裏庭でイチゴを育てる方法

イチゴを育てるのは簡単で、小さな投資に大きなリターンを返してくれる:赤く光輝くジューシーで大粒の球体は天に昇るほど新鮮で、定番のイチゴジャムにもなる。

カーリーン・マディガン (Carleen Madigan)編 「裏庭の農的暮らし (The Backyard Homestead)」 は裏庭を美味しい有機食品に満ちた豊穣の地に変身させるために必要な情報を全て与えてくれる。

 全てのぢきゅう人(農的暮らしをする人)や郊外居住者が栽培すべき果物がひとつあるとすれば、それはイチゴだ。どこに住んでいようとも、その地域で丈夫に育つ品種を見つけることができる(記事末尾の「地域別推奨品種」を参照)。イチゴは通常冷涼多湿な土地で一番よく育つが、栄養分の調節や風よけ対策をし、7月8月9月にたっぷり水を与えれば高温で乾燥した土地でも栽培は可能だ。

 イチゴはいくつかある結果習性植物のひとつに属する。6月結実種は生育期に沢山の果実をつけ、収穫期は通常2~3週間続く。生育期と地域によって早生、中生、又は晩生の6月結実種を植えることができる。中日性(「四季成り性」とも知られる)のイチゴは初春に植えつけ7月から10月にかけて結実する。この品種は日照時間に敏感ではないので花芽を出し続ける。育苗家がカリフォルニアで開発した品種なので、カリフォルニアに適しているが、丁寧な水やり、施肥、藁マルチなどの冬対策で他の地域でも良く育つだろう。中日種は6月結実種のような素晴らしい風味を持つわけではないが、末尾に記載した推奨品種は風味の評価は高い。ワイルドストロベリーに最も近い子孫のアルパインストロベリーは縁取りやグランドカバーとして良く栽培されている。他の品種と違い、種から育てることができ、生育期間中に渡り実をつける。果実はとても小さいが味は濃厚だ。

 早春の整備した植床の湿った土壌に健康な苗を植えれば、どの品種でも数日のうちに新しい根を出し、 追って新しい葉を数枚作るだろう。6月にはほとんどの品種に新たなランナーができ、親株の近くに根を下ろす。そこからまたランナーが伸び親株のまわりに子や孫の新しい株がすぐにできる。

 植えた1年後の最初の収穫が一番良いものとなるだろう。中日種は最初の1年間品質の良いイチゴが収穫できるが、6月結実種は次の生育期まで芽を摘むことによって風味豊かな果実を豊富に実らせる。

 

植え方

 イチゴは少なくとも2年間同じ場所で成長するので、土壌を良く整備しよう。可能ならば草の種が無い場所を選ぼう。この根の浅い植物は、水分や養分を土壌表面から数センチの深さで調達するため軽く、栄養豊富で、若干酸性よりで(pH 6.5が推奨される)、乾期の保湿として完熟堆肥が必要だ。イチゴは湿度の高い土壌と豊富な日光で最も良く育つ。次のステップに従ってイチゴの新しい植床を準備しよう。

 1.深さ15cmから20㎝の土を耕す、もしくは掘り起し、草や根を取り除く。植床に5㎝厚の堆肥を敷く。

 2.植穴を作るには、土に移植ごてを垂直に差し込む。把手を手前に引き土に割れ目を開ける。クラウン(根と葉が接合する部分)が土のすぐ上に出る様、根を広げ割れ目内に置く。それ以上深く埋めるとクラウンが腐り、それ以上浅く埋めると根が乾いてしまう。移植ごてを抜き、手の付け根で土を固める。土となじませるため株にそれぞれ水を与える。

 3.イチゴが成長し始めるとともに花のつぼみを摘まないと果実が成長してしまう。つぼみを摘み取るこ とで、結実ではなく力強い根系形成と健やかな成長にエネルギーが注がれる。その報酬として、健康な株から美味しいイチゴを沢山収穫できる。中日種は植えつけ後4週間から5週間は花のつぼみを摘んだら、その後は止め、花が結実する様にしよう。長くつぼみを摘み続けると、生育期を短くしてしまう。

 

