸の包括的な用語で、重要なものは、リノール酸だ。リノール酸は、トウモロコシ、大豆、綿の実、ベニバナ、ヒマワリの油の主要な脂肪。近代の工業的農業と食品加工は、私たちがかつて消費していたDHAを植物油からのリノール酸に置き換えてきた。様々な調理油のオメガ3とオメガ6の含有のこのグラフに示すように、調理用の脂肪の選択が問題。平均では、1960年代後半以降、米国の食事で8%から1%にリノール酸が上昇している。これは、工場農場の肉、卵、乳製品、魚を介した間接的な消費と相まって、これらの油を直接消費しているのが原因。

 研究者が増え、ある特定のオメガ3脂肪酸、DHAに焦点を当てている。この固有で本質的な脂肪は人間と全ての生命にとって根本的に重要で、脳機能にとって極めて重大。 DHAの不足は、様々な脳機能不全に関連していて、以下のようなものが含まれる。

• 注意欠陥障害

• 認知症

•うつ病

•低IQ

•躁うつ病

•記憶損失

•統合失調症

•暴力行為

脳は脂肪で動くが、脳だけが問題ではない。

 広く普及しているアドバイスでは、動物性脂肪よりも植物油を選択することで、赤血球中のDHA濃度が低下し、肥満率を上昇することがある。他のオメガ3は特定の機能を持っているものの、DHAを代替できないと理解することが重要です。 DHAが十分な量だけ混ざっていない限り、オメガ3をより多く食べても、これらの問題を食い止めることはない。

 例えば、オメガ3アルファリノール酸(オメガ6リノール酸とは異なる)、主に植物に見られるオメガ3は、DHAの前駆体(したがって、「アルファ」)だ。体はアルファリノレン酸をDHAに変換できるが、ただ、遅く、不十分な方法だ。

 DHAの現代最高の摂取源は、サケやマグロなどの冷水魚だ。より多くの魚を食べることで、これら緊急の健康問題を簡単に解決することができるのか? J.T.ウィンクラー、栄養政策の英国の研究者は、別の重要な質問に遠慮なく答えを提供:「私たちに必要な量を提供するのに十分な魚が海の中にいますか?いいえ。」私たちの生物種は、深刻な栄養失調のこの時に過密に生息しているようで、しかも他の生物種に行ってきた重大な危害もある。

 乱獲の産業的解決策は、養殖産業、養殖魚のようだ。しかし「解決策」は行き詰まっていて、理由は、人によっては養殖魚に当てはめている用語「浮遊野菜(floating vegetables)」によって解き明かされている。「養殖魚は、理想的には、主に魚粉や魚油を食べることによってオメガ3を得るのだろうが、そうではない。養殖魚が「浮遊野菜」になる理由は単純。世界中の養殖産業で養殖魚に植物油を与えていて、この残されたやり方はオメガ3とオメガ6の不自然で不健康な比率を伴っていて、全ての工場農場の食品と同じ欠陥。

 問題はオメガ6の高い食品(特に、大豆やトウモロコシ油、工場生産肉や乳製品)が、 有益なオメガ3脂肪が太刀打ちできないオメガ6脂肪酸の余剰といったものを生み出すこと。オメガ6が体内システムで氾濫すると、オメガ3が必要とする全ての分子ソケットを使用して、後者は自分の仕事ができないよう妨害される。現代のアメリカの食事は、オメガ6のオメガ3に対する比率は10対 1以上。研究では、私たちは1対1に近い比率で進化したと示している。再びそれを達成できれば、はるかに健康的だろう。

 ノルウェーの研究者が、養殖魚と研究所の動物に与える餌を調べて見つけたのは、オメガ6をひいきする、これら2つの重要な脂肪酸の濃度の単純な切り替えポイントが、肥満および炎症を引き起こすこと。より自然なバランスに比率を戻すと、肥満および炎症の両方を逆に抑えた。

 

オメガ6を少なくオメガ3を多く食べる

家畜を養い、安く加工食品を製造するために、高オメガ6のトウモロコシや大豆がいたるところで使用されるため、平均的な現代の食生活は、健康に必要な最適量よりもオメガ6脂肪酸が4倍高い。 オメガ6摂取レベルのこの上昇が、オメガ3脂肪酸の本質的な機能を妨害している。読者のみなさんの比率を向上させるために食事を変える方法のアイデアについては、1日の摂取量の参考チャートをご参照。 

