育てよう。レアな根菜3種類。

チョロギ、バラモンジン、スキレット(S. sisarum) の個性的な風味を体験できるように、この無名の地下のお宝をあなたの菜園に加えよう。

 

家庭菜園でcrosnes【以下クローン】、salsify【以下サルシファイ】、ムカゴニンジンの栽培と、これらの根菜の独特な風味を料理に取り入れるためのコツを学ぼう。

 

料理人は、サルシファイ「Luethy」の、複雑で繊細な風味をカキとオートミールで合わせる。

 本格的な菜園家、小規模出荷農家、そして地域支援型農業(CSA)【注:地場の生産物を生産者から消費者へ直接販売するシステム】の計画マネージャーは、常にユニークな(特に冬期に集めることができる)作物を捜している。多くの料理店主もまた、肌寒い時期のメニューに加えるため、地元の珍しい食材を買うことで季節野菜を維持している。面白い選択をするためにあまり遠く見る必要はない。なぜなら、古風な作物は様々で、夏野菜が終わったところに登場するのに適しているから。私は35年以上の間クローン、サルシファイとムカゴニンジンを栽培していて、よく知っている。それらは私のウインターガーデンの「三姉妹」で、珍しくて楽しい料理を、私の食卓に十分供給してきた。

 

 これらの食通の好みのお宝、三種類全ては、野生原種にかなり近い。多年生のクローンとムカゴニンジンは、Zones 4~8【注:平均最低気温-12℃~-34℃】で耐寒性がある。サルシファイは地中海の作物で、二年生植物として冬の休眠時期が必要。Zones 6~8で(または十分な冬対策があれば、もっと寒い場所でも)耐寒性がある。それらが好む砂壌土【砂土よりも粘土の多い土壌】とは別に、三種の作物全て、深植えするとよく、塊茎の形がきれいになる。クローンは、湿った場所を好み、ムカゴニンジンは、沼地や小川の土手などに生育する。あなたがもし、冬、雨水が流入して水がたまる畑を持っているのなら、クローンまたはムカゴニンジンの収穫に役立つかもしれない。私は、「沼」と呼んでいる場所にどちらも植えたら、彼らはそこを好んでいる。しかし、低くなった場所は、氷で一面おおわれる場合があるので、冬の収穫のために、トンネルカバーの下で水はけのよい所にそれらの野菜を植える。サルシファイを植える時も同じことが言える。同様な保護で食べられる健全な緑の作物が得られる。

 

 これらの高収率の根菜類は通常、病気にかからないので、有機菜園家にとって非常に省力的。鹿は、サルシファイの葉を好んで食べるが、トンネルカバーか、リキッドフェンス(Liquid Fence)と呼ばれる忌避物質を使うと、彼らを防ぐ助けになる。これらの珍しい作物を栽培するとき、野ネズミは、私が経験した唯一の深刻な問題だった。幸い、農場のステルス駐在員の猫は、軌道上で多くの野ネズミを仕留めた(彼らはそれに応じて報酬も得ている)。

 

クローンの栽培と料理

 

 この多年生植物の原産は東アジアで、塊茎は主にピクルスになる。「中国のアーティチョーク」という名のもと、フランスに19世紀に持ち込まれ、結局、最初に耕作されたフランスの村から、ヨーロッパ名は「crosnes」(発音はクローン)に。

 

 料理法。あなたはクローンの塊茎を栗のように扱うことができる。少しナッツのような、アーティチョークのような味と、サクサクとした歯ごたえは、サラダ、炒め物そしてミックスベジタブルに魅力を加える。サクサク感をよく保つので、優れたピクルスにもなる。多くの日本の料理人は、「チョロギ」の名のもと、赤シソと一緒に漬物にする。主にアジア系のスーパーで瓶詰めを買うことができる。私は、赤い「チョロギ」のうち、しょっぱいものよりも、甘酸っぱい組合せの方が好き。青シソは、特に数個の辛いトウガラシをそこに加えたら、味を比較できて面白い。実際、アメリカ合衆国の料理人のほとんどは、完全なクローン料理の可能性を探って来なかったので、この珍しい作物が新しいアメリカ料理の最先端のまま残っている。

 

