放牧と適切な飼料でオメガ3が豊富な鶏と卵を育てる

 標準的な西洋の食事において、オメガ6とオメガ3の食事中のバランスが崩れているというニュースを受け、現在、健康志向の消費者は牧草地で育てられた家禽肉や卵を購入している。しかし、需要の増加に伴い、多くの消費者は健康食品の高価格に困難を強いられている。ありがたいことに、小規模な養鶏者(よく「flocksters:フロック(群れの)スターズ(スターたち)」 と呼ばれる)は我々の少ない予算に合う、オメガ3 を最大化した鶏肉、卵、およびその他の家禽製品を製造するための実行可能なモデルを提供している。

 

 

翻訳:堀水 理佳代

 

 裏庭等で始めたばかりのフロックスターズは、オメガ3を最大にするために、餌の改良や、放し飼いの実践を取り入れるべきだ。さらには、意図的に飼料による健康改善をする為に、アメリカ農務省(USDA )が認証したオーガニックの穀物や野菜を入手するか、育てたら良い。

 確かに、集中的に管理し、持続可能な家禽の運営は複雑になることがあるが、これらの3つの基本ルールにより、鳥の群れの餌の探索と飼料の需要を満たすし、オメガ3を多く含む肉や卵を食卓に提供する。

ルール1: 家禽を牧草地に放つ

 一般的に雑草は種子よりもオメガ3を多く含むため、家禽が牧草地で育つと、卵と肉のオメガ3が即時に増強されたと多くの研究が報告している。

 マイク・バッジャ(Mike Badger)、American Pastured Poultry Producers Association(APPPA:アメリカの放牧養鶏生産者協会)のエグゼクティブ・ディレクター兼発行責任者は言う、ビタミンEとD の高い濃度に加えて、彼の組織の2013年の調査の「完全にノックアウトさせる結果」では、USDAのオメガ6対オメガ3を15対1とした参照比率と比較して、業界標準の配合の餌で放牧された鳥肉は脂肪酸比率が8対1だった。大豆を与えられなかった鳥は3対1とさらに良かった。(APPPAの全結果を見る。)

 一般的に放牧の専門家は、緑豊かで葉の多い牧草はオメガ3を最大化する事実に同意している。だから、草よりもタンパク質、カルシウム、およびカロチンがはるかに高いクローバー、アルファルファ、およびスベリヒユを選ぼう。

 APPPA研究における牧草地は、果樹園草やメヒシバが含まれている事を考えると、オメガ指向フロックスターズは、クローバーに加えて、高オメガ飼料ブレンドで、さらに良い比率でバランスをとれるはずだ。

 あなたが住んでいる地域で牧草が一年中育たない場合は、アルファルファ乾草で栄養を補われた穀物飼料か、屋内でライグラスか他の植物を育てる。南部のフロックスターズは、カラシナなどアブラナ科の耐寒性の被覆作物を植えることによって、鳥の放牧シーズンを拡張することが出来る。

ルール2 :大豆なしで鶏を育てる

 驚くほど素晴らしい牧草地で育てても、家禽はエネルギー、タンパク質、および栄養素を得る為に穀物ベースの飼料を必要とする。餌を調合するのを助ける時、動物栄養士ジェフ・マトックスは「何がローカルで容易に入手可能ですか?必要な特定のタンパク質レベルや特定のエネルギー含量を達成するのに何が使えますか? 」と尋ねる。

 大豆は、タンパク質とエネルギーの良い供給源で、オメガ6Sも高い。しかし、大豆は、一般的に、北米の多くの地域で最も入手可能で安価なタンパク源の一つだ。もし品質の良い、丸ごと煎った、非ヘキサン抽出の(脱脂加工されていない)大豆が手に入るなら、多くの家禽生産者にとって魅力的な選択肢だ。

 その内のひとりは、イリノイ州アトランタのPrairiErth Farm のデイブ司教だ。彼によると、「すべての粒が同じであると仮定することはできません。他のすべての食品同様、品種、場所、どのように育てられたかによって異なります。」 マトックスは、大豆が局所的に豊富にある場合は特に、 「人々は、加工大豆と丸ごと煎った大豆との違いを議論していない。 」に同意している。

ルール3 :鶏のオメガ3サプリメント飼料を混ぜる

 あなたの鳥の肉や卵でオメガ3の濃度を最大にするために、これらの4つの飼料改善を検討しよう。

 フラックスシードは、従来の方法で育てられた雌鳥からの卵の、オメガ3脂肪酸含有量を6 〜8倍高めます。しかし、フラックスシードは消化器系の問題と、遅い成長を引き起こす可能性があるので、マトックスは全供給比の5パーセント未満を保つ事を奨めている。フラックスは鶏肉のオメガ3のレベルも高める。ある研究では、屠蓄前に、10%のフラックスを含む飼料を24日間与えると、胸肉のオメガ3を最適に高め、もも肉も(たった5日間あれば良く)最適に高める。