現在の標準的なアメリカ人の食事におけるオメガ6のオメガ3に対する比率:15対1 *

最適なオメガ6対オメガ3の比率:4(以下)対1 **

増加したオメガ6での推奨オメガの3消費量:3,600mg /日 **

減少したオメガ6での推奨オメガ3消費:360 mg /日 **

*出典:USDA 

**出典:ジョセフ・ハイブルン博士(Dr. Joseph Hibbeln)、NIH

 

真の解決策を見つける:健康脂肪の情報源

奇妙なことに、オメガ3の供給源の研究は、ほぼ全面的に魚に焦点を当てている。これで話が終わるなら、人類はひどい過密状態になるだろう。牛肉と豚肉だけでなく家禽肉の赤肉は、穀物を与えた動物は養殖魚と全く同じ問題に直面しているという理由だけで、一般的に無視されてきた:彼らはトウモロコシや大豆(間違った種類の脂肪の割合が非常に高い)を与えられている。米国で育てられたほぼ全ての牛肉、豚肉、鶏肉は、そのような飼料(色々な意味で安く、迅速に動物を太らす)を与えられている。それらの肉、牛乳、卵は、元来の放牧飼料で飼育される動物の製品とは大きく異なっている。(チャートをご参照。)

 野生の魚と同様に、牧草飼育される動物から提供される製品は、私たちに必要なDHAをもたらす。牧草飼育の牛肉、卵、乳製品は、重量あたりで、野生の冷水魚には及ばないが、それでもDHAが豊富。

 DHAに加えて、他に4つのオメガ3が個別にあり、それぞれが果たすべき役割を持っている。 牧場で育てられた動物には、肥育場産の牛乳、肉と比べて300〜500パーセント以上多くの共役リノール酸(CLA)が入っている。これは別のオメガ3脂肪酸(オメガ6リノール酸とは異なる)。このCLAには、DHAとは異なる脳の健康のための利点がある。リノール酸に加えて、他に3つのオメガ6があり、特に私たちの免疫系でそれぞれ重要な機能を持ち、これは、多価不飽和脂肪の2つのグループのみによる。

 まとめると、この証拠の全てが脂肪恐怖症アドバイスや高コレステロール警告の中心部に「ステーキ」を追いやっている。広範囲で意義のない証拠により、オメガ3脂肪の減少が、脳機能の低下、特に長期的、認知症とアルツハイマー病につながる腐食作用と相関する。研究で以下のことさえ示している。広く処方されているリピトールなどの血中コレステロールを下げるスタチン薬と脳機能の減少との間のつながりだ。これは、薬の副作用ではなく基本的な効果(スタチンはコレステロールを減らす)。ここで、脳は体の重量の約2%だが、体のコレステロールの約25パーセントを保持していて、約60%の脂肪で構成されていることを考慮しよう。要するに、脳は、コレステロールを持っている必要がある。

 この全ては、食料源だけでなく、季節、貯蔵条件、調達先の誠実さ、一部の脂肪の腐敗のしやすさ次第で大きく変動する。そこには保証はないが、この話はつじつまが合う。話の複雑さ自体は、私たちが何を探すべきかということで、この脂肪やその不思議な微量栄養素という話ではないのだ。

以下、正しい方向に私たちを導く簡単なルール

加工食品を避ける。大豆やトウモロコシベースの原材料が含まれ、糖のみならず、防腐剤、その他の怪しげな添加剤の割合が高すぎる。

多様性を取り入れる。卵をかご丸ごと全て食べないこと。オメガ3の豊富な供給源を求める。特にDHA。すると、残りの必須脂肪酸はまとめてついてくる。

サプリメントに依存しない。最高品でさえ腐敗と生物学的利用能の深刻な欠点がある。最悪の場合、業界では、いかがわしい薬や詐欺だらけ。

賢く選び上手く食べる。健康脂肪やさまざまな微量栄養素全体の最高の供給源は、野生の冷水魚。野生の狩猟動物、グラスフェッド動物の肉や乳製品や卵。そして、新鮮な、未加工の食品、ナッツ、果物、野菜の豊富な微量栄養素と脂肪で補完する。 あなた自身の考えを踏まえよう。より正確に言えば、あなたがどのように考え、そして、どのように行動し感じるか知ろう。

 

この話題の詳細は「脂肪の大ウソ」と Essential Fatty Acids Education のウェブサイト(国立衛生研究所の科学者によって維持)で。 — マザー

 

リチャード・マニング(Richard Manning)は、「Against the Grain: How Agriculture Has Hijacked Civilization」の著者で、ジョン・レイティ博士(Dr. John Ratey)との共著でGo Wild」がある。

 

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Omega-3s and More: The Importance of Fat in a Healthy Diet

December 2015/January 2016

By Richard Manning