 その葉の外見はミントに似ていて、晩夏と初秋の間に根のまわりで発達するふしの多い塊茎を通して、広がる。最高の成果を得る為に、塊茎を格子状に(各々の方向が10cm間隔で)植えよう。魅力的で、紫色で、とがった形のクローンの花は、カッコウソウの花と類似している(二つは、植物学的に近いので不思議はない)。その花が見事なため、クローンは、彩がアクセントとなり、食べられる庭にピッタリだ。けれども、観賞用に育てると、クローンは増えすぎてしまうので、目を離さないようにすること。

 

 晩秋にクローンの塊茎を収獲し始めることができる。霜で葉茎が枯れたら、株を静かに引き抜き、塊茎を掘り出す。冬まで収穫を続けよう。クローンの欠点の一つは、一日以上空気に触れさせておくと変色するという点。一般に市場で売る栽培者ができるだけ長く地中に残しておき、必要に応じて掘る理由がそれ。翌春まで塊茎を保存する場合は、土の中に埋めておく。節の多い形から、塊茎は、洗う際に特別手間をとる(古い歯ブラシもしくは小さなボトルブラシが便利)。きれいにして、食卓に出す前から変色しないように、水を張ったボウルに塊茎をレモン汁と一緒に入れる。

 

サルシファイの栽培と料理

 

 サルシファイは、古代の植物であり、その学名「porrifolius」は「葉のついたニラネギ」という意味だが適切だ。実際、私の菜園に入った、多くの人はニラネギと間違えた。サルシファイの原産は、地中海地域で、菜園家が根の大きさを改良するために耕作用に持ち込んだ17世紀まで、一般的に山菜とみなされていた。サルシファイの名産地と一般的に考えられているスイスで、最古の実験のいくつかは行われた。そういうわけで、私の農場では『Luethy』と呼ばれる(種カタログによっては『Luthi』という綴りで、開発した家族の名をとって名づけられた)スイスの品種を栽培して売っている。他の昔の品種は、『White French』、『Gammel Gotlandsk』と『Mammoth Sandwich Island』で、後者が米国の種カタログで最も一般的。一見すると、根の太さと身の白さが特徴だが、味の違いで選んでもいい。

 

 サルシファイは、人参のように料理に使える。けれども濃いソースは、その繊細な味を簡単に消すので、軽い味付けと組み合わせよう。サルシファイは、また「オイスタープラント」として知られている。なぜなら、根を調理した時に生ガキの様な味がするとたくさんの人が思うからだ。ドイツでは、料理したオートミールのような味がすると思われていて、人々はこの作物を「haferwurzel」(オート麦の根)と呼ぶ。いずれにしても、特徴的な味は、スープとシチューに複雑さを加える。この根菜をヴィーガン【絶対菜食主義】のカキにみなしたいなら、その目的に確かにかなうし、疑似の魚出汁にさえなる。サルシファイは、野生のきのこと合わせてもいいと分かった。枯れかけている古いトネリコの木から、私たちが収穫している「木のチキン」茸は、特にいい。

 

 サルシファイの根は、長くて細いので、根の皮を剥き、そして次に斜め45度に切って、大きな、平らな部分をつくるようにして下ごしらえする。レシピのハマグリまたはカキと置き換えることができる。クローンのように、サルシファイも、変色する。皮を剥いたら、料理の準備ができるまでレモン水に浸けておくこと。特に若い、サルシファイの葉もまた、食べることができ、よくサラダに加わる。咲く前の頭状花【注:花軸が茎の先端で幅広く広がって,そこに何個もの花が並んでつくタイプの花】も食べられる。ある人は漬物にさえする(だから台所で捨てる部分がない植物だ)。

 

 その学名にニラネギとあるように、サルシファイは二年生植物だ。サルシファイを栽培するとき、太い根を作るのに十分な間隔をあけよう(混むと、根は長くなって繊維質になる)。春、地面を耕したらすぐに、種を植えよう。そして、5~8センチまで苗を間引くこと。冬を越して、次の春に根を収穫しよう。種の節約のために、2年目の初夏は、苗に花を咲かせよう。花は、薄紫で、花粉媒介者にとってかなり魅力的で、すぐにタンポポの種子に似た巨大な綿毛になる。もしあなたが花を収穫しなかったら、花から「羽」に姿を変えた種を風が運ぶだろう。私の農場では、それをはさみで切って、大きな紙袋の中で乾燥させてから、種を採り出してきれいにする。さもなければ、鳥が種を食べつくすだろう。実際、サルシファイの知られていない特徴の一つは、素晴らしい鳥の餌になることで、これを目的にするだけで育てて恩恵にあずかれる。

