収量の多い野菜を簡単に育てる方法

この新しい「残らず食べる青葉 (eat-all greens)」法を用いて、かつてないほど省力的に省スペースでもっと収穫しよう。

 

文: Carol Deppe

翻訳:沓名 輝政

 

私が、自分で名付けた「残らず食べる青葉(eat-all greens)」手法を発見したのは、ほとんど偶然で、20年前のこと。当時私は、オレゴン州コーバリスの町中に住んでいて、小さな植床2つだけで育てていた。ある時点で、2立方ヤードの堆肥を注文。その時は車を持たず、堆肥が届き、道路までのコンクリート通路に山積みされた。私は堆肥の山を見てそこに立っていたが、ただその場で周りに広げたら、栽培スペースを倍増できることに気づいた。

 

労働無しの菜園

 私はすぐに堆肥を広げて深さ約15cmの広い植床にして「グリーンウェイブ」からし菜の種をばら撒いた。その後、私がしたことは、、、何も無し。除草無し。間引き無し。約2ヶ月後、信じられないほどの量の野菜を収穫した。初の「残らず食べる青葉」の植床では、完璧な品種、植付け時期や密度でつまずいた。 通路の植床の「グリーンウェイブ」からし菜は全方向に約10cm離れて約35cmの高さ。これは私が普段広い場所で育てている大きな植物とはかなり異なるものだった。広い場所を与えてやると「グリーンウェイブ」の茎は繊維が多くなり、下葉が固く食味悪く成長する。こんな筋書きで収穫するのは、個々の若葉を摘むことになり相当時間のかかることだ。しかし、私の通路の植床では、地面より約10cm高くて、植物どの部分をとっても柔らかくジューシー、主茎も含めてそうだった。だから、私はいくらかを冷凍することを考えつつ、10cm高の植床が真っさらになるよう刈り取った。生野菜は驚くほど辛かったが、2分間煮沸したら、熱は消え、おいしい、風味豊かな野菜になった。

 この幸運なまぐれ当たりに出くわすまで、私はガーデニングにはある程度労働が必要だと考えていた。しかし、新基準を発見したのだ。この信じられないほど簡単な作物に注力したいと思った。ただ種を蒔いて収穫するだけだ。そして、このやり方で適切な品種を育てることにより、怠慢栽培の典型が実際に達成可能なだけでなく、非常に美味しくて、やりがいがある。

 残らず食べる手法は、ちぎって収穫後に生やす方法と似ている。両方とも、種を蒔いて残らず収穫する。ただ、ちぎって収穫後に生やす植床では、全方向に株間2cmで蒔き、通常は15cn以下の高さで刈り取って収穫。最後は柔らかいサラダ野菜になるものの、刈り取り当たりの収量は低い。残らず食べる植床では、全方向に株間5〜10cm、収穫時の高さ30〜60cmで、通常は食用野菜として使用。

 

残らず食べる7大野菜

 その後20年間、私は残らず食べる野菜として使用するために、200以上の品種を試した。多くの種では使える変種が皆無だと分かった。ほとんどの種で、特定品種に限って使えた。残らず食べる品種の中でも良いのは、ルーズリーフだということを発見。結球する品種のどの野菜よりも、土地と労働あたりの収量が多い。

 残らず食べる野菜として認められるには、すぐに発芽し、雑草と競合の余地なく、全て抑えるのに十分な日陰を作るほど速く育つ必要がある。形状は、葉や茎をきれいに保てるように(適切な植付け密度で)直立していなければならない。尚、そのように成長すると、丸ごと刈る高さから上の部分は、柔らかく、ジューシーで、最上級になるはずで、丹念に選んで刈ったり、収穫した葉を分別したりする必要がなく、キッチンでの準備時間が最小限になる。最後に、そのスペースに食用野菜が大量にでき(好ましくは2ヶ月ほどで)、何度も連作が可能でなければならない。ここで述べるのは私のお気に入りの残らず食べる野菜の品種のいくつかで、どれでも「グリーンウェイブ」からし菜について記載した方法を用いて育てることができる。

 「グリーンウェイブ」からし菜(学名:Brassica juncea)。春や秋に種子を放つ。冬が厳しくない地域では、晩春の植付けでは董立ちするため、3月初めの春植えが最適。若い株は霜に耐性がある。

「Shunkyo」と’「Saisai」葉大根。主に葉のために繁殖させた大根は、日本、中国、韓国で人気があるが、米国ではあまり知られていない。急成長する青野菜の極致で、私の知る限り最も生産的。例えば、7月4日に、私は150×150cmの区画に「Saisai」交配種の種子を播いた。水やりはしたが、除草、芽かき、その他の作業はしなかった。ほんの41日後の8月14日に野菜を13.3ポンド収穫した。作物は非常に速く成長するため、オレゴン州沿岸では、簡単に4連続で栽培できる。これは私の庭の150×150cmの植床でシーズン中に青野菜を23kg以上得られたことを意味する。少なめの収穫をしたければ植床に少なめに植える。夏が厳しくない地域では、早春から晩秋に葉大根を育てられる。夏の暑い地域では、春から秋に葉大根を栽培。米国で利用可能な品種のほとんどが交配種だ。しかし、「Shunkyo」は最上級な青葉と、美味で甘く、それでいて辛味で、10cmの長さの赤い根菜の両方が成り、私が野菜と一緒に調理するのが好きな、素敵な中国の在来種だ。そう、まさに、残らず食べる作物だ!