 ミミズは、タンパク質および長鎖脂肪酸の大きな供給源だ。鳥は牧草地で、少しの虫を見つけて食べる事が出来るが、もしあなたか、誰かがミミズ堆肥を知っていたら、これらのクネクネした者達を、あなたの鳥の食事のより重要な位置付けとする事が出来る。(ミミズ堆肥について学ぶ。)

 麻の種子と種子油は、家禽飼料にしばしば加えられていて、米国が大麻栽培の制限を削除した場合、その使用は増加するだろう。2012年には、Poultry Scienceの研究で、 20パーセント以下の大麻の種子と12%以下の大麻種子油を採卵鶏の食事に加えたところ、卵の全体的なオメガ3の濃度を上げたが、雌鳥のパフォーマンスに悪影響を与えなかった事を発見した。

 魚粉は濃縮タンパク質および長鎖オメガ3脂肪酸の優れた供給源だ。また、歴史的に肥料として施されている魚、大西洋のメンハーデン【ニシン科の魚】で作られたとき、魚粉は脂肪酸の持続的供給源となる。注意点:長期間にわたって高い濃度で供給されたとき、魚粉は、特に、ブロイラー肉の味に影響を与えると報告する人もいる。

オメガ3鶏の3つのルールを実践

 マイケル・ポランは、「あなたは、あなたが食べている物が食べる物でもあります。」と言う。この場合、あなたが、高品質で高オメガ3の飼料を食べて牧草地で育った鳥からの家禽肉や卵を食べると、あなたの食事のオメガ3脂肪酸の濃度を上げることになる。オメガ3は万能薬ではないが、オメガ3とオメガ6の比率を1対1に近くすることによって、積極的に心臓血管の健康と、おそらく、精神的な幸福に影響を与えることが出来る。

オーガニック家禽飼料

 専門家への混合飼料を任せる事を好むフロックスターズは、米国内に配達してくれるこれらの家禽穀物提供者をチェックしよう。Manna Pro社の認定オーガニックシリーズの家禽飼料は、幼すう用クランブル、中すう用クランブル、採卵鶏ペレット、およびスクラッチ穀物【粗挽きの混合穀物】を含む。

 1974年に創立したモデストミリング社は2007年以降オーガニックの製品に力を入れている。モデストは、標準の認定オーガニックシリーズに加え、認定オーガニック(大豆フリー)もしくは、(大豆およびトウモロコシフリー)のシリーズも提供している。

 100パーセントオーガニックで、大豆を全く使用しない企業としては、New Country Organicsが環境保護と動物の健康に取り組んでいる。彼らのマニフェストを熟読しよう。さらに、消費者は採卵鶏用の特別全粒飼料の中から、小麦フリー、トウモロコシフリーのオプションを選択することができる。

 Nutrena社の認定オーガニック、Nature Smartシリーズは、鳥の腸のマイクロバイオームを培養することを目的とした、プレバイオティクスとプロバイオティクスが含まれている。

 オメガ指向の生産者の為には、Purina Animal Nutrition社のLayena Plus Omega-3シリズが、オメガ3を平均で200ミリグラム(従来の商業卵の3倍のオメガ3 )ある卵を提供するように配合されている。

 オーガニックのラベルにこだわる人には、ピュリナの最新の認定オーガニックラインが、幼すう用から中すう用、採卵鶏ペレットまたはクランブル、およびスクラッチ穀物、でオーガニックの主流となっている。(材料のラベルを含め、このシリーズの詳細はこちら)

 ロバーツ(Robert)家は1987年以来、ネブラスカ州で穀物を加工していて、Robert’s Seedは、1991年から認定オーガニック業者とされている。彼らは、小さい紙袋の量から、大きいもので、フルコンテナの荷物量まで、製品を出荷する。トウモロコシと大豆のほかに、鶏の飼料に小麦、大麦、オート麦がある。

 Peaceful Valley Omega-3 Chicken Forage Blend:アルファルファ、クローバーやフラックスを含む。

 Poultry Package:黄色のデントコーン、グレインソルガム、チャード、フィールドカボチャ、キビ、エンドウ豆、オート麦、亜麻、タバコ(ダニを殺すために)を含む。

 Happy Hen Forage Seed:ライグラス、フェスク、クローバー、キビ、大根、ソバ、エンドウ豆、カブを含む。

 

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Raising Omega-3-Rich Chicken and Eggs with Pasture and Proper Feed

By Terra Brockman and Josh Brewer 

 

June/July 2016