 

 サルシファイの人気は上がっている。地方産物のレストランではすでに多くの需要がある。

 

 そして、ニューヨークとフィラデルフィアの栽培者は、市場についていけない。サルシファイが多くの初期アメリカの料理本で見かけるので、その魅力は地域的だけでなく、歴史的だ。現在、それをゴボウのように扱うコックがアジア市場に現れ始めている。なぜなら、料理としての魅力とは別に、サルシファイが、植物の医学で定評のある昔のハーブでもあるからだ。

 

ムカゴニンジンの栽培と料理

 

 歴史家は、ムカゴニンジンを中国、そして古代ローマの料理法にさかのぼる。ムカゴニンジンの起源はユーラシア大陸だが、それは確かにアルプスの北で栽培された最も古い野菜の一つで、中世の中央ヨーロッパ料理のありふれた材料だった。この植物の甘い味がする根が(少し味が似ている)パースニップよりすごくいいと私は思う。そして栽培は簡単だ。ムカゴニンジンは、18世紀に人気があって、その後、ほとんどメニューからなくなった。では、なぜ人気がなくなったのか?多分、主な理由の一つは、誰もそれを改良する時間をとらなかったということ。ムカゴニンジンは、いまだ非常に野生原種のようだ。パースニップがかなりの園芸的な改良を受けたので、それらが、結局、ムカゴニンジンが時代遅れになった根底にある理由だったかもしれない。可能性のある他の理由は、ムカゴニンジンの根が大きくないということだ(食事を価値ある物にするためには、かなり多く集めなくてはならない)。

 

 私は、中世のポーランド料理を研究して、ポーランドからムカゴニンジンの私の知識が得た。沼地でムカゴニンジンがすぐに見つけられたポーランドでさえ、伝統的な食用植物に使用する特別な収穫用に栽培されただけだった(地域の市場で販売される作物ではなかったのだ)。現在、より多くの料理人と菜園家がその料理の可能性と抜群な耐寒性を見出し、ムカゴニンジンに対する関心は復活を果たした。厳しい気候の耕作限界地でも栽培でき、病害虫にもかかりにくい。鹿さえ、見向きもしないようだ。さらに、多年生の作物として、ムカゴニンジンは長年の間、菜園家に食べられる根を供給できる。

 

 ムカゴニンジンをこれまで見たことがない人にとって、葉茎はどことなくパセリに似ている ( それらは、同じ植物学の同属)。葉茎が成長して、最後に花が咲き始めて、高さはおよそ1メートルに達する。白い花はセロリの種に似ている種をつける。だから、種からと、そして根を分けることから、ムカゴニンジンを増やすことができる。冬期に根を収獲し始めて、次の春、更に始める。葉茎が暖かい春の気候の中で復活した根は、風味と歯触りを失う。つまり、ムカゴニンジンの収穫時期は、パースニップとほぼ同じだ。

 

 ムカゴニンジンの味は甘くて、バターのようだ。だから、料理人は伝統的にムカゴニンジンをつぶしてカブと和えた後にポテトと混ぜる。それらはベジタリアンのレシピへ加えると素晴らしいが、燻製の肉や狩猟の肉ともよく合う。私は、野生のイノシシとムカゴニンジンの根をポーランドのピロシキの具として使って食べた。さらにパンの生地にも加えた。かすかなスミレの花の風味はGewürztraminer【注:白ワイン用ブドウ品種】のようなワインとの相性がいい。そして寒い冬の日に、湯気がたった一杯のあたたかいムカゴニンジン・スープよりほっとするものは、ほかにない。

 

珍しい根菜販売元

 

クローン

秋と春の季節限定販売

• Harmony Valley Farm 

• Norton Naturals

 

サルシファイ

• Fedco Seeds 

• Baker Creek Heirloom Seeds 

• Roughwood Seed Collection

 

ムカゴニンジン

• Fedco Seeds

• Perennial Pleasures Nursery 

• Restoration Seeds

 

William Woys Weaverは、古典的な「Heirloom Vegetable Gardening(在来品種の菜園造り)」を含む16冊の本の著者です。そして、彼は、約4000種の植物を扱うRoughwood Seed Collectionの管理人。

 

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3 Rare Root Crops: Growing Crosnes, Salsify and Skirret

By William Woys Weaver 

April/May 2016