 「フローニンゲンブルー(Groninger Blue)」コラード-ケール(学名:Brassica napus)。ほとんどのケールの品種で、十分に速く成長し十分なバイオマスを生成するのに失敗するのは、良い残らず食べる品種を作るには若すぎる時で、通常、丈夫な主茎がある。 ところが「フローニンゲンブルー」は、輝かしい残らず食べる作物で、コラードとケール両方のすべての美点を備えている。「レッドロシア」ケールと同じ綱だが、はるかに速く成長し、若い株のころ収量が多く、ジューシーな主茎を持ち、はるかに良く越冬する。夏の穏やかな地域では、早春から秋にかけて植えることができる。私はこの品種を収穫する時、ほとんどを丸ごと刈り取るが、庭にいくつかを残し、越冬のために大きな植物に成長するよう適切に株間を空けておくのが好みだ。

「ブルゴーニュ(Burgundy)」アマランサス(学名:Amaranthus ssp.)。アマランサスで、赤または赤のストライプの葉の品種はいずれも、残らず食べる品種に十分なほど速く成長するのかテストしていない。 「ブルゴーニュ」アマランサスは、一方で、私のお気に入りの暖かい気候で育つ残らず食べる青葉の一つです。鮮やかな赤色の種子頭部と緑の葉がある。丸ごと食べる作物として播いて、選んでほぼ全て刈り取り、いくらか程よく株間を空けて残し、穀物作物として育てることができる。

 「東京べか菜」ハクサイ(Brassica rapa)。これは黄緑色のルーズリーフ白菜。まろやかな、ほとんどレタスのような風味を持ち、生サラダにも調理野菜にも良い。

「赤いアステカ」huauzontle(別名「赤いアステカ」インドのホウレンソウ。学名:Chenopodium berlandieri)。このメキシコの在来種は、キノアより比較的董立ちが遅く、残らず食べる素晴らしい夏野菜。私は春の終わりから夏にかけて植える。

 

残らず食べる青野菜を食べる

残らず食べる野菜を準備する私の好きな方法の一つは、調理の最後の数分の間にグツグツしているスープやシチューに落すこと。ここで説明した7品種全て、炒め物にもバッチリで、または発酵野菜に混ぜ足すのも良い。

 私はまた、南部風の「mess o’ greens」を作るのが大好きだ。1〜3分間野菜を煮て、水切りして、何か素晴らしいドレッシングをかける。あなたのお気に入りのサラダドレッシングで良くて、フェタチーズ、イタリア調味料、コショウ、酢やレモン汁のように。ベーコンビット、ベーコン脂肪、唐辛子と酢の組み合わせは、古典的な南部風。しっかりとした食事には、ポレンタのベッドの上に残らず食べる青葉を何層か重ね、ハンバーグ肉汁、スパゲッティソース、ミートボールをトッピング。

 このような優れた収量に、おそらくオマケも付くだろう。青物は冷凍保存に最適だ。 1〜3分間無塩の沸騰水で湯通して、その後、青物の水気を切り(煮汁はとっておく)、冷ますためにクッキングシートの上に広げる。(熱々の山にしたままでは、青物が煮え過ぎるだろう。)配膳サイズの冷凍用容器に冷めた青物を押し込み、冷めた煮汁で覆い、冷凍する。その後は、まさに食べる準備ができた時に、青物と煮汁を温める。または冬の食事にはスープやシチューに冷凍野菜と煮汁を放り入れる。

 

この記事で推奨した残らず食べる野菜の種を見つけるには、マザーアースニュースの種苗検索で探すか、以下のメールオーダーの種苗会社から購入しよう。

 

「グリーンウェイブ」からし菜:Bountiful Gardens、Fedco Seeds、Fertile Valley Seeds、High Mowing Organic Seeds、Nichols Garden Nursery、Restoration Seeds。

「Shunkyo」葉大根:Fertile Valley Seeds、Johnny’s Selected Seeds、Kitazawa Seed Co.、Wild Garden Seed。

「Saisai」交配葉大根:Fedco SeedsとKitazawa Seed Co.。

「フローニンゲンブルー」コラード、ケール:Fertile Valley Seeds、Nichols Garden Nursery、 William Dam Seeds(カナダ)。

「ブルゴーニュ」アマランス:Bountiful Gardens、Fertile Valley Seeds、Nichols Garden Nursery、Restoration Seeds、Wild Garden Seed.。

「東京べか菜」白菜:Fedco Seeds、Fertile Valley Seeds、High Mowing Organic Seeds、Nichols Garden Nursery、Southern Exposure Seed Exchange。

「赤いアステカ」huauzontle(「インドのホウレン草」とも呼ばれる):Fertile Valley Seeds、Nichols Garden Nursery、Terroir Seeds、Wild Garden Seed。

 

 

オレゴンの種子会社のオーナーで著者のキャロル・デッペ(Carol Deppe)は、有機向けの野菜の品種を育苗している。彼女の近著「The Tao of Vegetable Gardening」にある残らず食べる青物の他品種やヒントを見つけよう。書籍、記事、種子をもっと見るには、キャロル・デッペのウェブサイトをご参照。

 

 

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Easy, Fast-Growing Greens to Grow

February/March 2016

 

By Carol Deppe