栽培の方法

 マット栽培は大きい植床でのイチゴ栽培が簡単で、管理も最も容易だ。6月結実種は、中日種のイチゴよりランナーを多く出すので通常マットに植えられる。条間90cm株間30cmから40㎝で植える。苗から出来るだけたくさんのランナーをさせるようにする。ランナーが形成されたら、親株の周りに円を描くように根を下ろさせる。8cmから10cmごとに株が成長した後、込み過ぎない様に余分なランナーは切り落す。マット栽培は豊作になるが、果実はダブル畝栽培のものよりも小さくなる。

 ダブル畝栽培は長い畝で栽培する農家にも家庭菜園者の小さなスペースにも使える柔軟性のある栽培方法だ。この方法はランナーの除去など、より多くの管理を要し、栽培者の中には点滴感慨システムを使用したり、草を抑えるためにビニールマルチを用いたりする。中日種はマット栽培でも可能だが、通常ランナーをあまり出さないので畝で育てるのに最適だ。

エネルギーを芽出しへと促すため、親株からランナーを全て取り除くことから始めよう。条間25cmから 30cmで2条のペアで畝を立てて、そこにそれぞれ株間25cmから30cmで植える。ペア畝とペア畝の間は45cm離す。

 

イチゴの管理

 特に窒素とカリウムのバランスのとれた堆肥はイチゴの浅い根に養分を運ぶのを促す。1年目の春の初めに、袋の指示に従い有機堆肥をイチゴに与えよう。これで必要な栄養素は全て供給される。南部、東部、及び中西部の土壌は追加でリンが必要な場合もある。北西部では、微量ミネラルが土壌に必要かもしれない。来年の収穫に向けてつぼみに栄養を与えるため、8月と9月に肥料と水分を与えよう。柔らかな果実を助長するため春にまた肥料を与える。

 果実が熟している期間、1週間に3cm程度の水を与え大きくジューシーなイチゴを作ろう。ただやり過ぎは禁物。この時期の水分過多で、大きいが水っぽく味の薄いイチゴになってしまう。

 イチゴの株周辺に沢山の有機マルチを敷くことで草を抑え土壌の保湿を促し、そして根系を保護する。これは晩冬の土壌凍上を削減することにもつながる。わらや松葉のマルチはより土壌を一定温度に保ち、気候変動からイチゴを守る。冬に気温が氷点下になる地域では、マルチを敷く事で深刻なダメージを防ぎ果実を綺麗に維持し、休眠期でも株を健康に保つ。 5cmから13cmのマルチを敷き、寒い地域ではより高くしよう。

 イチゴの収穫時期?イチゴのほとんどは熟してくると果実が白からピンク、そして赤に変わる。色が変わるにつれ果実の糖分が発達するので完熟前に収穫したイチゴはあまり甘くならない。果実が硬い涼しい朝に摘み取ろう。

 

地域別推奨品種:

 これらの品種は全ての家庭菜園者向きで、風味に定評があり、次に示す気候で良く成長する。

・南部と湾岸部:「チャンドラー ( Chandler ) 」、「カマロサ ( Camarosa ) 」

・中部大西洋沿岸部:「アーリーグロウ ( Earligrow ) 」、「ジュエル ( Jewel ) 」、「オールスター ( Allstar ) 」

・北東部:「アーリーグロウ ( Earligrow) 」、「スパークル ( Sparkle ) 」、「ハニオイ ( Honeoye ) 」、「ジュエル ( Jewel ) 」

・中西部:「ジュエル ( Jewel ) 」、「オールスター ( Allstar ) 」、「ハニオイ ( Honeoye ) 」

・平原南部:「ジュエル ( Jewel ) 」、「アーリーグロウ ( Earligrow) 」、「オールスター ( Allstar ) 」

・平原北部とロッキー地方:「スパークル ( Sparkle ) 」、「ジュエル ( Jewel ) 」、「ハニオイ ( Honeoye ) 」

・北西部:「フッド ( Hood ) 」、「トーテム ( Totem ) 」

・カリフォルニアと南西部:「シースケープ ( Seascape ) 」、「アルビオン ( Albion ) 」、「サンアンドレアス ( San Andreas ) 」

・高山地帯:「マラデスボイス ( Mara des Bois ) 」、「パインベリー ( Pineberry ) 」(「フラベリー ( Hula Berry ) 」ともいう)

 

「The Backyard Homestead ( Storey Publishing, 2009)」 カーリーン・マグディガン編(81ページで購入可能)の許可により再版。購入はこちら:The Backyard Homestead.